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神々の庭

2014-05-22 17:40:21 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 マチャプチャレBCを過ぎ、なだらかな雪の斜面を20分程も登ると、正面に稜線が見えてきました。

 

 

 後方の、マチャプチャレ頂上直下に雪煙が飛びます。

   

 ピークは猛烈な風に晒されているようです。

 

 今いる場所は、周囲を8000メートル級の山稜に囲まれ、風を殆ど感じません。

 

 無風状態の雪の斜面を、トレッカー達がABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)を目指します。

 

 

 正面にアンナプルナ・サウスらしき雪嶺が待ちかまえていました。

 

 

 登っては振り返り、登っては振り返りを繰り返しながら、神々の庭を目に焼き付けました。

 

 

 紺碧の空の下に、テントピーク 5663m の白い壁が屹立していました。

 

 

 なだらかな雪原に、ABCを目指すトレッカー達のトレースが曲線を描きます。

 

 

 マチャプチャレの黒い岩峰が空に突き刺さります。

 

 通り過ぎたマチャプチャレBCは、何時の間にか、雪の斜面が谷へと落ち込む先に姿を消しました。

 

 太陽が刻々と角度を変え、雪の斜面が青白く染まります。

 

 マチャプチャレも、周囲の岩峰も、見るたびに表情を変えてゆきます。

 

  

 正面にアンナプルナ・サウスの山塊が、一際大きくなってきました。

 

 一番手前でドーム状に見えるのが7126mピークで、見た目は低く見えますが、一番左手奥のピークがアンナプルナ・サウス 7219mでしょう。

 

 今居る場所から、信州大町辺りに望む、日本北アルプス以上の標高差があります。

 

 

 そんな大絶景の中を歩き続け、やがて雪上のトレースの正面に小さく、ABCが見えてきました。

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

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逆光の中のマチャプチャレ

2014-05-22 12:09:40 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 

 ABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)へ向かって歩き始めて1時間程経ちました。

 

 何時の間にか、モディ・コーラの流れは雪の下に隠れています。

 

 振り返えると、谷の上に青空が覗いています。

 

 

 雪を纏った岩の上に、長閑なうろこ雲が漂います。

 

 

 9時を過ぎる頃になって、谷に光が届き始めました。

 

 

 さっきまで上空を覆っていた雲も薄れ始めました。

 

 

 
 すぐ横の岩壁はモノトーンの抽象画のようです。

 

 岩壁の中で、ルビー色に凍る滝が、この場所の状況を説明していました。

 

 

 私は羽毛服を着て、毛の手袋にサングラスを掛けた冬山装備なので、寒さを殆ど感じません。

 

 不思議なくらいに風がありません。

 

 谷が、更に明るさを増してきました。

 

 

 ABCへのルートは、マチャプチャレBCの直下から西へと向きを変えます。

 

 汗ばむほどの陽射しが、トレッカーに降り注ぎました。

 

 

 時折振り返ると、マチャプチャレBCが眼下に見えていました。

 

 標高は3700mを越え、ほぼ富士山と同じ高さです。

 

 

 マチャプチャレが背後からの陽光を受け、神おわす場所であることを告げていました。

 

 

 

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暗い谷

2014-05-21 20:50:07 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 8時頃、アンナプルナベースキャンプ(以下ABC)を目指しデオラリを出発しました

 

 目の前に佇む、4000メートルを超える、頂きの尖った無名峰は雪を被り、雲が空に広がっていました。

 

 午後から天気が崩れる可能性は大です。

 

 早目の勝負が必要と考えました。

 

 

 歩き始めるとすぐに、下山して来たポーター達とすれ違いました。

 

 彼らはスニーカーのような質素な靴で雪道を歩いています。

 

 足が冷たくないのでしょうか。

 

 

 アンナプルナ内院の、雪解け水を集めた川に、鉄製の簡素な橋が渡っていました。

 

 

 モディ・コーラ(モディ川)の両岸には20センチ程の新雪が積もっています。

 

