思わず長くなりましたが、今日で本当に終わりです。本日は最後として、「親鸞の著作について」その概要を整理してみました。
その前に、「仏教の思想10 絶望と歓喜<親鸞>」の構成について少しご説明しておきます。本著は仏教学者である「増谷文雄(ますたにふみお)故人」と哲学者である「梅原猛(うめはらたけし)」の共著で、親鸞の信仰・思想全般を説明した本編といっていい第一部を増谷氏が担当しています。第二部は二人の対談で、主に梅原氏の質問に増谷氏が答える形式となっています。そして第三部は、哲学者の立場での梅原氏の親鸞研究といえる内容で、主に『教行信証』を取り上げています。
もともと単行本で発行されたものを文庫化したものですが、文庫本で参考資料・解説も含め約400頁となっています。その中から、私の方で重要と思われる部分を抜粋、要約して、一応まとめてみたものですが、重要部分が抜けたり、要約が間違っていたりしている可能性は大ですから、興味のある方は是非直接本著を読まれることをお勧めします。
最終回の冒頭で、まずは言い訳を言わせていただいて、それでは本題に入りたいと思います。
7.親鸞の著作について
7.1 『歎異抄』について
親鸞の著作といえば、一般的にはまず『歎異抄(たんにしょう)』ということになります。『歎異抄』は親鸞の弟子唯円(第三祖覚如という説もある)が親鸞の説法を書きまとめ編集したもので、親鸞の死後起きた様々な異議を正して、親鸞の教団を親鸞の教義そのものに帰そうとする意図をもってつくられています。
江戸期までは真宗の信者にも知られていなかった著作ですが、明治末期に清沢満之(明治期に活躍した真言宗大谷派の僧侶、哲学者)に取り上げられて以降日本人に知られるようになり、親鸞の著といえば、『歎異抄』となっているようです。
ただ、この「仏教の思想10」では、本の中での解説の事例として『歎異抄』の親鸞の言葉が随所で紹介されますが、唯円という弟子のプリズムを通しているという点で欠点があり、主著『教行信証』や親鸞の晩年の著作に中心をおくべきとの立場をとっています。
7.2 親鸞の著作一覧(内容の概要)
親鸞の著作は次の5つに分類できます。(1.文類(もんるい)、2.文意(もんい)、3.和讃(わさん)、4.抄録(しょうろく)、5.書簡)
それぞれの内容を以下の一覧に整理してみました。
親鸞の著作は『教行信証』が関東布教時代に書かれたのを除くと、いずれも京都隠棲後、しかも晩年にかけてまで書かれたものもあります。
もはや引退のつもりで京都に帰った親鸞でしたが、結果として彼には90年という長い年月が必要だったようです。
さて、ずいぶん長くなりましたが、本日で親鸞の概要整理の終わりです。長らくお付き合いしていただいた方には、特に感謝申し上げます。
空海さん、親鸞さんときて、次は「道元さん」です。すでに少し読み始めていますが、道元さんは「さん」という愛称で呼ぶにはあまりもなれなれしすぎる、そんな持戒堅固な、しかも超理論家であったようです。
ノート整理にまたしばらくかかりそうです。できるだけ早く終わらせて、またご報告できればと思います。
仏教の思想10 絶望と歓喜<親鸞>(その1)(
過去記事)
仏教の思想10 絶望と歓喜<親鸞>(その2)(
過去記事)
仏教の思想10 絶望と歓喜<親鸞>(その3)(
過去記事)