森岡 周のブログ

脳の講座や講演スケジュールなど・・・

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2009年05月27日 00時48分18秒 | 過去ログ
本日は神経系理学療法学では
apraxiaのビデオ観察を行い
その評価ならびに神経メカニズムを話した。
時間がいくらあっても足りない。
興味にあるものは残って質問をもらうが
10分後に発達系理学療法学が始まるために
自分がいったん研究室に戻り
すぐさま教室にとんぼ帰りしてくる状態で
ゆっくり解説できない。
すぐさま疑問を解いたほうがよいに決まっているのに。
人間の生理とてわからないものをそのまま放置することはよくない。

発達系では6か月児の発達に関してプレゼンを聞いた。
前半の山場の月齢である。
筋力onlyという呪縛から逃れるためにも
発達や高次脳機能障害は意味がある。

その後、2年生数名が研究室に来て
さらに理解を深めた。

大学院授業前に
PT学会のシンポジウム「神経科学とEBPT」のスライドを整理した。
去年のシンポジウムで講演した「痛みの脳内機構」では
時間配分を間違い後半のスライドを飛ばしたが
今年もそれが起こりそうなので
いったん、シミュレーションしておこうと思い
大学院生の前で披露した。
案の定、早口、高速になったため
東京に入って大幅にスライドをカットしようと思う。

大学院生からは、今日は脇田君から
運動器疾患の運動イメージ能力が取り上げられ
自らの研究テーマを示してくれた。
時間が足りないので
また研究室のページ上で議論してもらえればと思う。
運動器疾患の脳内機能マップもマーゼニックらの神経可塑性の研究からは
24時間~48時間以内に変化が起こることが明らかにされている。
運動器疾患においても脳のなかの身体地図の視点にたって
脳内の運動プログラム形成に対して治療介入していかないといけない。
共同研究者の京大の山田先生の臨床データはその臨床的な根拠になろう。


そののち、清水君から
キャノニカルニューロンシステム活性化により
運動器疾患の機能障害に対して効果を示すことができないか?
というテーマからプレゼンがあった。
それがそのニューロンシステムの活性化なのか
内的言語化による活性化なのか分別すべき点が残された。

いずれにしても、整形外科疾患の脳の機能をとらえる意味でも
重要な研究成果となるよう
しっかり計画・手続きを吟味してもらいたい。

金曜日のシンポジウムでは
そうした視点を捉えた神経科学研究を公表していただいた
札幌医大の金子先生と同じ檀上である。
楽しみにしている。


さて、洋書はもっていたが
和訳のミラーニューロンに関連する書が出た。

ミラーニューロン(ジャコモ ・リゾラッティ著)と
ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学(マルコ・イアコボーニ著)が出版された。
日本語で確認したい。

その前に、是非にでも
「脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわ(サンドラ ブレイクスリー 著)」を読んでもらいたい。
ほとんどの知見は知っているが
この著者が書くとこうも面白く書けるのである。
そう、「脳の中の幽霊」の著者である。
私が考えているリハビリテーション治療を
科学的・文化的も後押ししてくれる。
久しぶりに、読んで良かったと思う「脳本」である。


「脳科学」は自分探しの旅である

2009年05月24日 21時56分25秒 | 過去ログ
昨日はデザイン学科の深井さんのコーディネートで
五位堂駅付近の居酒屋で
教育学科の私の科目をとってもらっていた4年生の
メンバーと懇親会を行う。

深井さん、袁さん、須田さん、北原さん、松林さん、谷口君、目黒君、そして、
教育学部の西端先生と。

西端先生は前任校で図形認識、計算処理時の脳活動を計測していたようだ。
情報教育の先生と認識していたが、
NIRSの計測を行っていたことを知れてよかった。
教育学部の先生方には是非にでも使っていただきたい。

理学の懇親会とは違って
おとなしい感じで進んだが、
もうみんな4年生なので落ち着いており、
人生というか、恋愛というか、男と女というか、教育論というか、
そのような話をした。

脳科学の先生というように認識されているが
まあ、脳の専門というより人間の専門なのかもしれない。

みんな教員の志向性であるので、
大学の教員のあるべき姿についてサジェストをいただいた。

情熱を大切にしてもらいたい。


「脳科学」とは自分探しの旅である。
「人間」のことを知りたいという、
その背後には「脳―身体―環境」を無視できない。


自分とは何か?


