わたしの住んでいる村には、店が一軒もない。
が、パブはある。
タクシーを呼ぶ時も
「ローカルパブの前にいる」
といえば間違いない。
イギリス全土に5万軒以上あるのだそうだ。
人口比率を考えて、日本のコンビニ数と同じくらい。
正確にはPublic House。
地域の社交場としての重要な地位を担っている。
初めてパブという名前が文献に乗っているのが1868年だそうだから、150年の歴史がある。
その前身はINNという宿屋だったようだ。
コッツウォルズにはギネスブックに乗っている最古の宿屋(INN)が今でも健在。
947年創業。ストウ・オン・ザ・ウォルドにある。
その名もポーチハウス。
入り口のドアだけでもかなり古い。
1300年ごろチャールズ二世の、旅人にわかるように看板を出せとの命令で、パブには特徴的な看板がかかっている。
というのも識字率が低かったので、誰にでもわかるように絵で書かれているからだ。
パブの名前も個性的だが、よく見かけるのがKING'Sなんとか、QUEEN'S なんとかとか、BISHOPなんとか・・・尊敬しているのか軽んじているのかよくわからない。
Eveshamの街に入っていくと「赤い馬」というパブがあって、花が綺麗でいつも目を奪われる。
30年前は、お酒の場所には子供が出入りできなかった記憶があるが、いまは、そうでもないらしい。
かつては、子連れだと、庭とか、特別仕切られた場所とかで食事をした。
いまは、庭は喫煙者の席になっているようだ。
パブに行くとまずはカウンターに行って飲み物を注文する。
一般的には
「A paint of 〜〜(ビールの種類)、please」などと注文する。
568mlが1パイント。
わたしには多いのでいつも
「Half a paint of ローカルビール」と頼む。
パブには、友達と行くことも多いのだが、その場合おごり合うというルールがある。
buying a roundというルールだ。
夫が初めてパブに行った時、まずは、友達がおごってくれて、次に
「It's my round」といって、別の友達が全員におごってくれてと延々と続くので泥酔して帰ってきた。
自分の番でやめるわけにはいかないので、エンドレスになる。
パブの思う壺・・・
パブミールは、イギリスでする外食の中では値段も手頃だし味もまずます。
美味しいと言われるパブは、ランチタイムや休日に家族連れで賑わっている。
ちなみに食べ物もカウンターで注文して支払って席で待つというのが基本のスタイル。
日曜日には定番のローストビーフとヨークシャープディング
右の上のちょっとジャガイモに見えるのがヨークシャープディング。
塩味のシュークリームの皮を連想して。多分一番近い味。
貧しいヨークシャー地方では、水増しした小麦粉でお腹を膨らませなくてはならなかったのでこのプディングが作られたと聞いたことがある。
油をグラグラに熱した中に流し込んでオーブンで焼くので、オーブンが汚れる。
我が家の家族は大好物だが、滅多に作ってやらない。
先日よったパブの入り口には、犬用の水も用意されていた。
それに、ピアノだと思ったらカットラリー入れだった。
パブは、たいてい綺麗に花が飾られているので、わたしは、大好き。
いまでは、フットボールなんかを熱く観戦する集会場所にもなっているようだ。
日本人と見ると
「俺、大阪に行ったことあるよ」なんて気さくに話しかけてくるのもバプの魅力。
「甥がトマムにいる。知ってる?」とか「タナカと知り合い?」とか日本の人口わかってるのかなあってこともある。
先日は、親しげに
「おじさんが、ソウルにいるんだけど」
いやあ、国まで違うんですけど。