1033話)広武古城(5)

1029話の写真、城壁から木が外にでてましたでしょ。あれを内側の根元のほうからみた写真で、ニレの古木です。どこからか種が飛んできて城壁に根をおろしたのでしょう。ニレはこの地方で一般的な樹木の一つで、「楡」のつく地名もたくさんあります。

2000年に、私たちが大同の農村で調査をしたところ、農民が植えたいと思う樹木のベスト5はつぎのとおりでした(果樹は別)。
ポプラ     88.2%
ヤナギ     83.2%
ニレ      67.4%
アブラマツ   64.5%
モンゴリマツ  49.6%
堂々の3位入賞です。農民には歓迎されるんですけど、林業関係者は虫害が多いといって敬遠します。

あるとき、中年の女性が教えてくれました。ニレの葉や若い実は食用になり、おいしい。飢饉のときは一級の救荒食だったそう。私も試しに若い実を食べてみたのですが、ほのかに甘みがあってなかなかいけました。農民の評価が高いのは、これに救われた記憶のためかもしれません。

城壁を修復するときも、このニレはちゃんと保護されました。根元に赤い布があるのがみえるでしょうか。あの布のうえにはお供え物がおいてありました。いまや神木なんですね。
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