 空は雲に覆われ、暗い谷が上流へと続いていました。

 

 

 もう一度対岸へと、凍えそうな沢水の上に渡された、すのこ状の橋を渡ります。

 

 

  大丈夫とは思いますが、落ちれば水は、めちゃくちゃに冷たそうです。

 

 

 暫くして振り返ると、岩と雪と空が不思議な調和を感じさせながら、一枚の絵となっていました。

 

 雪中を流れる青緑色の水面に、神々の姿が映し出されているような気がします。

 

 

 谷の先にはモノトーンの世界が広がっていました。

 

 

 ABCへは一本道です。

 

 多くの登山者に踏み固められた雪道を、順調なペースで登り続けました。

 

 

 一歩ずつ高度を上げて行くと、両側に黒い岩峰が迫り、その先に、雪化粧に輝く岩壁が見えてきます。

 

 何だか、ヒマラヤの未踏峰に挑戦しているような気分になってきました。

  

 

 

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子供達と一緒に

2014-05-19 22:00:53 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 デオラリのGH(ゲストハウス)で夕食を食べ始めた頃から、窓の外には雪が降り始めていました。

 

 ガイドのサンデシュさんが案内している、ウズベキスタンの子連れグループも心配気に雪の様子を見ていました。

 

 

 私は、この状況だと、明日は動けないかもしれないと考えていました。

 

 

 以前のページで書きましたが、私は今回のトレッキングでは防水機能の無い軽登山靴を履いています。

 

 雪のある場所で行動することを全く想定していなかったのです。

  

 しかし、夕食後にダイニングルームで寛いでいると、サンデシュさんが隣で、アンナプルナベースキャンプ(以下ABC)に電話を掛けて明日の予約を取り始めました。

 

 そして私に、「明日はどうしますか? よかったら一緒に予約しますよ」と言ってくれたのです。

  

 私は少々驚きながら、「明日は子供達も一緒にABCへ行くの? 行けるんですか?」と尋ねました。

 

 サンデシュさん平然と「そうです。今日と同じように子供達も全員一緒です」と答えました。

 

 

 私の冬山経験からすると、小学生程度の子供が4000メートルを超える雪山に入ること自体想像を越えますが、サンデシュさんの表情に全く緊迫感はありません。

 

 

 私は一呼吸置いて、「一緒に予約して下さい」と答えていました。

  

 

 ウズベキスタンから来たグループは男性4人と女性5人、それに小学生ぐらいの男女の子供が3人、一人の男性は1歳程の赤ん坊を背負っています。

 

 いくらなんでも、このグループが行動する場所に私が行けないはずはありません。

 

 もし、サンデシュさんと一緒に「シャングリラ」に泊まらなければ、私は間違いなく、この場所からポカラへ戻っていたはずです。

 

 しかしこの後に書くように、サンデシュさんの言葉通り、私は何事もなくABCを往復することが出来ました。

 

 そして、今こうして暢気にブログを認めています。

 

 

 サンデシュさんのような、現地を知り尽くしたガイドに出会えたことが本当にラッキーだったと、今改めて感謝しています。

  

 

3月11日

 

 この日は奇しくも私の63歳の誕生日でした。

 

 朝6時半頃に外へ出ると、ベットに入る頃まで降っていた雪は止んで、南の空の雲がオレンジ色に染まっていました。

 

 

 戸外のテラスのテーブルに20cm程の新雪が積もっていました。

 

 

 

 谷先の空は直ぐに色を失い、湿気を含んだ大気が重そうに淀んでいました。

 

 

 軒先に幾本もの氷柱が垂れ下がっていました。

 

 

 
 私は靴下の上に、ポカラで買い物をした時入手したポリエチレンのレジ袋を、左右の足に二枚ずつ被せました。

 

 そしてGHでレンタルした、滑り止め用具とスパッツで足を整えました。

 

 

 

 準備を終えて外に出ると、子供達が雪の中で元気に走り回っていました。

 

 

 