その究極の目標を調べようとするのが科学である。


キムタクのMr. Brainを予約録画しており、
0時過ぎに自宅に帰り、
酔ったなかで、2時間、がんばってみた。


youtubeの動画をどのように検索すればよいのか???ということを聞きました。
貼り付けておきます。

THE CORTEX


THE CORTEX (2)


Reunion of Rock (5)


Reunion of Rock (9)


Reunion of Rock (8)






この時代だからこそアナログ脳への回帰

2009年05月22日 23時35分22秒 | 過去ログ
昨日は奈良県立高田高校のPTA総会で講演を行う。
校長先生、教頭先生にご挨拶し、
進学部長の親御さんに対しての「エール」を聞き、
高校というものは、こういうものなんだという再認識をした。

自分の講演は120名ほどのご両親の前で
「意欲」「学習」「親学」「脳」というキーワードで話した。
久しぶりに前半の部分をシミュレーションしたため、
講演時間ぴったりという久しぶりの感覚をいだいた。
やはり準備はしないといけないと思う。

内容は、生物らしい欲求の源について話をして
デジタル化による身体を伴わない学習の問題について最初に提起した。
脳は身体がないと生きていけない。
それをデジタル化による情報過剰によって人間は忘れかけている。
身体を介することで生物らしい感情が生まれる。

その後、脳における三つの学習スタイルを話して、
今回は特に強化学習について話した。

ドーパミンが放出されるには「やさしすぎない,難しすぎない」課題や問題に取り組んでいる瞬間である(不確実性と確実性のバランス).
簡単な問題を解いているときには張り合いがなく,
やがて退屈になってしまう.
一方,手に負えない難問に取り組んでも,
どこから解決してわからず,いやになってしまう.
その神経学的なものを離して、
習慣化されるため(無意識化)されるための長い手続きを話した。

歯をみがくように、
勉強をする、
それまでにはしばらくかかる。

こうしたブログも一緒である。
習慣化するということは
脳のシステムによってもたらされ、
やはり、動いて、感じて、続けて
長期増強して、
手ごたえを感じて、
そして、使命感をもって、
はじめて、前頭葉での意識が、
淡蒼球に向かう。


そのためには、
小さい山・目標を設けて、
そのつど手ごたえを感じないとやっていけない。
そのためには比較照合しなければならないし、
比較照合するためには、感じなければならない。


関心・興味を活かした細分化勉強法にものべ、
アウトプット勉強法(言語化は知性の源)を話して、
主体性とは何かを話した。



記憶はそのまま蓄えられるのでなく,図式化される.
記憶は蓄えるためにあるのではなく,使うためにあるものである.
使ってはじめて自覚できる.

もちろん、主体性にはやらされている感の脱却がなければならない。
前頭葉は自由を好む。


最後には、人は人に興味を持ち,
人は人を模倣するという点から、
ものへの目的・憧れでなく、
ひとへのあこがれ・目標を持つことが大切であることを話した。
なぜ、スポーツや芸術には興味がひかれるのかのヒントを話した。


いずれにしてもデジタル脳からアナログ脳への回帰を考え、

やる気をもたらすためには

① 目的意識を持つ(適度な山にする)
② 達成感からドーパミンを放出する
③ 好き嫌いを知り,食わず嫌いであると知る.
④ 考え込むより動くこと(output)
⑤ 知らないことを楽しむこと
⑤ 睡眠

を脳科学から話し、

最後に次のメッセージをお母様たちに送った。

親がデジタル脳のみで対応すれば,子もそれを模倣しデジタル脳のみで応対する.

親がアナログ脳のみで対応すれば,子は接近するか,回避するかの2者択一
になってしまう.

デジタルとアナログ両者を使って自然に接することが一番である.

子は親を模倣することが自然の掟である(親が楽しそうであることが大切).

人間は生物(自然)であることを忘れてはならない.


体育館というなれない場所での講演であり、
少し疲れたが、久しぶりに自分を知ることができた講演だった。

帰りに教頭先生とパワーポイントの話をして、
私が大学の講義ではほとんど使わないことを話した。
その理由は脳と身体と環境との関係にある。
高校ではやはりほとんど使われていないそうだ。
それは古い人間の集まりというよりは、
子供の近接領域のためであろう。

これには賛否があろうが、
デジタル脳では身体を模倣しない。
抑揚、チョークの圧、音、
そして何よりも人間は人間の顔と身体に最も注意をはらう。
視線、声、そしてジェスチャーに。
それは意図を読み取ろうとするミラーニューロンのせいだ。

