1253話)渾源県の夢の国

大同で最初に緑化協力に取り組んだのは、渾源県でした。1992年と1993年の秋、私はひとりで数十日間、この地方の農村に滞在しましたが、それも渾源県が中心です。

大同市内と渾源との移動は路線バスをつかいました。片道2.5元。車窓の景色がめずらしくてたまらないんですね。窓ガラスに顔を押しつけているのが、地元のほかの乗客にはふしぎでしょうがなかったでしょう。

大同県と渾源県とを分ける峠を越えて最初にでてくる村がこの村です。三嶺村。

外国の観光客を乗せたバスは、かならずここで停まって、フォトスポットにしていました。緑の地球ネットワークのツアーで1992年夏にここを訪れた久保朋子さんは「夢の国みたい!いま行ったらもうないかもね」と、帰国後の座談会で話していました。

共青団渾源県委員会の書記だった男がここの郷の党書記になったとき、私は「あそこに有料駐車場をつくったらいい。遠方からの観光客には懸空寺以上の価値がある」とすすめたんですけど、信じてはくれませんでした。

今世紀にはいって、道路が付け替えられ、この村の横をとおる道は廃止されました。所要時間が大きく短縮され、安全になったんですけど、この景色をみられなくなったのはほんとにザンネンでした。
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