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理想郷に宿泊

2014-05-17 21:51:21 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 巨大岩(ヒュージ ロック)と呼ばれる場所に着きました。

 

 

 岩の下には4~5人程が雨露を凌げる空間があり、実際に誰かが火を使った跡もあります。

 

 

 ここまでくれば、今日の宿泊地はもう目と鼻の先です。

 

 登山路は崖の斜面を横切り、雲の中に続いていました。

 

 

 そんな登山路に沿って、谷へ突き出た尾根を廻りこむと、目の前に突然大量の雪の塊が現れました。

 

 

 雪は左手の斜面から雪崩れ落ちたようです。

 

 雪の表面がザクザクしていて、デブリ特有の表情を見せていました。

 

 その雪渓の上に、トレッカー達の足跡が伸びています。 

 

 この季節であれば雪崩れの心配はありませんが、この辺りがハイキング気分で来る場所でないのは確かです。 

 

 

 雪渓の上を歩きながら下を覗くと、デブリは累々と谷底へ続いていました。

 

 

 そして、巾100m程の雪崩跡を越え、山肌に続く細い道を進み、

 

 

 デオラリのGH(ゲストハウス)に到着しました。

 

 

 デオラリには4~5軒のGHがありました。

 

 

 デオラリで、ネパール人ガイドのサンデシュさんが予約してくれたのは理想郷を意味する「シャングリラ」と云う名のGHでした。

 

 

 ドアを開けて中へ入ると、陽気な若者達が夕食の下ごしらえを始めていました。

 

 彼らに名を告げて、予約を確認しました。

 

 

 時刻は15時20分頃だったでしょうか。

 

 誰も居ないダイニングルームに腰を据えて、ホットティーをオーダーし、しばし至福のひと時を過ごしました。

 

 

 やや暫くすると、今日は一度も顔を見なかった韓国人の金さんが「シャングリラ」に入ってきました。

 

 しかし、今日は満室だと断られています。

 

 金さんのポーターが、慌てて他のGHへ確認に行きましたが、なかなか色好い返事が得られないようです。

 

 私の横で金さんの表情が、かなり不安な様子に変わってきました。

 

 金さんに、「心配しなくても大丈夫ですよ」と声を掛けました。

 

 部屋なんかなくても、いざとなればダイニングルームに寝ることもできます。

 

 山ではいつもそんなものです。

 

 幸い、一軒のGHが部屋を都合してくれたようで、金さん達は安心した顔で別のGHへと移って行きました。

 

 それにしても私は、サンデシュさんに予約をしておいてもらって本当にラッキーでした。

 

 もしかすると私も、雨の中を右往左往していたかもしれません。

 

 

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白い花弁に紅を差し

2014-05-17 13:45:23 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 13時15分頃、ヒマラヤホテルに到着しました。

 

 ドバンから約2時間半かかったことになります。

 

 実は、この記事を書きながら、初めて経過時間を確認しました。

 

 

 ガイドブックに、ドバンからヒマラヤホテルまでは1時間程度と記されていますから、花の写真撮影にそれなりの時間を費やしたことになります。

 

 このブログに使う写真は、接写機能付きのコンデジで撮影しましたが、ザックの中にはフィルムカメラを入れてあります。

 

 これはと思う花に出会うと、肩からザックを下ろし、三脚にフィルムカメラを据えて花を撮影してきました。

  

 撮影を始めると時を忘れます。

 

 今初めて、花の撮影に費やした時間を知りました。

 

  

 と云うのも、私は普段から腕時計を持ちません。

 

 旅に出ても、空港などは随所に時計がありますし、それ以外の場所は勘に頼ります。

 

 会社勤めの頃からそうでした。

 

 仕事で旅に出るときも含め、数十年間、時間が分からなくて困ることはありませんでした。

  

 このブログに記した時間は、デジカメ画像に記録された時間を参考にしています。

 

 という訳で、私がヒマラヤホテルの到着時間を知ったのは「たった今」なのです。

 

