たぬきニュース  国際情勢と世界の歴史

海外のメディアから得た情報を書こうと思います。

 治安部隊2名死亡 狙撃者2名死亡 ラタキア 2011年3月26日

2016-10-25 18:03:22 | シリア内戦

     

326日ラタキアで12名死亡した。12名の死者のうち2名は正体不明の狙撃者であり、別の2名は治安部隊のメンバーである。治安部隊側の死者については、320日に続き2度目である。320日については、政府発表だけであるが、今回のラタキアの場合、政府支持派の住民の証言がある。さらに、この後2週間以内に2度、治安部隊から死者が出る。3度目と4度目については、治安部隊が攻撃されたのは事実であるとする論証がなされている。

「シリアのデモは最初から平和的ではなかった」という主張が正しいかもしれない。

 

 

326日のラタキアについてBBCが伝えている。

=====《Syria unrest: Twelve killed in Latakia protest》=======

326日ラタキアの抗議デモで12名死亡した。市民だけでなく、治安部隊の兵士も死亡した。少なくとも200人が負傷した。正体不明の人間が建物の屋上から射撃したことが原因である、と政府は発表した。 死亡者12名の中に、屋上の狙撃者2名も含まれる。バース党事務所に火がつけられた。

現在シリア軍の部隊が市を占領し、治安を取り戻した。

大統領報道官ブサニア・シャーバンが語った。「ラタキアは平穏だったが、ドーハのイスラム聖職者シェイク・カラダウィが煽動した。

政府は政党のあり方について反省しており、憲法改正の国民投票を予定している。戒厳令は、廃止が決定されている」。

ラタキアは人口45万の都市であり、キリスト教徒が多く、次にイスラム教徒スンニ派が多く、シーア派は少数派となっている。

=================(BBC終了)

 

シャーバン報道官はラタキアの騒動についてドーハのイスラム聖職者の扇動を責めたが、パレスチナ人難民も責任があるという。

デモクラシー・ナウによれば、AFPのインタビューに対し、シャーバン報道官は「パレスチナ人難民が宗派争いを起こそうとしている」と語った。ラタキア市の郊外にはパレスチナ人の難民キャンプがあり、シャーバン報道官は、そこのパレスチナ人がラタキア市に騒動を起こそうとしている、と非難した。(Twelve killed in Saturday’s Latakia protests, presidential adviser says

 

英国の人権監視団によれば、デモの中に銃を持った人間がおり、警官隊に向けて発砲した。

======《Syria: Security Forces Fire on Protesters》======

ラタキアのデモの参加者はテレビのインタビューの中で政府を非難した。「治安部隊が我々に発砲した」。

これに対し、市の役人と政府支持のデモ参加者は、反政府デモを批判した。「彼らは銃を持ち、警官隊に向かって発砲した。

英国の人権監視団がラタキアの一般住民2人にインタビューを試みたが、2人は事件について話すことを恐れており、何も聞き出せなかった。

====================(人権監視団終了)

 

    〈タファスで大きなデモ〉

BBCはラタキアについて述べた後、タファスでも数千人のデモがあったと述べている。(タファスの位置は冒頭の地図に示されている。)

=======《BBCの記事:続き》========

326日、ダラアの北18㎞に位置すタファスで大きなデモがあった。人々はアサド大統領の11年間の統治を批判した。

前日のデモで3名が治安部隊に殺害されており、彼らの埋葬に数千人の市民が集まった。バース党支部の建物と警察署が焼失した。

327日、シリア南部スワイダ市の法律家100人が、戒厳令の廃止を要求してデモ行進した。

  

同日クリントン国務長官はメディアに語った。「米国がシリアの問題に介入することを、国際社会は期待してはならない」。

=============(BBC終了)

 

この時期米国はシリア介入に対して慎重だった。サダム政権を倒したものの、その後米軍はイラクを収拾できなかった。アルカイダとスンニ派のテロは大幅に減少していたが、両者は一時撤退しただけで、テロ再開の時期をうかがっていた。

またイラクの新政権はイランに忠実であり、米国を遠ざける姿勢が明瞭だった。マリキ政権は米軍の撤退を求めた。イラク戦争の勝者はイラクのシーア派とイランだった。米国は両者のために、ただ働きしただけに終わった。

リビアでもカダフィ政権は倒れたが、市民派勢力は弱く、過激イスラム主義者による政権が誕生しかねなかった。

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