第186回記事(2014年3月17日(月)配信)(毎週月配信予定)
今回の記事は「見える化」の3回目で、本の紹介になります。
実は大変(気持ちが)「滅入る化」しています。
理由は簡単で、5Sと比較して見える化は、言葉の定義などが無く、「見える化」の対象範囲が不明確で、読む本ごとに独自の考え・世界があり、まとめ方が困難なためです。
その中で、今回の本は「見える化」のブームの火付け役となった本で、「見える化」の対象範囲(本の中ではカテゴリーという言葉が使われています)や「見える化」のバリエーションの説明が記載されており、他の本を読む前にぜひ一読しておきたい本です。
データ
著者:遠藤功(株式会社ローランドベルガー会長。早稲田大学ビジネススクール教授)
(2013年3月に講演を聞かせていただく機会がありました)
出版社:東洋経済新報社
ページ数:200p
出版年:2005年
定価:本体1600円+税
表紙写真:
目次
序章 「見えない現場」と「見える現場」
第1章 「見える化」とは何か
第2章 「見える化」の体系と事例紹介
第3章 「よい見える化」を実現するために
<ポイント>
個人的に強く認識したポイントを書き出してみますと、
●まえがきのⅰxページに「私の知る限り、「見える化」に関する経営的な観点からの研究や体系化はこれまでの前例がない。」と記載されており、「見える化」に関する初めての体系的研究の本と思われます。
●まえがきの中の項目別タイトルに
「見える化」の本質がわかっていない
という言葉が出てきます。この言葉から著者は少し危機感的な思いを持たれているように思われます。よくよく今自分達がやっていることを振り返ってみて、表面的な活動になっていないか、経営的な成果が出せるものなのか、確認する必要があります。
●第2章では34例もの豊富な事例が紹介されており、今後の自社での「見える化」の活動の参考になると思われます。
●「見える化」の定義(75p)、「見える化」のカテゴリー(61p)、「見える化」のバリエーション(48p)など、「見える化」に関する整理をするためには大変有効と思います。
●また、182pからは効果的な「見える化」のための10のポイントが記載されており、今後の自社での「見える化」の活動の役に立つのではと思います。
<独り言>
●「見える化」は言葉は平易だが、実に奥の深いコンセプトだ(この言葉は本の中のどこかに記載されていましたが)と思います。「見える化」の活動を具体的に分解してみると、
①「見える化」したい(すべき)情報を明確にし、
②その情報を見つけた人が、情報が必要な人に「見える化」し、
③見える化した情報により、みんなで改善活動などを行う。
ということになりますが、それぞれのステップでいくつか問題点があることに気づかれると思います。
●終わりから遡って行きます。
まず、③のみんなで改善活動などを行う点では、ただ情報を掲示しただけで行動が起こされていない。具体的には、市場からの不具合件数は目標値をかなり上回っているがちっとも具体的な改善活動が始まらない。
さらに②の情報を発信する人と情報を受ける人と情報の発信方法では、不具合の情報を品質保証部門と事業部門でメールでやり取りをしていたが、掲示板での開示にしたがほとんど見られていなかった。これと同様の記載が本の中にありますが、個人的にも同じ経験をしています。また、先ほどの③の問題点で書いたように、改善が開始されないなら開示をする対象者は適切かどうかという疑問があります。
さらに①の見える化すべき情報が、「見える化」という言葉の基に何でもかんでもになってしまっている。たとえば掲示板に多くの指標の推移グラフが掲示されているが、これらは吟味されたものか。たな卸しした結果のものか。
●いくつも問題点が今の現場に、今の「見える化」にあるのは確かですが、問題を絞り込むと、
「現場での問題解決が出来てこその見える化」
であると考えます。解決行動無き「見える化」は無意味です。目標値と実績値の乖離の度合いで行動をおこさないという判断もありますが。
三右衛門(記)
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