 どうでもいい話ですが、私のブログを見て、ヒマラヤトレッキングの参考とする方が居るかもしれません。念の為に記載時間の背景を説明しました。

 

 空模様が怪しくなってきたので、ヒマラヤホテルでしっかり腹ごしらえをすることにしました。

 

 何をするにも最後は体力です。

 

 雨の中を歩くことになっても、歩き続ける為に体力と気力が必要です。

 

 昼食には、カロリー多めのフライドライス(炒めご飯)を注文しました。

 

 

 ゆっくりと紅茶を飲んで体を温め、14時少し前にヒマラヤホテルを出発しました。

 

 

 既に標高は2800mを越えています。

 

 登山道の周囲の木々は、まだ青葉を出していません。

 

 対岸の壁に掛かる滝の下に、氷の塊が積み重なっていました。

 

 

  

 自然石を敷き詰めた、殺風景な登山路を黙々と登り続けました。

 

 

 そんな場所で早春の花が、白い花弁に紅を差し、枝を飾っていました。

 

 荒涼とした景色の中、不器用に頬を染めて咲く花に、朴とした雛のような好ましさを感じました。

 

 

 花の周囲で、ああでもない、こうでもないと構図を考えながら写真を撮っていますと、

 

 

 頬にポツリと何かが当たり、

 

 みるみる内に、足元の石に水玉模様が描かれてゆきます。

 

 

 とうとう来るものが来たようです。

 

 すぐに雨具を取りだし、身に纏いました。

  

 しかし、そう心配する必要もなさそうです。

 

 眼の前の谷の奥で、今日の目的地であるデオラリのGH(ゲストハウス)が姿を見せていました。

 

 

 

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登山路に咲く花

2014-05-16 22:10:17 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 10時40分にドバン2660m を通過しました。

 

 

 マチャプチャレの双耳峰が目の前に聳えます。

 

 

 笹藪の中に道は続き、露出した岩の上に清らかな沢水が流れました。

 

 進むにつれ、周囲に現れる植物が多様な変化を見せます。

 

 

 

 沢水の脇に、名も知らぬ花が咲いていました。

 

 

 スミレやリンドウの仲間が暖かな陽射しを浴びていました。

 

 

 

 イワウメに似た可憐な花が、ブーケを作って優しく岩を包んでいました。

 

 

 森の道でサクラソウ「Primula edgeworthii」が花群をなします。

 

 花群の中で、白と薄紫色の花が隣り合わせに咲き競っていました

 

 

 サクラソウの花群を過ぎた辺りから、木の高さが徐々に低くなってきました。

 

 シャクナゲの林も、ゴレパニ附近で見たような迫力を感じさせません。

 

 

 そして、この頃から急に、空に明るさが失われてゆきました。

 

 目の前の尾根を、ねずみ色の雲がゆっくりと上昇してゆきます。

 

 谷は色彩を失い、

 

 

 

 氷の粒が突然、バラバラッと足元に散らばりました。

 

 

 周囲に青い彩が消え、鼠色の風が流れ始めました。

 

 

 

 今朝予想した通りの展開になってきましたが、そんな時、運良くヒマラヤホテルのロッジに到着しました。

 

 

 

 

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サンクチュアリの森で

2014-05-16 17:13:49 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 バンブーのGH(ゲストハウス)は、宿泊者を送り出した後の静かな佇まいを見せていました。

 

 薄っすらと雪をのせたトタン屋根の上に青い空が拡がっています。

 

 

 バンブーを過ぎると、竹藪の中に登山道が伸びていきました。

 

 

 竹藪を抜けた辺りで、紫のスミレや白いスミレが咲き並ぶ姿を見かけました。

 

 

 

 昨日歩いた山里の道と異なり、沢に丸太橋が架かります。

 

 

 
 シヌワから先は、神聖な神々の庭なのです。

 

 馬もロバも入れないサンクチュアリ(聖地)では、人が物資を担いで運びます。

 

