378話)カンバの若苗

 ブッシュを構成しているのは、バラ科シモツケ属の数種と、カバノキ科ハシバミ属が中心です。実が食用になるような、ふつうのハシバミもありますけど、実が数ミリくらいの小さなものが多いのです。ふつうのハシバミより、ずっと早くに成熟するようで、私は実をみたことがありません。実がはじけたあとの殻がわずかに残っているのをみるだけ。

 その灌木のなかに、よくみると、喬木のカンバの若苗が育ってきています。カンバの種は小さくて、風に乗れば数キロは飛ぶそうですから、このあたりに生えていてもふしぎはありません。

カンバの成長はたいへん速いのです。霊丘における観察では、樹高1mほどだったものが、4年後には6mにもなりました。そうやって灌木のうえに頭をだして茂れば、灌木は消えてなくなり、カンバの林になります。

 種がそれだけ飛べば、どこまでもカンバの林になりそうなのに、若苗がみられるのも、海抜1500m以上のところにかぎられるようです。夏の暑さの問題と、水条件があるのでしょう。高いところは気温が低くて水の蒸発が抑えられますし、雨も多く、さらに霧や雲がかかって、植物にとっていい条件を提供するのでしょう。
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