1293話)広霊県苑西庄村(10)

せっかくいい関係のできていた苑西庄村ですが、2003年ごろを最後に足が遠のいていました。井戸を掘り、果樹園をつくって、私たちにできることがとりあえず終わったこともあります。

その一方で、私たちのしごとの規模が大きくなり、内容も複雑になりました。

1999年に南天門自然植物園にとりかかり、2000年に環境林センター(南郊区)を20haまで拡張し、2001年には実験林場カササギの森に着手しました。そのような協力拠点のほかにいくつもの村で、防護林や小学校付属果樹園の建設に取り組みました。

カウンターパートの緑色地球網絡大同事務所の体制が強化され、しごとに習熟してきたからできたことです。

初期には私もよく農村を泊まり歩き、農民との直接のつきあいも多かったのです。

そのころ大同市の青年団の幹部が「高見は領導(リーダー)がすきじゃないんだ」というので、どうしてそんなことをいうのか聞くと、「農民と乾杯しているときと表情がまるでちがう」なんて言われたこともあります。自覚はないんですけど、そうかもしれません。

大同事務所が強力に回り始めると、大同でのたいていの仕事は彼らが解決することになり、日本の私たち-大同事務所-地元政府・党支部-農民という回路ができあがります。そうでないと、多方面に広がったプロジェクトを実施できないのです。

その結果として、私たちと農民との直接の接触は減ってくるんですね。しかたのないことではありますが、残念なことです。苑西庄村は大同事務所の発足・強化の経過とだぶって、私たちがつきあってきた貴重なケースだったのです。
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