Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

先達

2012-06-08 | Others
 犬のとかじゃありませんが、歩いていると昨年あたりから思いがけないことに巡り合います。
その日はスタートからかなり厳しくて、約一時間後に待ち合わせましょうとメールがありました。
顔をつくるひまもなく大急ぎで着替え、ロードランナーが埃を蹴立てて行くように慌てて駅へ向かって飛び乗ると、待ち合わせ場所には2分前に着きました。



連れて行ってくれたイタリア料理店は、前菜にたのんだ温野菜のシンプルな一皿だけで「あぁ、美味しい」と感じる腕前でした。
いかつい男同士でなかったら、顔を見合わせて頷き合いそうなくらいです。
次のパスタも、各々注文したものがたまたま色合いの似たソースでしたが、「こっちも美味しいから」と筒井君が勧めてくれたので少しもらうと、味に微妙な違いがあって塩加減もピタリときまり、とても上手いなぁと感じました。第二の皿も同様です。

ちょっと珍しい葡萄酒と美味しい料理、思いがけない収穫にみたされて3時頃お暇し、心地良いくらいの酔いとともに商店街を駅へ向かって少し行くと、Lock&Co Hattersの製品を最近では見ないくらい並べた店がありました。
思ったより酔っていてそう見えてるのかともう一度確認すると、紛れもなくその製品です。

ちょうどご主人らしき方が先客を見送るタイミングでしたので、入れ替わりに挨拶をしてお邪魔しましたが、ご主人の面にかすかに困惑の色がうかんだのを察して、Lockの製品が見えたので入らせてもらった旨を即座に伝えました。

そこから、40年に及ぶ取引のあることや、エクアドルMontecristiの村でも最上品の帽体を編める職人は、もう高齢で7人いるかどうかじゃないですかという話、アメリカ遊学や英国メーカーとの付き合い、そして人生訓からご家族の話まで、気がつくと3時間にわたって聞かせてくださったので、ダイジェストではありますが初対面なのにすっかり詳しいような気分になってしまいました。
次回はさらに2時間は早く伺わないと十分拝聴できませんね、と申し上げてお暇してきました。

約40人の顧客のために連絡をうけた時だけ店を開ける、という悠々自適のご主人とは比べ物になりませんが、食道楽だと仰るご主人が「ワイン好きで輸入してたこともあるけど、高いのは飲みませんよ」と3回も念を押されます。
帰り途、そこだけは私と同じじゃないというと、筒井君は苦笑していました。

ビールはやはり利尿作用があるということと、自分が知らないだけで、魅力的な先達がまだまだいらっしゃると改めて知らされた午後です。


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