 当然、耕作地などはなく、谷の中は広葉樹と針葉樹の混交林が広がるばかりでした。

 

 

 

 シャクナゲが時折赤い花を見せます。

 

 

 

 サクラソウが頻繁に姿を見せてくれました。

 

 

 谷を見上げると、青い空と白い雲の戯れを見ることができます。

 

 

 雲と風が豊かな水をもたらすようです。


 小さな小屋に発電モーターが鳴り響いていました。

 

 バンブーでは、カトマンズよりも潤沢に電気が供給されているようです。

 

 

 昨晩同じGHに泊まった、家族連れトレッカーの元気な姿が見えます。

 

 彼らを追い抜いて花の写真を撮っていると追い抜かれ、また追いついての繰り返しを続けました。

 

 

 

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マチャプチャレが全貌を見せ始める

2014-05-16 15:10:09 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 歩を進める道の脇にスミレが咲いていました。

 

 昨日初めて目にしたエインズリエア・アプテラ(Ainsliaea aptera)[右写真]も花を咲かせています。

 

 

 

 深い森の中に道が続きます。

 

 

 モディ・コーラ右岸に沿って続く道は、山の斜面に重なる、カーテンの襞のような尾根を縫って進んで行きます。

 

 小さな尾根を廻りこむ毎に、谷の表情が微妙な変化を見せます。

 

 

   

 マチャプチャレが少しずつ大きくなってきました。

 

 

   

 登山路は少しずつ高度を増してゆき、周囲に雪が姿を見せ始めました。

 

 

 

 足元の谷に鬱蒼と木が茂り、 

 

 

 

 谷の奥に、岩と雪からなる神々の神殿が望めます。

 

  

 朝露に濡れながら、日溜まりに可憐な花が咲いていました。

 

 

 

 登山路はアップダウンを繰り返し、竹繁る森を抜けてゆきます。

 

   

 そして、マチャプチャレが全貌を見せ始めるころ、

 

  

 バンブーに到着しました。

 

 

 

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シヌワの夜明け

2014-05-15 22:00:25 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 3月10日

 

 6時40分、モディ・コーラ(モディ川)の谷が明るくなってきました。

 

 左岸の尾根の上にマチャプチャレが顔を出します。

 

 夕方から降り出した雨は、夜のうちに止んだようです。

 

 

 下流を見ると、雲が広く空を覆っています。

 

 午後に天気が崩れそうな気配を感じました。

 

 

 

 もう一度振り返り、谷の上流とマチャプチャレのピークをズームアップしました。

 

 谷奥の先に見えるピークが6248mのガンダルバチュリでしょうか。

 

 マチャプチャレの東壁が、僅かに赤味を帯び始めました。

 

 

 

 光が谷の中へ廻りこんできます。

 

 シヌワのGH(ゲストハウス)が朝の時を迎え、トレッカー達が動き始めました。

 

 

 谷の壁にへばり付いたチョムロン村にも光が届き始めました。

 

 そして、モディ・コーラ右岸の、ヒウンチュリから伸びる尾根にも朝陽が届きました。

 

 

 

 さて、そろそろ出発しましょう。

 

 今日の目的地はデウラリです。

 

 

 実は昨日、道中を前後して歩いて来た、同宿のネパール人ガイド、サンデシュさん達とすっかり仲良くなっていました。

 

 今夜のGHは、そのサンデシュさんが携帯電話で予約を入れてくれたのです。

 

 私にとって、これが非常にラッキーだったことが後で分かります。

 

 

 今朝のシヌワGHの支払いは1060Rsでした。

 

 100Rsは94円ですから、一泊二食で996円ということになります。

 

 このような金額で、こんなに素晴らしい思いをさせてもらって、本当にいいのでしょうか?、(満面笑顔)

 

 

 空が明るさを増し、谷の中もかなり明るくなってきました。

 

 空に浮かんだ白い雲とマチャプチャレが素晴らしい風景画を見せてくれます。

 

 今日は一日、マチャプチャレを眺めながらのトレッキングになりそうです。

 

