5月の読書メーター
読んだ本の数:31
読んだページ数:9159
ナイス数:3932
博物館の少女 怪異研究事始めの感想
面白かった!大阪の古物商の娘・花岡イカルは両親を相次いで亡くし、文明開化の東京へやって来た。遠縁の河鍋暁斎の娘の案内で上野の博物館を訪れトノサマこと織田賢司の助手として働くことに。イカルの成長譚としても楽しめるし、後半の黒手匣探しも面白い。博覧男爵・田中芳男も登場。これは序章なのかな?シリーズ化してくれたら嬉しい。
読了日:05月01日 著者:富安陽子
たそがれ大食堂の感想
長年地域の人々に愛されてきた百貨店大食堂。時代の流れと共に廃れ存続の危機が迫る。上顧客の怒りをかったことで畑違いの大食堂マネージャーに異動させられた美由紀、若社長が勝手に引き抜いてきたシェフの智子、受付嬢のカンナが中心になり「チーム・ちゃんぽん」が立ち上がる。懐かしい昭和レトロな大食堂は智子の凄腕でメニューを一新、美味しく楽しい場所へと蘇る。王道のお仕事小説、楽しく読了!
読了日:05月02日 著者:坂井 希久子
母親からの小包はなぜこんなにダサいのか (単行本)の感想
田舎を脱出して念願の東京一人暮らしを始めた女子学生、キャリアウーマンの母を否定し専業主婦で居たいと願う娘、仲良しの家族を持つ恋人にメルカリで注文した野菜を母からの小包と偽る女性。母からの小包をネットで販売する農家、亡き父に長年送られてきた羅臼昆布、圧巻は「最後の小包」。病をおして娘に荷物を送ろうとした母の愛情に涙…。6編すべて良かったです。
読了日:05月03日 著者:原田 ひ香
ブラザーズ・ブラジャーの感想
佐原ひかりさん、初読み。父の再婚で新しい母と弟が出来た女子高生のちぐさ。弟・晴彦はブラジャーを好きな中学生だった!中々衝撃的なスタートだったが、読み心地は良かった。
読了日:05月03日 著者:佐原ひかり
月の王の感想
第二次世界大戦前夜の魔都上海を舞台に大神明が暴れまくる。やんごとなき令嬢を日本に帰らせるため、陰謀と謀略渦巻く上海に血の雨が降る。ありえない設定だけどそこは物語の世界、面白くて一気に読了。さて、明と雪に未来はあるのか?続きがあったら読みたい。
読了日:05月06日 著者:馳 星周
星のように離れて雨のように散ったの感想
大学院生の春は創作による修士論文と「銀河鉄道の夜」を扱った副論文の準備に励む。春の幼い頃に失踪した父の存在、交際している亜紀くんとの関係、春の心の複雑さは周りの友人やバイト先の作家・吉沢にきちんと受け止められ春自身が自分を見つめることが出来たのが良かった。不思議な読書時間だが、読み心地は悪くない。
読了日:05月07日 著者:島本 理生
月下のサクラ (文芸書)の感想
県警の事務職員から警察官になった森口泉は捜査支援分析センターの機動分析係に。配属1日目に起きた県警の金庫からの大金盗難事件と警察上層部の闇、そして公安…。新米の泉、いきなり大活躍?面白かったけどやや不満も。捜査支援分析センターの仕事のシーンは興味深く満足。
読了日:05月08日 著者:柚月裕子
ネコのジュピター (新しい日本の幼年童話)の感想
オリオンキャットフード工場の試食係は星の名前の猫たち。ある日工場が閉鎖されることになり、ジュピターはみいこさんの家の里子に。ところがライバル社のキングのフードは不味くてジュピターは工場に戻ろうと飛び出して…。ハラハラする冒険、カラスやネズミとの友情、優しいおばあさんとの出会い。星さんとの再開と工場復活、幸せそうな猫たちの表情がとても素敵!読み友さんの感想から。
読了日:05月09日 著者:茂市 久美子
もうひとつの「流転の海」 (新潮文庫)の感想
夢中で読んだ「流転の海」、本作は堀井憲一郎さんが宮本氏の全短編・全エッセイから松坂一家の軌跡を紡いだ作品を取り出してくれたもの。読みながら、そうそうこんなシーンあったなとか、晩年の若い女との不倫は母と息子を手酷く痛めつけていたのだと再確認したり。「母への手紙」は、感動で涙が…。堀井氏の著書「流転の海読本」も入手したくなる。
読了日:05月09日 著者:宮本 輝
隠れの子 東京バンドワゴン零 (集英社文庫)の感想
江戸の「隠れ」と言う特殊能力を持つ人々。闇の隠れとの対決、様々な力を持つ「隠れ」が居て面白い。なんと言ってもあの堀田家のご先祖と思しき定廻り同心・堀田州次郎が登場するのが楽しい。これも続きが読めたら嬉しい。
読了日:05月11日 著者:小路 幸也
図書室のはこぶねの感想
体育祭を控えて校内が沸き立つ中、怪我のため運動を禁じられた元女子バレー部の百瀬花音は友人のピンチヒッターで図書委員を引き受ける。10年ぷりに返却された「飛ぶ教室」と挟まれていたメモ。体育祭の目玉の【土曜日のダンス】を巡る謎解き、爽やかな青春もの、面白かった!
