鬼ダネ

今年のCMで「キンちゃん」とか「ウラちゃん」とか「オニちゃん」とか呼び合うのがあります。
それはおとぎ話に由来しているらしいですが、一頃私も「金ちゃん」と名乗る人に一年くらい追い廻されたことがあります。
取引先の人で夕方になると「早く仕事を切り上げて飲みに行くぞ」と電話をしてきて、思い通りにならないと30分おきにでも催促してくるのでした。
自らを「tough negosiator」と名乗り(取引先のアメリカ人からそう呼ばれていたという)、P・マーロゥどころかタフとまったく無縁の私の知ってることをハカそうとします。
決して悪い人ではないし部下の面倒見が良いという面もありましたが、我々の仕事が立て込んでる時などはその遠慮ない攻撃に、周りから「鬼だね」と言われてました。

そう言えばしばらく前に、夢の調理器具「鬼おろし」を買いました。
と言うと大袈裟ですが、あの荒い大根おろしが出来るやつです。
食感が変わるので、何でもおろしてみたくなります。
「鬼」というのは、大きいもの凄いものや奇怪なものの頭にも付けて使われるようで、
オニユリとかオニヤンマとか各地の鬼岩なんかがそうでしょう。
魚へんに鬼で「イトウ」.....これはちょっと違うけど、若い人のオニオコも例外でなさそうです。


Esquire誌から、ロバート・グッドマンのイラスト。

私どもの仕事に置き換えると、やはりこの時期大きいと言えばヘリンボーンやグレンチェック、ハウンドトゥース等、大柄のコートがあります。
先の云いに倣えば、ヘリンボーンの大きいのは「鬼ヘリ」.....って言うと、なんか犯科帳って付けたくなりますねぇ。
ダイアゴナルの大きいのは「鬼ダイア」.....だと大きな石と勘違いさせて紛らわしいので「鬼ゴナル」、
グレンチェックの大きいのは「鬼グレ」.....何だか年頃に凄いグレちゃったみたいで、だんだん無理っぽくなってきたのでこの辺で。