 

 ほぼ8時過ぎ、モディ・コーラ右岸の断崖の登山道へ歩を進めました。

 

 

 

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神々の住む谷

2014-05-15 13:31:11 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 シヌワの手前の茶屋で雨を凌ぎ、10分程で再び歩き始めました。

 

 

 シヌワには数件のGH(ゲストハウス)がありました。

 

 一軒のGHは、軒先が美しいマリーゴールドで飾られていました。

 

 しかし、マチャプチャレの方角に窓が開いていません。

 

 

 もう一つ上のGHを目指しました。

 

 谷の斜面に真紅のシャクナゲが鮮やかです。

 

 

 

 そんな場所で、道の横に「Notice(注意)」 と表示された看板を目にしました。

 

 そこには、次のようなことが記されていました。

 

 「トレッカーの皆さん、昔からの聖なる、神秘な場所として信仰されている、シヌワからアンナプルナベースキャンプまでの特別地域で、鶏、豚、水牛の肉を口にしないで下さい。それらの掟に逆らうと、災害や事故に合うことになるかもしれません。」

 

 いよいよ、アンナプルナ内院となる核心部分に足を踏み入れたようです。

 

 

 そして、16時15分過ぎ、谷の斜面にへばり付いた、暗い雲に覆われるシヌワのGHに到着しました。

 

 

 

 谷に迫り出したGHのダイニングルームから、チョムロン・コーラの谷を挟んで、崖の上にチョムロン村が望めました。

 

 

 そして、程無く、シヌワに本降りの雨が降り始めました。

 

 

 宿泊者達はダウンジャケットを着こみ、ダイニングルームに集まって来ました。

 

 

 18時を過ぎた頃に雨が止んで外を見ると、対岸の稜線は、白い雪の薄化粧が施されていました。

 

 

 そして、神々が住む谷の上部は、青白いベールに包み込まれていました。

 

 

 

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美しい谷

2014-05-15 10:44:42 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 タウルンには13時15分頃に到着しました。

 

 モディ・コーラの本谷を眺めるテラスは最高のロケーションでした。

 

 

 モディ・コーラの谷を見下ろすように、シャクナゲが赤い花を咲かせていました。

 

 2200メートル前後の標高が、シャクナゲ開花に適した現在の温度条件なのでしょうか。

 

 

 

 V字状の谷が上流へ切れ込み、谷の奥は厚い雲に覆われていました。

 

 

 タウルンから15分程歩くと、当初の目的地であるチョムロンに到着しました。

 

 しかし、時刻はまだ13時半を僅かに過ぎたばかりです。

 

 

 谷の上流に目をやると、斜面の中腹のシヌワにGH(ゲストハウス)らしき建物が見えていました。

 

 「明日の朝、今雲の中に隠れるマチャプチャレを、あそこから見れば、かなり迫力があるに違いない」

 

 私はそう判断すると、迷うことなくシヌワに向かって歩き始めました。

 

 

 タウルンとシヌワとの間に流れるチョムロン・コーラ(チョムロン川)へ下ると、村の小母さんが竹籠に薪を背負って坂を登ってきました。

 

 ネパールに来て、このような竹籠を初めて目にしました。

 

 アンナプルナ周辺の狭いエリアであっても、谷ごと尾根ごとに、住民の風習や行動に差が見られます。

 

 

 チョムロン・コーラはモディ・コーラの支流で、アンナプルナ・サウスの横に位置する岩稜ヒウンチュリ6441mから流れ出ます。

 

 それにしてもチョムロン・コーラは、冒険心をくすぐる、小股の切れ上がった美しい谷です。

 

 

 

 チョムロン・コーラに長い吊り橋が架かっていました。

 

 

 吊り橋の中央からチョムロン・コーラを見下ろすと、谷の底にエメラルドグリーンの水が飛沫をあげています。

 

 沢の上流になればなるほど水温が下がり、水が澄んでくるのでしょう。

 

 

