神田川の縁にスチール製の柵が設けられ、人は川に降りることができません。
自転車を止めて、川を覗き込むと、川の中に茂る細長い葉の中に、特徴的な形の花を認めました。
柵の隙間からカメラを差し込み、ズームレンズで拡大し撮影しました。
ミクリのようです。
こんな所でミクリを見るとは思わなかったので、心がちょっとざわつきました。
帰宅後にネットで調べると、1994年の調査時点で、都内の河川でミクリが育つのは神田川以外には2~3の川に限られるようです。
湧水が豊富な幾つかの河川でナガエミクリが確認されていますが、ミクリとナガエミクリがそろって多量に育つ川は神田川のみだそうです。
ミクリは絶滅が危惧されており、生育条件として、BODが2㎎/ml以下の良好な水質で、日当たりが良く、川底に土が堆積し、一定の水量と適度な流速の場所が適地だそうです。
つまり、そのような条件を揃えた河川は、都内に殆どないのかもしれません。
そして、ミクリの横で淡紫色の花を咲かせる植物に気づきました。
ズームを利かせて撮影した写真からの判断ですが、オオカワヂシャのようです。
オオカワヂシャは対策を優先すべき外来植物で、繁茂すると他の植物に届く光を遮り、その生育を阻害し、他の植物種を排除し置き換わり、在来種の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。
この場所のオオカワヂシャを放置すると、絶滅危惧種のミクリの生育に影響を及ぼす恐れがあり、オオカワヂシャがこれ以上広がる前に、早急な対策を行うべきと考えます。
何処に依頼すべきでしょうか? 三鷹市?それとも国土交通省?
予想外の植物に出会えたことが嬉しくて、鼻歌交じりに自転車を進めました。
あしはら橋を過ぎた辺りで、側道脇に見慣れぬ植物が葉を茂らせていました。
外来種に間違いないので、花を楽しむ目的等で人が植えたに違いありません。
紫の花を咲かせるデュランタかもしれないと思うのですが、ちょっと気になります。
側道を走っていると、京王井の頭線の電車が対岸を通り過ぎてゆきました。
平日の午後の長閑な時間が流れていました。
穏やかな陽射しの中で、安寧に満ちた風が優しく肌を撫でてゆきます。
私は飽きもせずに、ヒメジョオンやスイバを眺め続けました。
後から思えば、雑草として蔑まれるヒメジョオンやスイバも、この川の中流域以降は目にしませんでした。
ヒメジョオンやスイバの分布を本気で調べれば、何か新しいものが見えてくるかもしれません。
神田川の縁に続く柵に沿って、トベラが若緑の葉を茂らせ、シモツケがピンク色の花を咲かせていました。
川の岸辺に親水テラスが設けられていました。
テラスと川の間に柵が設けられており、水遊びが楽しめる訳でもないので、散策時の休憩用かもしれません。
親水テラスを過ぎた辺りに、コヒルガオが花を咲かせていました。
私は何かの花を目にするたび、時間を気にせずに眺め続けました。
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