共鳴することではじめて学習する。
情報を入力する一辺倒でなく、
それを共鳴させ、模倣させる。
その生物らしい学習システムがこれから先も続けなければならない。




大学に帰り、
リサーチミーティングに参加し、
大学院生たとのPT学会のポスターを確認した。


私のPT学会のシンポの準備は土曜日1日でフィニッシュしたい。


脳は自由を愛する

2009年05月20日 23時16分49秒 | 過去ログ
昨日は学部の授業を行う。
神経系理学療法学では神経科学の視点から
Apraxiaの解説を試みた。
最初は目が点になっていたが
ある例題を出すと「腑に落ちた者」も出てきた。
理学療法士というものはapraxiaに無力だ。
視点を変換しないと
この現象の解読ができない。
それはクラシカルなもののみを教えても
何の解決の糸口にならず
ご批判もあると思うが
未来に向けて1歩踏み出さないといけない。
その際、運動麻痺と違って
無力さを痛感するapraxiaから始めるのも一つの手続きだ。

ある側面からしか見ようとしないから
何も見えない、そして見えたとしても
クラシカルなものに誘導されたバイアスになる。
日進月歩のサイエンスを貪欲に取り入れ
クリエイティブなクリニックを考える
これこそが科学的視点に立脚したクリニックだと思う。

エビデンスも一つの方向性だが、
その根幹にはサイエンス・ベースド・リハビリテーションを
意識しておかなければならない。

エビデンスが誇張されてしまうと
サイエンスで調べるものがもう無くなってしまう。
その両者をきちんと理解した上で情報を読み取る。
この作業を医学にいる人間はしないといけないし、
生活学にいる人間もしないといけない。
依然として、受け売りだ。
今日もある勉強会のスピーカーからもれる声を耳にしたが
第一人者だとか、そんなことで臨床が決まるものではない。
そのようなトップダウン・決め付け志向性が
サイエンスを邪魔する。


神経系を終え、
発達系にうつる。
4か月児の発達と
5か月児の発達の違いに関して
ディスカッションした。
まとめる能力はうちの学生は高いと思う。
おそらくリーダーシップをとる人間の能力に依存していると思うが
その開き・標準偏差が年々広がらないように
すがりつくんだ。


院の授業の前に大学院GPの書類に目を通し
そして木曜日の超難題な講演テーマの準備を始める。
簡単な方法がわかれば自分が知りたいものだ。
「やる気」とは自由を感じることだし
「やらされ感」から脱却することだ。
自由を感じない学習は長続きしない。
うちの大学のゼミ決定も不思議であるが
いずれにしても「脳は自由を感じる」ことで学習する。
A=Bという論理でなく
私が感じる(受ける)感覚から起こる感情によって行動が決まる。
そのような人間の心理についてのサイエンスを理解することが
教師にも求められる時代であろう。
いずれにしても社会主義的な「均一化」はどこかで綻びがでる。
「同一」なんてこの世にはない。
もしあればそれは物理・機械な世界だ。
「違う」から人間は面白い。
それを物理的な尺度のみで
一緒(同一)にすることは
もはや前頭葉は必要ないという
どこにってもAEONという社会を作ってしまう。

そんなことを言われても自分もルールの中に生きているが
あまりにもそれが息苦しい(感情の自由度を完全に奪われてしまえば)
それ相応の覚悟を決めるだけである。


19時40分から院の授業。
本日よりM1からの情報提供が始まった。
末吉さんからは前頭-頭頂ネットワークと
クロスモダルトランスファーに関する知見。



若田君からは聴覚と視覚の行為変換システムの差異に関する検討
が話題提供された。



論文をどのように読むのかをサジェストし、
受身的に論文を読まない(入力して記憶するだけ)ことの留意を話した。

記憶は使ってなんぼである。


聴講する河石くん


本日は朝一番から看護医療学科の「感情体験の脳科学」
いわゆる「接近・回避」から
万国共通の6つの情動、
そして大脳皮質の機能も加わった
社会的感情(一人称的感情)を説明し
人間をケアする上での感情の読み取りをどのようにするのかについて話した。