 坂を登り進み、途中から振り返ると、通り過ぎたチョムロン村が尾根の中に霞んでいました。

 

 

 そして、シヌワを前にする場所で雨が降り始めました。

 

 

 

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ヒマラヤの沙羅双樹の木

2014-05-14 20:44:00 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 

 ヒルトップという名の茶屋を過ぎると、道は下り始めました。

 

 

 午後も、快適なトレッキングを続けました。

 

 そうそう、木曽に通じていた、昔の中仙道はこんな感じかもしれないな、と思いました。

  

 道端にヤブヘビイチゴ「Potentilla indica」やサギゴケの仲間「Mazus surculosus」が咲いていました。

 

 

 

 そんな道を歩いていると、木の高い場所から物音が聞こえてきました。

 

 猿でも居るかと思い見上げると、地上10m程の幹の間に人の姿が見えました。

 

 木に巻き付いた、ツタの葉のようなものを鉈で切り落としています。

 

 多分、家畜の餌を集めているのでしょう。

 

 

 急斜面の山肌を横切りながら道が続いていました。

 

 尾根の端に見えるのがタウルンの集落です。

 

 

 谷の反対側の斜面にも村が見えてきました。

 

 その後ろに、モデイ・コーラ本谷がナヤプル方面へと向かって下っています。

 

 

 今日の目的地のチョムロンまでもう少しです。

 

 そんな時、渓谷の上に大きな鷹が姿を現しました。

 

 

 
 谷の中へ一羽が姿を消すと、別の一羽が目の前に現れました。

 

 

 初めは気付かなかったのですが、眼下の畑の中に動物の死骸らしきものが横たわっていました。

 

 そしてその場所に、20羽以上の鷹が群れていました。

 

 

 もう、4~50年前のことですが、テレビの「秘境ヒマラヤ」というドキュメンタリー番組で初めて、鳥葬を知りましたが、そんなことを想い出した光景でした。

 

 

 あちらこちらの畑に麦が穂を付けていました。

 

 イネは毎年同じ田で栽培できますが、ムギだと連作障害が出ますから、全ての畑が緑という訳にはいかないようです。

 

 

 畑で、牛を使っての農作業が行われていました。

 

 

 畑の横ではサラノキ(沙羅の木)が緑の葉を付け、他の木はすっかり丸裸となっていました。

 

 裸の木は全ての葉が家畜の餌にされてしまったようです。

  

 サラノキは仏教3大聖樹の一つでもあります。

 お釈迦様が入滅された時、その場所の東西南北に2本ずつあったサラノキが、一斉に時ならぬ花を咲かせたそうです。

 

 2本ずつあったことから「沙羅双樹」とも呼ばれますが、ヒマラヤでは、重要な家畜の餌として、命の連鎖を廻しているようです。

 

 

 

 来し方を振り返えれば、歩き続けて来たトレイルが山腹に伸びて、谷の底にキュムヌ・コーラが白い筋となって光りました。

 

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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茶屋のお姉さん

2014-05-14 16:02:33 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 この付近に来ると、トレッキングルートが、今までと異なる印象を見せていました。

 

 

 落葉樹が周囲に広がります。

 

 足元には落葉が積み重なっていました。

 ここまでのルート上で、枯葉の上をカサコソ音を立てて歩いた記憶がありません。

 

 植生が変わり、花の種類に変化が見られます。

 

 そんな場所でAinsliaea aptera(エインズリエア・アプテラ)を見かけました。

 

 ネパールで3月から6月に花を咲かせる、キク科モミジハグマ属の多年草です。

 

 

 

 落葉樹の下で、ヒマラヤ白スミレ(Viola canescens)が咲いていました。

 

 カシミールからインド北東部にかけ、標高1500~2400mの場所で、3~6月に花を咲かせるそうです。

 

 

 

 キュムヌ・コーラを挟んで、向かいの尾根にコムロン村が見えていました。

 

 

 振り変えると、遥か西の空に、昨日歩いて来たバンダンティのピークが望めました。

 

 

