156)緑化熱

 私たちが中国で緑化に協力しているというと「中国自身が熱心でないのに、どうして?」と言われることがあります。それは大まちがい。中国の環境問題全体をとれば、私は楽観できないと考えていますけど、こと緑化に関してはものすごく力を入れています。世界の人工造林面積の4分の1が中国にあるといわれます。大同は北京の水源であり、春先の風砂の吹き出し口でもありますので特別でしょう。5つもの国家プロジェクトが目白押しで、ここまで無理する必要があるのかと、私なんかが思うくらい。
 大同-五台山-太原の幹線道路の両脇は数十キロにわたって植林がなされています。ここは太行山に属しますが、傾斜が急で表土も薄いので、採用されるのは魚鱗坑(ぎょりんこう)方式。斜面に穴を掘り、出てきた石や土を下手に積み上げて小さな土手をつくり、土と水が流されるのを防ぎます。その形が魚の鱗(うろこ)に似ているため、魚鱗坑と呼ぶわけです。
 ときにはその土手が石灰で白く塗ってあります。こんなに植えたぞ、というデモンストレーションですね。植えるのは小さな苗ですから人目につくまでには何年もかかります。すぐにでも自慢したくなる気持ちもわからないではありません。よくこんな急斜面まで植えたものだ、どうやって植えたんだろうと、感心せざるを得ないんですよ。逆に、枯れたばあいも目立ちますからね。補植を促す効果もあるでしょう。
 【写真】よくぞ、ここまで。道路の両側は急斜面までぎっしりと植林されている。
 (2008年2月25日号)
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