Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

マニュアルにない、心からの一言

2011-03-07 | Jazz
 その日は「辺鄙な所の白」とリクエストして、初めてのドロミテのピノ・グリージョで始めました。
ドロミテも他の名山のようにきっと海底が隆起した石灰質で、痩せた土地で期待できそうだと思っていたら、だからかどうか分かりませんが美味しいです。
茶褐色でトロっとしていたら「泥みてぇ」なんて言えたのですが、もちろんそんな事はなく、きれいな色と酸・果実味で食欲を刺激してくれます。



波平君の奥さんがフィレンツェ六泊の旅から帰って来たので、皆で集まりました。
よくハチミツの事を書いているからか、お気遣いいただいて、重いのにアレッツォのアカシア蜜をお土産にいただきました。

風光を愛で、美味しい料理を楽しみ、観光地へも足を伸ばしたそうですが、観たものの中でもサンマルコ修道院の受胎告知は印象的だったとのこと。
しかし、楽しい旅をさらに思い出深くしてくれたのは、見知らぬ人々から受けた親切だったそうです。

同行のお二方は異業種ながらサービス業で、イタリアは初めてではないそうですが、困った時に差しのべられた好意に感激し、他でもマニュアルのない素晴らしいサービスで楽しい時間を過ごしたといいます。

「文化の違い」という便利そうな一言で大雑把に括ってしまうと、見えていたものも見えなくなってしまいますが、イタリア人は、少なくとも現在の日本人よりは大事なものの優先順位を誤らないように思えます。

昨年、TVで接遇のカリスマみたいな人がよく取り上げられていました。
鬼軍曹のように怒鳴っていたかと思うと、突然顔をつくって、作り笑顔で挨拶の手本を見せるのを不思議な思いで見ました。
もしかするとご本人はちょっと違う人柄かも知れませんし、TV的に面白く編集されたそのままかも知れませんが、どこの企業でも勘違いして作り笑顔の人があふれた日には、なんと棲み辛い世の中になっていることでしょう。

直線の二車線道路にある横断歩道を、車が見えないのに赤信号で待ち続けるような人が発想したような、日本風サービスがあります。
対象のないものに一礼しながら、奉仕すべき対象には満足なサービスが提供できず、喜んでもらえないようなことは、間違ってもイタリアで見る事はなさそうです。

その晩は、新鮮な旅の思い出を聞きながら、何時になくそんな堅い話題に終始しました。

今朝の報道で、ニュージーランドの被災地を訪れた日本人被災者家族に、現地警察官の方が「ごめんなさい、助けられなくてごめんなさい」と涙ながらに言った一言に、とても慰藉を受けたとありました。

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