土の香が似合ふ女よ犬ふぐり
これを読んだだけでは正直いって、母は何をこの句に詠んだのだろうか?と、
あまり読み解くことができなかったので、Wikipediaなどで 【犬ふぐり】 を調べてみた。
春が待ち遠しい季節に路傍や畑の畦道などに咲く花。季語は初春。
※種の形が雄犬のフグリ(陰嚢)に似ているところからそう呼ばれている。
※別名に 【ひょうたん草】 【星の瞳】などがある。
可憐な小さな花なので、私は 【星の瞳】 の呼び方がいいなあ~。
※日本の自生種は淡紅色(すでに絶滅危惧種で最近はあまり見かけることはない)
※今よく見かけるのは帰化種で空色 【オオイヌフグリ】 と呼ばれる。
※花言葉は 「忠実、信頼、清らか、神聖」 。
こうして調べて見るとなんだか解かるような気がした。
母が似合うと読んでいる。ふと思い出した小説があった。
それは山本有三の 『路傍の石』
2歳で父を亡くしている母は、あの小説の主人公のように、
学業成績は良かったのに、進学への道を経済的に閉ざされた
(私もその事は幼い頃よくに聞いている)。
その思いを畦道に咲いている犬ふぐりに重ねて詠んだのではないだろうか。
「小さくともいい、土の香りのする畦道でもいい、こんなに綺麗に咲いているんだから」
この思いは母の人生に(そして句にも)一貫として流れているような気がする。
母の詠んだ犬ふぐりは淡い紅色だったのか、空色だったのか?
ピンク色の絶滅危惧種が実家の近くにあったのだろうか?
できることならば、お空の母に聞いてみたい。