北欧スウェーデン の生き方情報 スウェーデン報

北欧スウェーデンの日常を生活者目線でお伝えします。
幸せの国、北欧スウェーデンのなるほど〜な生き方をお伝えします。

コニストンのヒーローたち② ドナルド・キャンベル

2017-07-15 19:09:13 | イギリス

ドナルド・キャンベル(1921−1967)はスピード王。

世界記録を8回も塗り替えている。
そのうち7回は水上ボート。

一回は車。 


ドナルド・キャンベルの物語は、父親のマルコム・キャンベルから始めなければならない。

マルコムは、オートバイレースで2回優勝、さらに車のレーサーとしても活躍した。

メーテルリンクの「青い鳥」に感銘をうけて

彼のレーシングカーは「Bluebird」と名付けられた。

右上がマルコムとドナルド

息子のドナルドも父の影響を受け、スピード記録と戦い続ける。

彼のボートも「Bluebird」と名付けられた。

コニストンに行くとあちこちでBluebirdやCampbellという名前を見かける。

私の泊まっていたロッジもBluebirdロッジ。

遊覧船はCampbell号。


 

その理由は、すべてこのドナルドキャンベルにあった。

 Bluebird K7は、7回の世界記録を樹立し、そのうちの4回はこのコニストン湖で成し遂げられたからだ。

コニストン湖はウィンダミア湖よりずっと小さいが、直線距離が長いため、時速400キロを超える記録樹立には最適な環境だったようだ。

ドナルドの名を不動のものにしたのは、実は、この素晴らしい記録のせいだけではない。

1967年1月4日のコニストン湖の挑戦で、時速480キロのBluebirdは、空中に舞い上がるとそのまま湖にたたきつけられ沈んでしまったのだ。 

ドナルドの最後の言葉は「She is going・・・」

 

この悲劇は瞬く間に世界中にひろまった。

記録樹立を撮影していた映像は、そのまま、事故の記録映像となった。

多くの人が生々しい最後の瞬間を映像で見ることとなった。


コニストン湖は深く、結局、沈んだBluebirdもドナルドも見つけることはできなかった。


彼の次々と打ち立てる記録で励まされた多くの人たちが彼の死を悼んだ。

彼の死後1月28日に水上スピード記録に挑戦し続けた勇気と決意に女王から勲章(Queen's Commendation for Brave Conduct)が授けられた。


その後2001年に家族の願いもあってようやっとダイバーたちが沈んだBluebirdとドナルドの遺体を引き上げることができた。


こうして死後34年たって、ドナルドの葬儀はコニストン村で執り行われた。

今はコニストンの教会の墓地に眠っている。

引き上げられたブルーバードは、ラスキン博物館の一角にドナルドキャンベルコーナーが設けられ、そこに展示されている。 

父から引き継いだ命を賭けて「青い鳥」を探す夢は、娘のジーナにも引き継がれ、彼女も女性の世界記録を樹立した。

もちろん彼女の船も「Bluebird」。


親子3代でスピードを追い続けた人生、彼らは彼らの青い鳥を確かに捕まえたのだろうか。

 

 
 

 


コニストンのヒーローたち① ジョン・ラスキン

2017-07-15 10:21:33 | イギリス

真の偉人の最初のテストは謙虚さだ

The first test of a truly great man is his humility.


ジョン・ラスキン(1819−1900)の名言。


こんなのもある。

In general, pride is at the bottom of all great mistakes.

(概して、大きな失敗の基は、プライドだ)


What we think, or what we know, or what we believe is, in the end, of little consequence. The only consequence is what we do.

(何を考え、何を知っていて、何を信じているかなんて結局たいしたことではない。大事なのは何をするかだ)


In order that people may be happy in their work, these three things are needed: They must be fit for it. They must not do too much of it. And they must have a sense of success in it.

(働いて幸せになるために必要なものは3つだ。その仕事が向いていること、働きすぎないこと、そして、それがきっとうまくいくと確信していること)


The highest reward for a person’s toil is not what they get for it, but what they become by it.

(厳しい仕事から得られる最も価値ある報酬は、その結果ではなくて、それによって作られた成長した自分だ)


私がいちいちぐさっときたものだけ書いてみた。

ラスキンは、ビクトリア朝時代の思想家・美術評論家だ。

ターナー(最も有力な支援者)やルイス・キャロル(アリスのモデルになったアリス・リデルの家庭教師していた)やミレー(奥さんを、応援していたミレーにとられて離婚)とも交流があって、日本でも夏目漱石の文学論に名前がでてくる。プルーストやガンジーにも影響を与えたと言われている。


で、なぜコニストンのヒーローかというと晩年をコニストン湖畔にあるBrantwoodで過ごしたからだ。


Brantwoodは、コニストンの町の対岸にあるが、遊覧船で行って降りて次の遊覧船で帰ってくることができる。

当時の裕福な知識人の暮らしがうかがえる瀟洒な建物だ。

どの部屋からもコニストン湖が眺められる。

ダイニングは大きな二面の窓からコニストン湖が楽しめる。


私が一番好きなのは寝室の角に作られた出っ張った6角形の眺望スペース。

そこからは、コニストン湖を端から端まで眺められる。


時間があったらぜひ、足を伸ばしてほしい。

時間がない人は、コニストンの町にラスキン博物館があるからそちらへ。


その一角では、ラスキンのオックスフォードでの授業のビデオも流れている。


ラスキンを誇りに思っていることの表れで

コニストンにはラスキン工科大学と銘打たれた学校もある。


もちろん、ラスキンのお墓は、地元の教会にある。
だれでも、わかります。
ここだけ花が飾ってあるから。


さて、私の好きな名言にこんなのもある。


There is really no such thing as bad weather, only different kinds of good weather.

(本当に悪い天気なんていうものはない。あるのはただ、いろいろな種類の良い天気だけだ)


うなっちゃわない?