1250話)小老樹(6)

私の小老樹びいきはだんだんエスカレートしました。かつてのパソコン通信のハンドルネームを「小老樹」にしていましたし、いまでもいくつかの場面でつかっています。

そして、小老樹はえらい! 日本でも中国でも老人が勝手な買い物をしているけれども、そのクレジットカードをよくみると、書かれているのは孫の名前だ!

それにたいして小老樹は、自分は育たなかったけれども、毎年、枯れ葉や枯れ枝を落として土を肥やした。そのおかげで、つぎの世代の苗木や果樹がよく育つ。後世のために役立っているのだから、小老樹はえらい!

日本からくるツアーのみなさんに、毎回毎回、そんな話をします。

さらに、大同事務所の人たちに、「おれはこんなところで終わりを迎えたくないけど、そうなったらしかたがない。ここで始末してくれたらいい。すっかりアルコール漬けだから、土葬だったらいつまでも腐らないし、火葬だったらマッチ一本でボッだな」。

「埋めたら、小さな石に『小老樹土に還る』と墨で書いてくれたらいい」なんて言っていたんですね。もちろん酒の勢い。

そしたら10年あまり前でしょうか、愛知大学の中国の環境問題調査チームが大同にきたんですよ。文科省の21世紀COEプログラムに選ばれ、それに従事する研究者たちです。そのとき私は大同にいませんでした。

後になって分厚い、りっぱな報告書をいただいたんです。そのなかの第5章/中国山西省フィールドワーク記録のところをみて、アチャー! 案内した大同事務所のだれかが「高見はここに自分の墓を作りたいといっている」と話したと書かれているんですよ。口はわざわいのもと。
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