Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

タンやオリーブのギャバディン

2011-05-23 | Rock
「そうですか、あなたのところへ行きましたか」
 と志水さんは言い、
「絵好きの持つ絵ですよ」
 と言った。
 絵好き、いい言葉だ。愛好家という便利な言葉があるが、どうもつまらなく高尚ぶっている感じで、言葉がネクタイを締めているみたい。更にこれを週刊誌なんかが書くように、美術愛好家の層が拡がったというふうに使うと、美術館で買った袋入りのカタログを持って地下鉄に乗っているOLかなんかを思い出してしまう。ついでに言うと、近頃はこの愛好家とか鑑賞層とかがむやみにふえたせいで、展覧会を見にいっても、入場券を買うだけでも並大抵でなく、会場へ入れば絵の前を蟹の横這いみたいに歩かされて、お互いにおちおち絵を見ることもできないという始末である。

あっ、こんばんは。レディー・ガガです。
洲之内徹さんの「絵のなかの散歩」の一節を引用しようと思って、機械的に写し始めたら止まらなくなって、あやうく丸写ししそうになってしまいました。
この話の後には、更にこんな一節があります。
                
 『蒐集家にはおいそれとはなれないから、絵が好きでも金がなければ、美術批評家にでもなるほかないが、これなら、金もなく、更に、絵が好きでなくても、なろうと思えばなれないことはない。一つ二つ外国語を自由に使いこなすことができれば、絵のことはわからなくてもなれるのが美術批評家である。画商に至っては、絵が好きでは画商になれないというくらいだ。』



三月末に白井さんから伺っていたので、翌月信濃屋さんに伺うと、夏にはこういう色を着るような男になりたいなと思わせるような、服好きが喜ぶであろう、きれいなオリーブグリーンのギャバディンのアットリーニがありました。

夏にはタンやオリーブのギャバディンを着るような、“遊び人の金さん”みたいに気持ちにゆとりのある人でありたいと思います。
謹厳なタイプの方には少しイメージが合わないかも知れませんし、グレーやブルーほど出番がそう多くはないかも知れません。そういう意味ではA・フラッサーの「Clothes and the Man」にもあるとおり“夏のスーツのなかでは最も贅沢な一着”かも知れません。

すっかり忘れていましたが、以前たしかE.Woodhouseのギャバディンで、三年塩漬けみたいな色のオリーブ(つまりグレーがかっていた)のヴェステッド・スーツを着ていた事を、帰りに突然思い出しました。今より季節を細分化して着分けていたしウェイトがあったので、それは春秋に着ていたものです。
タンも同系の3色で構成されたのを、夏には気に入ってよく着ました。
ご存知のように、意外と様々なコーディネイトが楽しめるのも、こうした色の魅力です。

  
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