10月1日にオープンした福田美術館の撮影可能作品です。
江戸時代の絵画
円山応挙 1735ー1795
「陶淵明図屏風」 1778年(安永7年) 二曲一隻
金地に映える鮮やかな瑠璃色
全面に金箔が貼られた画面に、中国風の服を着た三人の大人と二人の子供が描かれている。
長いひげを生やし、手を後ろに組んでいるのが中国の文学者、陶淵明。
人物は全員、理想化された端正な顔立ちをしている。
円山応挙 1735ー1795 賛/皆川洪園 1734ー1807
「王義之図」 1792年(寛政4年)
晩年の応挙が描いた、伝説の名筆家
中国東しんの政治家で書家だった王義之が、机に置かれた紙に文字を書こうとしている。
画面上には、王義之が四十一人の名士とともに曲水の宴を開催したことをふまえて皆川洪園がの詩が書かれている。
源琦 1747ー1797
「朝妻舟図」 18世紀後半
応挙から受け継いだ丁寧な描写
源琦は応挙の最初期の弟子で、美人画を得意とした。
この絵は近江国坂田郡(現在の滋賀県米原市)の港で、遊女が舟に乗り客を待っているところ。烏帽子をかぶり、秋草模様のある豪華な着物をまとっている。
伊藤若冲 1716ー1800
「竹図」 18世紀後半
竹の姿に龍を見る。
若冲は京都の錦小路市場で生まれた。
この絵では濃い墨で一気に描かれた竹が勢いよく伸びている。
節の部分は白く、墨を擦れさせて生命力と勢いが表現されている。
「群鶏図押絵貼屏風」 六曲一双 1797年(寛政9年)
若冲が自由自在に操る筆の勢い
右側の屏風の第一扇と第二の扇には、雄鶏が一羽ずつ大きく描かれそれ以外には雄と雌が描かれている。
一枚ずつ違った姿の鶏が描かれ、決して単調ではない。
羽には墨のにじみの間にできる筋を上手く活かしたり、線で輪郭を描き、少しずつ濃さを変化させた墨で内側を埋めていったりするなど、工夫が見られる。
左双
右双
右双部分
左双部分
曾我蕭白
「荘子胡蝶之夢図」 1772~1781年(安永年間)
夢か現か、蕭白のほのぼのの画
中国の思想家であ荘周が夢の中で蝶になり、自分が蝶か、蝶が自分か区別がつかなくなったという話をもとにした作品。
墨のグラデーションで描かれた牡丹の葉、一筆でさらりと描かれた草、刷毛で描かれた破れ芭蕉など、多様な筆使いが見て取れる。
長沢芦雪
「薬王図」 1788年(天明8年)
植物に躍動感を与えるテクニック
芦雪は京都で生まれ、円山応挙に師事。描かれているのは、端午の節句に飾る「薬玉」。
赤い花弁の躑躅と共に、細長い葉を束ねて吊している。
筆の先と根元には違う濃さの墨を付け、素早い筆使いによって濃淡の変化を表現している。
呉春
「三羅漢図」 1783年(天明3年)
蕪村の愛弟子、呉春の個性的な羅漢図
呉春は京都出身の画家で、若い頃は月渓と名乗っていた。
与謝蕪村に絵と俳諧を学ぶ。三人の羅漢が岩場で香を焚いて座っている。
羅漢とは悟りを開いた高僧にこと。岩は墨をわざと擦れさせて凸凹を表現し、独自の才能が際立っている。
江戸時代絵画続く。