森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

2012 畿央大学ニューロリハビリテーションセミナー基礎編プログラム

2012年06月15日 10時13分21秒 | インフォメーション

2012年度 畿央大学ニューロリハビリテーションセミナー ― 基礎編 ―
プログラム

日 時 : 平成24年6月23日(土),24日(日)
場 所 : 畿央大学冬木記念ホール
 
6月23日(土)

12:00~     受付

12:50~13:00 開会式

13:00~14:30 ① 脳の発生・発達と構造
畿央大学健康科学部理学療法学科 森岡 周

14:40~16:10 ② 脳幹・視床の構造と機能
畿央大学健康科学部理学療法学科 冷水 誠

16:20~17:50 ③ 大脳辺縁系・視床下部の構造と機能
畿央大学健康科学部理学療法学科 松尾 篤

18:00~18:30 テーブル討議

19:00~20:30 懇親会


6月24日(日)

9:00~10:00 ④ 大脳基底核の構造と機能
畿央大学健康科学部理学療法学科 岡田 洋平

10:10~11:10 ⑤ 小脳の構造と機能
畿央大学健康科学部理学療法学科 冷水 誠

11:20~12:20 ⑥ 後頭葉および側頭葉の構造と機能
畿央大学健康科学研究所   信迫 悟志

13:20~14:50 ⑦ 頭頂葉の構造と機能
畿央大学健康科学部理学療法学科 前岡 浩

15:00~16:30 ⑧ 前頭葉の構造と機能
畿央大学健康科学部理学療法学科 森岡 周

16:30~16:50 質疑応答

16:50~17:00 閉会式


Peach研修会 講演

2012年06月12日 17時47分57秒 | インフォメーション

Peach研修会講演
テーマ リハビリテーションに脳科学をどのように応用するか? -運動制御・感覚情報処理から運動イメージまで- 
日程 2012年 6月16日(土) 18:00~21:00 (受付17:30)
        6月17日(日) 10:00~15:00 (受付9:30)
講師 森岡 周 氏
(畿央大学大学院健康科学研究科 畿央大学健康科学部理学療法学科 教授/理学療法士)
会場  医療福祉専門学校 緑生館


位相orU字現象?

2012年06月06日 00時33分27秒 | 脳講座
人間は生まれながらにして、ある程度の機能を有している。
原始反射もその一つだ。
生きていくためのルーティングであり、吸啜でもある。
そのシステムは自己を保存させるための、
シンプルな神経機構である。

意図なく反射的に吸うという反応は、
赤ちゃんに生存をもたらす。

けれども、その時期がある程度すぎると、
赤ちゃんの吸うという反応は行為に変わる。

吸うのをやめて、お母さんからの働きかけを待つようになったりする。
たとえば、途中で吸うのをやめることで、
「どうしたの?」とかの声をまったり、
揺すってくれるのをまったりすることである。

つまり、母親とのインタラクションを楽しむということである。
こうしたコミュニケーションの始まりは、
その後の駆け引きといった人間らしい行為を生み出していくことになる。

駆け引きは他人と共存していくためにはとても大切な人間の行為である。
もし血縁関係だけのコミュニケーションであれば、
ここまでのかけひきという高次機能を人間は持ち得てなかったかもしれない。

一方、人間は自動歩行という原始反射を一度棚上げし、
いったん、動きを減弱化させる。
それまではランダムに足のキッキングがおこっていたのが、
一度、動きを停滞させ、秩序を生み出していく。
カオスを一度集約するためには、
停滞・停止ということをしないと、
システムの変容につながらないのである。

現状の脳卒中リハやペインリハ、それはある意味カオスになっている。
一度、停止させ、そして新たな機構をつくっていかないと、
いわゆるシステムの変化にはつながらないのかもしれない。

