Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

シルエット

2019-07-08 |  その他
天気に一喜一憂する日が続いておりますが...

その方と親しくなったのは、都内で集まりがあったとき隣同士になってからでした。
話を伺っていると、昔からその時々の流行を追いかけ、日本人デザイナーが流行ればそれらを、アルマーニが流行ればそれに注ぎ込んで来たといいます。
還暦を迎える頃「果たしてその服は自分に合っているんだろうか」というシンプルな疑問に行き当たって初めて、クラシックな服の存在を知ったとのこと。だから現役中はほとんど流行に費やしてきたと仰います。

私が子供の頃、多くの大人が流行だった裾がフレアになったズボンを履いていました。
今でも刑事モノの再放送とかで見られると思いますが、もう海外ドラマとかで外国人のスタイルも見ていましたから、今の子みたいに「似合わないンじゃネ?」と思っていました。
脚が短いからとか、頭がデカイからとかの理屈を言うのはもっと先の事です。

ずっと進んで後年私が仕事で深く関わる人も、今思えば「流行と無関係」という「スタイル」を定着させようとした方でした。
そうした先達がまだその頃は思うように入手できなかった1920年代からこちらの資料が、時間と共に手元に集まるようになりました。
それらに目を通していると、子供の頃の疑問よりもっと長いスパンで、後の時代から見ておかしな服とそうでないものがよく見えて来ます。
やはり60年代以降コマーシャリズムが加速して混迷を深めていた頃、F.アステアに流行の既製服を着せてみたという記事を見つけました。



担当者がノセ上手だったのか、本人が着たことないモノに興味を示したのか、何故引き受けたか分かりませんが、出来上がりが芳しくないと判断して画像をあえて鮮明にしていない...わけではなく、他のレイ・ミランド(A.ヒッチコック監督:ダイヤルMを廻せ 等)、ラルフ・ベラミー('30年代のアステア映画等に出てくるちょっと顔の怖い人)も同様の写りです。
写りもありますが、着られるサイズどおり着せると、頭部から脚部までのバランスが何かヘンです。

死後も自伝的な映画の製作を認めないほど、自分のイメージを大事にしてきたアステアの名誉の為に、'30年代に仕立屋さんが作った服も並べておきましょう。
「エレガント」と言っても時代の環境も見逃せないかと思いますし、昔は良かったというような事も言いたくありませんが、より良く見えるシルエットはあるものですね。

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