141) 遊びの天才

 中国の農村のこどもをみて、子をもつ日本の親たちの感想は分かれます。1つは「オモチャひとつなくてかわいそう」。もう1つは「伸び伸びしていて、目が輝いている」というもの。
 でも、こどもって遊びの天才ですよ。この写真、どの脚がどの子のものか、すぐにはわからないくらい。小さなポリ袋にヒモをつけて走り回り、凧のように揚げている子もいました。ものはなくても自分でくふうして、いろんな遊びを考え出すんですね。
 パソコンのディスプレーやゲーム機の小さな画面に縛りつけられている日本のこどもたちが、逆にかわいそうに思えてくるくらい。中国の都会のこどもも、いまやいっしょですけど。
 大同県の中高庄村に泊まったときのことです。土を突き固めた村はずれの脱穀場で、何組かの集団が遊んでいました。夕暮れ時におばあちゃんが孫の名を呼んで「ごはんだよ~」。男の子は遊び足りないのでしょう、「帰らない」と一言。「食べさせないからね!」「食べなくていい!」。それでも一人欠け、二人欠けして、みんないなくなりました。目の前の現実なのか、私自身のこどものころの記憶なのか、はっきりしないくらいです。
 西のほうに目をやって、びっくりしました。並木のポプラのあいだを夕日がゆっくり沈んでいきます。血のようにまっ赤で、すごく大きい。日本ではこんな光景をみる気持ちの余裕がありません。
 【写真】こどもは遊びの天才。どの脚がどの子のものか、わからないくらい。
 (2007年7月15日号)
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