祇園新地甲部歌舞会が16日記者会見し、現在休止中の歌舞練場の改修工事の概要を発表しました。
ご存知の方もあると思いますが、大地震で倒壊の恐れがあるということで2016年秋から休館中です。
歌舞練場は1913年に建築され、100年を超える国の登録有形文化財です。
八坂倶楽部(1913年建築) 登録有形文化財
1階は特等客向けの待合・点茶などに用いられ、2階は広大な132畳敷の客席と舞台からなる広壮な舞台座敷です。
歌舞練場は学校法人八坂女紅場(にょこうば)学園が所有、祇園甲部歌舞会が主催する春の踊り公演「都をどり」や秋の「温習会」の会場として親しまれてきました。
休止中は京都芸術劇場「春秋座」、昨年は南座で行われました。
記者会見では、2022年春に再開館する見通しであること、総工費は約53億年、うち5億円は寄付金を募集するということです。
改修される歌舞練場は、「次の代にこのままの形で残したい」(杉浦京子副取締)として、外観・内部意匠は極力変更しないそうです。
鉄骨補強フレームで劇場を覆って耐震性を確保し、本館に隣接して新たにL字型の鉄筋コンクリート造りの建物を併設。
芸舞妓に伝統伎芸を教育する学校や観光客が伝統芸能を学べる「ギオンコーナー」などを移転、敷地を囲む塀や庭園にも手を加えます。
祇園甲部歌舞会提供画像
同歌舞練場に隣接する登録有形文化財「弥栄会館」(1936年建築)も、外観を維持しながら耐震改修のうえ、帝国ホテルが国内外富裕層向けのホテルとして活用する方向で協議が進んでいるそうです。
弥栄会館は観光客向けに日本と京都の古典芸能を紹介する目的で、鉄筋地上五階、地下一階の劇場として建てられました。
設計は劇場建築の第一人者と云われた、木村得三郎。城の天守閣を思わせる外観は、あの白鷺城(姫路城)を模してデザインされており、和風の伝統が巧みに織り込まれています。
帝国ホテルとしては東京、長野、大阪に続く4つ目になります。
客室数は100室以下とする方向で、レストランやバーなどの併設も検討するとしています。
定保英弥社長は「京都は帝国ホテルのブランドを高められる重要な候補地だ。京都の象徴である祇園という場所での開業は絶好のチャンス」とし、価格については「帝国ホテルとしては最高価格帯になる」との見通しを明らかにしています。
5億円目標の寄付は、京都伝統伎芸振興財団(おおきに財団)が窓口になり、21年11月30日までインターネットなどを通じて呼びかけるています。寄付金額は1口1万円、10万円、100万円の3種類から選べます。
私は休館以降どうするんだろうと気になっていました。
建て替えと改修で議論が交わされていたと聞いていました。改修選択で良かったです。
祇園を象徴する建物であり、花街文化と伝統伎芸の保存継承には歌舞練場はなくてはならないものです。
完成が待ち遠しいです。
その他の歌舞練場も古いです。近いうちに対応が求められそうです。
宮川町歌舞練場 京おどりの会場・1969年(昭和44年)東山女子技芸学校を併設した現劇場観客席部分を新築
先斗町歌舞練場 鴨川をどりの会場・1927年(昭和2年)建築
上七軒歌舞練場 北野をどりの会場・明治30年代に建築・増築により1951年(昭和26年)に現在の形に。
祇園東は歌舞練場を持っていません。1958年(昭和33年)に建設された元・映画館である祇園会館で毎年祇園をどりを公演しています。