 道の脇で水牛の親子が静かに草を食んでいました。

 

 乾季の今頃は、牛の餌になる緑が少ないようです。

 

 

 

  ほぼ正午になって、ヒルトップの看板を掲げた、質素な茶店に到着しました。

 

 

 ここから、キュムヌ・コーラへ下って、尾根道を登ればコムロンに通じる道が分岐します。

 

 

 茶店で、お姉さんが一人で店番をしていました。

 

 茶店には飲み物しかないので、ザックのビスケットを昼食代わりにして、スプライトを注文しました。

 

 一本190Rsという、平地の倍以上の値段でしたが、ここまで運んでくる労力を考えれば当然のことに思えます。

 

 お姉さんが、「何処から来たの?歳は幾つ?」と聞くので、「日本から来ました、63歳になります」と答えると

 「オォ、とても若い、とてもアクティブに見えます」と誉めてくれたので、すっかり気分を良くして、お姉さんにレンズを向け、写真を撮らせてもらいました。

 

 

 レンズを向けると、お札を持って嬉しそうなポーズをしましたが、その表情でナンゲタンティのGHの小母さんを想い出しました。


 

 この辺りの人達が写真を撮られる時の定番ポーズなのかもしれません。

 

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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タルチョ(祈祷旗)がはためく道

2014-05-10 23:06:05 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 キュムヌ・コーラの下流を、吊り橋の上から見下ろしました。

 

 今は乾季ですが、雨期にはきっと水量が増える筈です。


 急峻な山の合間を流れます。


 川の中に、大きな岩が幾つも転がっていました。

 

 

 橋を渡るとすぐに、登りが始まります。

 

 5分程登って振り返ると、先ほど下ってきた斜面が見渡せました。

 

 段々畑の中を縫うように、細い道が続いていました。

 

 

 暫く進むと、カラフルなタルチョ(祈祷旗)がはためく場所に出ました。

 

 初めて目にする光景です。

 

 初日、二日目に歩いたダウランティ・コーラ沿いのルートに比べ、よりヒマラヤのイメージに近い雰囲気を感じます。

 

 

 段々畑の中に、ヒマラヤ街道の雰囲気そのままのトレッキングルートが続いていました。

 

 

 その先へ進むと、農家の庭先に迷い込んだかのように思える場所に出ました。

 道を間違えたかなと心配になって振り返れば、彼方に今朝下りてきたばかりの森が見えていました。

 

 ヒマラヤの人々の暮らしの中に、トレッキングルートが伸びているのです。

 

 

 尾根筋のでっぱりを曲がり込むと、目の前に青いGH(ゲストハウス)が現れました。

 

 このルート上のGHは、ダウランティ・コーラ沿いに比べ、規模の小さいものばかりでした。

 

 ここを歩くトレッカーは、彼の地よりも少ないのでしょう。

 

 

 GHの壁のルート図に、現在地 グルジュン(Ghurjung)2050mと掲げられていました。

 

 手持ちの地図にはグルヌン(Ghurnung)と記されていますが、現地の発音をアルファベットに置き換えるので、どちらが正しいということでもなさそうです。

 

 

 ルート図にコースタイムが記されていました。

 

 今日の目的地のチョムロンまでは2時間とあります。

 

 ちなみに、今朝出発したタダパニまでは3時間半と記されていました。

 

 

 キュムヌ・コーラ左岸の森にトレッキングルートが続きます。

 

 

 斜面を刻む沢に真新しい吊り橋が掛かっていました。

 

 吊り橋のアンカーに、ブリティッシュ・ネパール農業援助協会のプレートが嵌められていました。

 

 ネパールの山村を、恒常的にサポートする組織があるようです。

 

 

 対岸に集落と段々畑が見えていました。

 今まで見てきた範疇で、集落は全て段々畑の上部に位置していました。

 

 はて? どんな理由があるのでしょうか

 

 

 そんなことを考えながら、のんびりゆっくりと森と集落を抜けて行きます。

 

 

 

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