152)アワ(粟)

 雨の少ない大同ではイネやコムギはほとんど栽培しません。それに代わるのが雑穀で、代表的なのがトウモロコシ、アワ(粟)、キビ(黍)といったところ。まずはアワについて。
 アワは日本でも以前はつくっていましたが、いまは完全に消えました。と思っていたら、アトピーにいいといって、最近はスーパーにも並ぶようです。でも畑に生えているものは、緑化協力ツアーに参加する若い人はもちろん、年配の日本人でもわかりません。
 皮をとって精製したものは中国語で「小米(シャオミー)」ですが、畑にあるときは「穀子(グーズ)」(簡体字は谷子)。ポピュラーな食べ方は薄いお粥(かゆ)で農家の朝食はたいていこれです。ジャガイモといっしょに蒸(ふ)かしてつぶすこともあります。「昔は玉米(ユィミー)=トウモロコシばかりだったのに、今は小米なんだから暮らしがよくなったんだ」と農村ではいいます。都市ではそれが「小米から白麺(バイミェン)=小麦粉へ」となります。
 小米もおいしいのは新米で、いまごろから出回ります。この地方の有名銘柄は「東方亮(ドンファンリャン)」で、広霊県宜興郷のごく一部でしかとれないそう。味と香りがいいだけでなく、黄色が美しくて、早く炊けるのだそうです。同じ種子でもほかで栽培すると段違いに質が落ちるそう。人脈をたどって北京からも買いつけにくるそうで、値もいいのです。でも、大同のスーパーの店頭に「東方亮」がたくさん並んでいます。ニセモノの横行は中国にはかぎりません。
【写真】穂をたれた粟。この写真は昨年のもので、大旱魃の今年は収穫激減。
(2007年11月15日号)
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