読了日:05月11日 著者:名取 佐和子
私のカレーを食べてくださいの感想
第2回日本おいしい小説大賞受賞作。施設で育った山崎成美は幼い頃に担任の先生に食べさせて貰ったカレーの味に魅了され、自分でも作りたいと言う一念でカレーひと筋に努力を続け「麝香猫」で店長を任されるが…。思わぬ不幸で挫折、長野の工場で働くが、カレーへの情熱を取り戻し再び立ち上がる。カレーの魅力満載のお仕事小説。口の悪いトヨエツ弁護士とのやり取りをもっと読んでみたいので、続編が出たら読みたい!幸村しゅうさん初読み。
読了日:05月12日 著者:幸村 しゅう
わたしが消えるの感想
佐野広実さん、初読み。第66回江戸川乱歩賞受賞作。元刑事の藤巻は軽度認知障碍を宣告され自分の行く末を思い煩うが、介護施設で実習中の大学生の娘から施設の門前に置き去りにされていた認知症の老人・通称門前さんの身元を突き止めて欲しいと依頼され調査することに。門前さんの過去に隠された驚きの事実、最後まで引き込まれて一気読み。公安絡みと警察内部の陰謀説でやや無理な展開もあるがこれからが楽しみな作家さんに出会えて満足の1冊。
読了日:05月14日 著者:佐野 広実
フシギの感想
死んだ担当編集者から夜中に届く不思議なメール。「3人目の女が現れる」私を殺しに。訳あり物件や犬神、共依存、人毛醤油?!気持ち悪いし読んでいて不気味さは募る、でもページをめくる手は止まらない。ラストまですっかり騙されていた。なるほどね、作家の私…。
読了日:05月14日 著者:真梨 幸子
いつの空にも星が出ていたの感想
横浜ベイスターズ愛に溢れた物語が4編。物静かな高校の先生、予備校に通う女子高生、家業の電気店で働く若者、少年野球のピッチャーとその父で洋食屋のシェフ。それぞれの人生とベイスターズが交錯する。爽やかな感動をもらった1冊、お薦め本!
読了日:05月15日 著者:佐藤 多佳子
わらべうた 〈童子〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)の感想
6人の女流作家の子供を主人公にした時代小説。半分は既読だったが良い作品は何度読んでも面白いのでOK。澤田さんのはシリーズを読んでみたくなる。
読了日:05月17日 著者:宮部 みゆき,西條 奈加,澤田 瞳子,中島 要,梶 よう子,諸田 玲子
鑑定人 氏家京太郎の感想
元科捜研の職員・氏家京太郎は民間の鑑定センターで様々な鑑定にあたる。連続猟奇殺人の容疑者が二人の殺害は認めたが三人目の殺害を否認、ヤメ検弁護士の吉田の依頼で氏家が鑑定に。データを盗まれたり職員が襲われたりとハラハラドキドキ、裁判が始まるまでが長いが畳み掛けるようなラストの展開はさすが。千葉県警のアマゾネス・高頭冴子登場が嬉しい。
読了日:05月18日 著者:中山 七里
あきない世傳 金と銀(十一) 風待ち篇 (ハルキ文庫 た 19-26)の感想
藍染めの浴衣を世に出し商売は順調で宝暦十年が明けたが、江戸の町を災いが襲い業火に焼け出される数多くの人々。五鈴屋は無事で藍染め浴衣を一時の流行りで終わらせないために幸が下した決断、太物仲間と手を携えて大勝負に出る。音羽屋の悪だくみもサラリとかわし、太物仲間の温かい計らいに涙が…。風待ち編、楽しく読了!
読了日:05月18日 著者:高田 郁
あきない世傳 金と銀(十二) 出帆篇 (ハルキ文庫 た 19-27 時代小説文庫)の感想
様々な苦難を乗り越えて五鈴屋は呉服商いに復帰。真摯な商いは武家からも好感を持たれ益々の繁盛。店を訪れるお客も貧しい暮らしの者から高価なものをためらいなく買える者まで幅広くなる。どんなお客にも満足してもらいたいと言う幸の願いはどう形になってゆくのか楽しみに。次巻は吉原での衣装比べ、音羽屋結との対決がどうなるのか期待が高まる。
読了日:05月19日 著者:高田 郁
帆神: 北前船を馳せた男・工楽松右衛門の感想
漁師の息子ながら知恵も力も並外れた牛頭丸は、長じて一介の水夫から船頭にやがては北前船を操り商いで名を馳せる。和船の時代により早く船を動かす為に帆布をあみだし、自身の利益にせず惜しみなく人々に教え広める。エトロフや函館の築港、故郷高砂の河口の浚渫や防波堤作り、工楽松右衛門の生涯と彼を支えた3人の女性。とても面白く満足の1冊。
読了日:05月21日 著者:玉岡 かおる
君に言えなかったことの感想
こざわたまこさん、初読み。言葉にすることは難しい。結婚する友達への手紙「君に贈る言葉」、バスケ少女「君のシュートは」、亡き母の愛情に気づかされる「君に言えなかったこと」が良かった。読むタイミングのせいかあまり楽しめなかったのが残念。
読了日:05月22日 著者:こざわたまこ
羊毛フェルトの比重の感想
思っていることを中々言葉に出来ない根城紬30歳。手芸店に勤めて10年、意地悪な先輩・クズ男の彼氏・高圧的な母親、あれこれ思い悩み心に蓋をして送る日々。紬の心を癒やすのは羊毛フェルトのぬいぐるみ作り、一人の小学生との出会いをキッカケに生活が変化して行く。これは素敵な1冊、お薦め!