また情動については前回は恐怖を取り上げたが
今回は嫌悪を取り上げ
内臓感覚と島の機能について話した。

最後には、次回から感情の読み取りに入るための
前段階として表情認知のエクササイズをした。

こころを読み取る最前線
それが看護師だ。

その後、SAPS3期生の依頼された
感情脳と飲酒時の脳の状態について話をして、
みんなからの質問を受けた。



ポジティブ脳に切り替えるためのヒントも話した。
まあ、そんなに簡単にはいかないけどね。

そののち、明日の高田高校の講演の資料をフィニッシュさせ
大学院GPのための業績つくりを行った。

19時30分より奈良の勉強会に参加し
歩行の外部観察を確認した。

現象を理解するためには他の現象をこじつけてもいかない。
今までの理学療法はその問題を解決できていない。
それは哲学的命題の理解をしていないからである。
その背景となっている病理を知るために
動作を観察する。
これができないと動作の病理の根本へと到達できない。
この到達しようとすることがセラピストとしての生涯の旅である。
自分も現役を続ける限り
その真理を追い求めたいものだ・・・

21時過ぎに終了し、
大学院修了生の藤本君の今後の研究を話し合い
データ採取の目的をサジェストした。
うまくいけばよいのだが・・・
被験者のためにも学会発表のoutput(社会貢献)にとどめず、
論文というoutputでさらにその社会貢献の精度を高めてもらいたいものだ。


さてさて、結構、激務であり、
メールの返信が1か月ほど滞っています。
緊急なものには対応していますが
そうでないものは対応できません。

6月までお待ちください。
よろしくお願いします。


月末のPT学会の準備なんかとんでもない状況だ・・・またもや追い込まれている。。。脳の創造性からほど遠い毎日だ。東京でもインフルエンザ感染が起こったようだが・・



精神改造

2009年05月18日 08時27分56秒 | 過去ログ
日曜日は長野の佐久平に入り
駅近隣の研修施設で長野県理学療法士会の研修会で講演を行う.
木内先生にお出迎えいただき
4時間の講演を行う.

ニューロイメージングというテーマであるが
そのコンセプトは,脳が活性化したという視点に
一喜一憂せず
基本的な脳の知識をまずもって
患者さんの治療にあたるというものである.

あたりまえの事実となった
行為システムのhow機能である頭頂連合野の存在意味や
運動シミュレーションのための前運動野の機能について
その詳細について知ることで
患者さんの治療に向かうという視点である.

これはある面,「根拠ある治療」の創造になるものであり
これをやれば,「脳」が賦活したというのみで
自動化した治療を構築するという知恵のないセラピストをつくらないとい視点である.

根拠あるリハビリテーションの提供とは
自らの知識・知恵と相関する.

EBPTとはそういうものである.
今度の学会では最終的にそれを帰結としたい.

かなり脱線した講演であったが
本を読むよりわかりやすいとの意見をいただき
まずまずであったかと思う.

信州大学の木村先生と今後の展開を確認し
長野を後にした.

高知の先輩・後輩や
今年卒業した長崎さんにもあえてよかった.
200名を超える聴衆者に長野人の勤勉さを感じた.
会長やキャリアを有した先輩PTの聴講も多く
これまた長野人の余裕を感じた.

16時すぎに佐久平をたち
東京を経由し京都を経由し奈良まで
5時間半の長旅を「ふらふら」になりながら
ときに大音響のよさこいミュージックを聞き
鼓舞させながら
帰路についた.

ベースは半分ぐらい耳コピーしました・・・

思うようなボディの振る舞いができないため
体力をつけるトレーニングやサプリメントを意識しはじめました.
語学の勉強のように1か月でやめないように意識します.


論文掲載

2009年05月16日 11時12分24秒 | 過去ログ
以下の論文が掲載されました。
印刷物になるという、すがすがしい感情が生まれたのではないだろうか。


博士課程の信迫君の筆頭論文

信迫悟志,清水重和,玉置裕久,三鬼健太,森岡 周:運動観察における意図推定の付与がミラーニューロン活動に与える影響;fNIRSを用いた検討.理学療法科学 24:191-199,2009


昨年度、修士課程修了の川崎君の筆頭論文

川崎 翼,森岡 周:身体位置関係の認識と立位姿勢バランス能力の関連性.理学療法科学 24:257-262,2009


高知大学医学部認知行動神経科学教室の共同研究者の森垣氏、津野氏の筆頭論文

森垣浩一,片岡保憲,越智 亮,太場岡英利,森岡 周,八木文雄:慢性期脳卒中片麻痺患者の下肢降り出し動作における歩幅の認識能力.理学療法科学 24:253-256,2009

津野雅人,片岡保憲,太場岡英利,越智 亮,森岡 周,八木文雄:到達運動距離の予測による脳卒中片麻痺患者の運動イメージ障害の検討.理学療法科学 24:269-272,2009