答志漁港は鳥羽市答志島の最大の漁港である。答志島はかつて海賊(水軍)九鬼氏の根拠地のひとつだった。九鬼氏はその元、熊野の海賊であったらしい。
ここ数十年、数次にわたり段階的に整備拡充されて来た港だが、最も歴史の古い時代の船溜りに面する宿に泊まったとき、たまたま出漁の光景を見る機会に恵まれた。
船溜りが俄かに騒がしくなり目が醒めた。外は未だ暗く、電柱の灯りが水面に揺れている。来着した軽トラが走り去る度に、船のエンジンが始動され燈火が点る。
煌煌と前照灯を光らせた各漁船が、次々と暗闇に向かって港口への水道に入って行く。港外に出ると各船は、ひときわエンジン音を高め、まっしぐらに漁場のある闇に消えた。出漁船が全て出払い空が白むまで、窓外から目を離せなかった。
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