499話)南天門植物園の石段

 南天門自然植物園の管理棟は海抜900mあたりにあります。いちばん高いところにある南天門は海抜1300mほどで、そのあいだの平面距離は1000mほど。けっこう急なのです。

 最初はもちろん、道らしい道はありませんでした。ヒツジ、ヤギの放牧が長期になされており、その踏み分け道が稜線沿いにあるだけ。植物をみるためには谷筋をいきたいのですが、途中に急な崖がでてきて、先にすすめませんでした。

 道をつけることにしました。南天門までずっとコンクリート製の石段ができ、海抜1000mほどのところには等高線に沿ってすすむ作業道があります。そのおかげで作業もすすみましたし、観察にも不自由しなくなりました。この道がなかったら、どんなに樹木が茂っても、たいした価値はありませんでした。

 鋪装はしたくなかったのです。日本の山道にあるように、木の杭と横木を組み合わせたかったのです。ところが木のないこの地方ではとんでもなく高くなる。コンクリートがいちばん安いのです。

 それにしても、どうやってつくったと思いますか。セメント、砂利、水などの材料はロバによって運び上げたそう。現場でコンクリートを練ったのです。人件費が高騰したいまでは、とても無理です。
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