「背高泡立草」で第162回芥川賞を受賞した古川真人さんのことが、1月17日の中日新聞「この人」欄に載っていた。ご両親が海辺の町の出身で、ご本人も幼い頃から海に親しんで育ったそうだ。記者に訊かれ、「港には人や物が往来し、それぞれが物語を内包している」と、港に惹かれる理由を語っていた。それぞれの人の無言の語りかけを聴きとる力に、小説家の感受性の鋭さを感じる。「物語を内包した人や物の往来」ねー。おそれい . . . 本文を読む
自分で言うのも気がひけるが、こどもの頃から今日まで、執着心というものが乏しい。数年、数十年がかりで目標を達成するとか、歳月をかけて事を成し遂げるというような、意欲の継続を必要とする事柄に向いていない。コツコツ修業を積んで練達し、免許皆伝に至る世界には、とんと不向きな人間だった。粘着性が乏しい気質、一言でいえば欲がない、根気がないということになるだろう。その反面、新規のものとか珍しいもの、興味を惹く . . . 本文を読む
従来の屋根付餌台は、その後訪れるスズメの数が増え過ぎ、フンでフェンスの汚れが目立つようになってきた。やむなく屋根付きの2基を、窓前のフェンスから離れた桑の木の中に移設した。そして屋根の無い小さな餌台を1基新たに設置した。給餌量が減り、スズメの来訪数は減った。しかし我が家で養育された2羽のきょうだいスズメは成長し、もう識別出来ない。群れに馴染んだことは間違いないようだ。 . . . 本文を読む
年が明けて初めて、旧軌道跡を通り街まで歩いた。往復2時間約10kmの道のり。遊歩道の西側の藪林は、浅く勾配も緩い。藪を透した先は光が溢れている。道の反対側には四階建てのマンションが在る。今日は成人の日で、学生たちの自転車は通らず、道で遊ぶ子どもたちの姿も見かけない。歩く人はごく僅か、それも私を含め年配者ばかりだった。地方の都市は、何処を歩いても超高齢化社会を実感させられる。この先まだ高齢化率は上が . . . 本文を読む
歳末も近くなって思い立ったポーチトエッグづくり。「厨房の主(ヌシ)」がクリスマスの買物だのカラオケだの食事会などに忙殺されているのを幸いに、密かに試作を重ね、年明け4日の朝食で披露した。さしもの古強者も、満を持して食卓に出された究極の卵料理の形と味に、言葉を失っていた(と見えた)。 オムレツの完敗から雌伏すること2年、ここに雪辱を果たし、気分は爽快だった。しかしよく考えてみると、我が国に . . . 本文を読む