932話)太陽はトウモロコシ畑を照らす

前回と同じ場所の写真で、2010年のものです。単純にそうはいえないとは思いますが、6年前に比べても、水は減っていますね。

2003年のことだったと思いますが、当時の日本大使館の公使からメールがありました。中国の記者たちに「大同は北京の水源としても重要なところです」と紹介したところ、「そんなことはありません」と反論があったのだそう。どう説明したらいいでしょうか、ということだったので、もし私だったら「あんたが知らないだけだ!」の一言ですが、外交官の立場ではそうはいかないでしょうから、といって、前回に書いたような話を返したのです。

そしたらその年の秋のことです。官庁ダムの水位低下が著しく、危険な状態になったため、大同にある冊田ダムの水門を開け、5000万m3の水を送ったのです。大同が北京の水源であることが、みごとに証明されました。

永定河でも、写真でわかるとおり、河底の大部分がトウモロコシ畑になっています。中国の土地改革を描いた国民的な小説に『太陽照在桑干河上』(太陽は桑乾河を照らす)があります。丁玲という女性の作家がこのすぐ近くに滞在し、そこで書いたのですね。記念館を私も訪ねたことがあります。

もし丁玲がいま小説を書くとしたら、その題は『太陽照在玉米地上』(太陽はトウモロコシ畑を照らす)に決まっている、というのが私の下手な冗談でした。
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