システムは延長線上では変化させることができない。

リハの学校で習ったこと、それは何閏年も変わらないシステムなのかもしれない。
今の障害を見る方向性も同じである。
一度、停止させる勇気も僕はいるのではないかと、最近つくづく思う。
いったい、いつまでこの視点の教育を続けるのか・・・
脳卒中リハはある意味システムの方向性を別に舵をきらないといけないのかもしれない。


社会脳と自己脳

2012年06月04日 23時44分31秒 | 脳講座
チームワークはもちろん大切である。
このチームワークは人間が人間たらしめるものである。
特に血縁関係でない、あかの他人とチームを形成し、
共通の問題を解決すべく、
共同注意しながら解決していく、
このプロセスは、
人間がコミュニケーション手段をみにつけた進化そのものでもあり、
そして、このプロセスがあったからこそ、
人間は大脳皮質を拡大してきた。
特に、それは内側前頭前野で大きい。
この場所は感情のコントロールにも関わり、
相手の心を理解したりするところでもある。
また、感情そのものをつくりだすきっかけをつくる扁桃体は、
自分の感情にも関わるが、
相手の感情の読み取りにも関わる場所である。
この脳の場所も、
社会集団の大きさ、あるいは、知人の社会集団の複雑さに
容積が相関する。

いずれにしても、社会性というのがキーワードに
人間の脳は進化してきたに違いない。
この進化プロセスは、
自然環境や食糧難など、
生きていくための問題が生じたとき、
それまでの手続きでは解決できないものに遭遇した際に起こったと考えられる。
つまりネガティブな感情を解決するために、
血縁関係でない人間同士が、それを共有し、
知恵を磨いてきたのである。

こうしたチームワークこそ、
社会脳の極みである。
自己の脳は他者の脳に操作され、ゆだねられるという、
脳間操作系の作動もこの関係性である。

一方、チームワークだけでなく、
ひとりで思いにふけたり、
一人でじっくり考えたり、
創造していくプロセスにおいては、
逆にチームワークばかり意識すると、
不十分になる場合がある。
人間が注意を集中し、様々な事柄を考えたりしてるときには、
外側前頭前野が働くが、
先の内側前頭前野とは抑制関係にある。
すなわち、相手ばかり意識して内側前頭前野ばかり作動させると、
外側前頭前野の働きを抑制してしまい、
自分で考えて道しるべをつくることにブレーキをかけてしまう。

つまり、社会性ばかりを意識してしまうと、
脳の働きがそれのみを優先してしまうことになる。

現代社会はネット社会で、
こうしたブログというよりは、
むしろインタラクションが大きいSMS中心になっている。
この関係性は前者が強く意識され、
こうしたパラダイム転換により、
人間がさらに進化し、
また別の脳のありようになってくると思うが、
ことに、他者の意見ばかりに左右され、
自己を見失うことがあるかもしれない。

研究も同じである。
こうしたインタラクションにより、
他施設での共同研究が進み、
大きなプロジェクトに参画し、
それに伴い世の中のために重要な知見を生み出すことになっていくだろう。
一方で他人の意見に左右される嫌いがあり、
自己でじっくり考え、一人で作業をして、
そして一人で決断し、実行していくという自己脳の働きを弱めるかもしれない。

成熟した脳をつくるためには、
社会脳と自己脳(脳内操作系)の両方が大切である。
特に、若い脳はもろく、その両方のバランスが大切なのかもしれない。

私のゼミは自分一人で論文を書くという自己脳を高めることを意識しているが、
そのプロセスは共有し、実験の協調性などは社会脳を高めることを意識している。

サッカーでいうと個人の技術、知能が高くないと、
メンバーの一員となっても機能しないからだ。
中学校の弱小チームでよければ、
はじめから社会脳を意識して、
助け合いの精神だけどたたき込めばいいかもしれないが、
バルサのようなサッカーを目指すためには個人脳を高めることによって、はじめて難問題を解決すべき社会脳を実存させていくものだと考えている。