読了日:05月23日 著者:髙森 美由紀
紙屋ふじさき記念館 春霞の小箱 (角川文庫)の感想
年度末で閉館することが決まった「紙屋ふじさき記念館」、残り半年と少しを東秩父や小川町を訪ねたり、毎月のワークショップの準備に力を入れる百花たち。しかし閉館間際に日本を襲うコロナ禍、閉館セレモニーも中止の憂き目に。記念館のこれからはどうなるのか?
読了日:05月23日 著者:ほしお さなえ
楽園ジューシーの感想
5カ国の血が流れるミックスのザッくん。元いじめられっ子でネガティブな彼が沖縄のホテルでアルバイトをすることに。オーナー代理の安城さんは相変わらず夜になるとシャキっとする(笑)ザッくんがいつまでもウジウジ変わらないので少しイラつきながらの読書。沖縄の様々な事情や首里城のことは興味深く読めた。
読了日:05月24日 著者:坂木 司
ふしぎ駄菓子屋 銭天堂16の感想
偽銭天堂のお菓子で被害を受けた人たちを救済する紅子さん。そして六条教授との直接対決!逆恨みからの銭天堂潰しだったとは。研究所は焼失したけれど悪意の人物はまだいるし、紅子さんの正体も明らかになりそう。次巻が楽しみ!
読了日:05月25日 著者:廣嶋玲子
彼女が知らない隣人たちの感想
パートで働きながら夫と高校生の息子と小学生の娘と暮らす主婦の咏子。ある日起こった連続爆発事件に不安を覚える。外国人技能実習生や難民支援団体への攻撃。家族の物語かと思ったら中々難しい問題を提起した作品だった。あさのさんには珍しいタイプの作品。
読了日:05月25日 著者:あさの あつこ
情熱の砂を踏む女の感想
闘牛士の兄が死んだ。スペインにその死を悼む為に渡った怜奈は兄の死の理由に不審を抱く。嫌っていた闘牛に魅せられ自らも女性闘牛士への道を歩き始めるが道程は厳しく辛いものに。興行としての闘牛にまつわる闇と陰謀、兄の死の理由に納得だが、最後の告白は蛇足に感じた。未知なる闘牛の世界を楽しめた1冊。
読了日:05月27日 著者:下村敦史
イクサガミ 天 (講談社文庫)の感想
明治11年、報国新聞に大金を得る機会を与えるという記事が掲載され、全国にばら撒かれた。強者たちが集められたのは京都の寺、一人一点の札を配られ、点数を奪い合い東京を目指すことに。剣客・嵯峨愁二郎は12歳の少女双葉と共に進み始めるが、強敵が次々に現れ前途は多難。物語はまだ序章、この熾烈なゲームの首謀者は誰か?死闘は続く。次巻が待ち遠しい!
読了日:05月29日 著者:今村 翔吾
コンビニ兄弟2 (新潮文庫)の感想
名物店長がいるコンビニ・テンダネス門司港こがね村店。今作はフェロモン店長の出番は少な目、[恋の考察をグランマと][廣瀬太郎の憂鬱][クィーンの失脚]恋にまつわる3編はどれも面白い。エピローグでは謎の美女が…。不穏な雰囲気だが次作でどう展開するのか、とても楽しみ!
読了日:05月30日 著者:町田 そのこ
君と漕ぐ4 ながとろ高校カヌー部の栄光 (新潮文庫)の感想
初心者だった舞奈が大会デビュー、恵梨香は着々と成果をあげ強化指定選手に選ばれる。希衣は試合になると千帆に勝てない。そんなながとろ高校カヌー部も進級しちょっと変わった新入部員・富歌も加わる。ついにフォア競技に挑むことに!爽やか、胸アツ、部活って良い!
読了日:05月31日 著者:武田 綾乃
金の角持つ子どもたち (集英社文庫)の感想
小6になる俊介はサッカーの選抜メンバーに選ばれず、7年続けたサッカーをやめ中学受験を決意する。息子の夢を応援する両親、難聴の妹の小学校入学、家計の為に働き始める母。最難関校を目指す俊介の頑張りに胸が熱くなる。母の目線の第一章、俊介の努力を描く第ニ章、塾の講師加地のことが綴られる第三章。我が家には縁のなかった中学受験だが、とても良い本を読ませて貰った。
読了日:05月31日 著者:藤岡 陽子
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