紫の花が早春から初夏へと突っ走る

　私のイメージでは、冬を抜け出すと黄色の花が一斉に咲き、それに白やピンクの花が華やかさを添え、それからジワリと青から紫の色の花がいつの間にか咲いて、自然の彩を完成させるというのが、春から夏へのステップです。
　そのため、まず黄色の花を特集し、その後色の変化の記事を書き、それから紫の花の特集をしようと思っていました。

　ところがあれよあれよと春が進み、初春から初夏が共存状態になってしまって、もうすでにいろんな紫の花が咲いています。
そこで紫の花の共存状態をここで取り上げることにしました。なお私なりの花期のイメージで書いています。


１．冬が終わった
　冬の間から咲いていた紫の花、パンジー、プリムラポリアンサ、シクラメンなどがあります。それらは春の陽射しにのんびりと咲いています。
その中で草花の代表としてパンジー、低木としてエリカを掲載します。

（１）　パンジー

＜明るい陽射し　ー　パンジー＞



のんびりと
陽射し楽しむ
冬の風
戻ってこないで
虫とじゃれたい　

　本当に冬の間は、頑張ってくれました。

（２）　ジャノメエリカ

＜たくさんの眼で春を　ー　ジャノメエリカ＞



紫が
青空を背に
冴えわたり
蛇の眼で大地の
春をうかがう

ジャノメエリカはぎっしりと花が下に向かってついています。 同心円の蛇の眼文様。　大地の過ぎ行く春の状況を観察しています。

２．春の定番
　これが咲いたら春。草花ではスミレ、そして樹木ではモクレン。でも今年は特にスミレは焦っているのかも。

（１）　スミレ

＜たいへんだ　ー　スミレ＞　　

たいへんだ
周りの成長（のび）が
早すぎる
のんびり春を
楽しめないよ

スミレさん、焦っています。 いつもなら、春が過ぎ行く姿を楽しめたのに、今年は周りの草の生育が早くて埋もれてしまいそうです。


（２）モクレン

＜透かしてみせよ　ー　モクレン＞



この花弁
透かしてみせよ
高々と
春の陽射しに
モクレンの咲く

強い陽射しに、コブシが咲いたら一気にモクレンまで開花してしまいました。 厚い花弁ですが、光が透けています。


（３）おまけ
　プリムラ・マラコイデスはサクラソウ族でこれも定番。シザンサスはこれから定番になるかもしれない、アクセントのある花です。

＜プリムラ・マラコイデス＞

＜光の刻印　ー　シザンサス＞



春進み
陽射しが増せば
刻印が
色鮮やかに
焼き付けられる

シザンサス　この花は今回初めてみました。




３．ちょっと早いかな？
　ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ムラサキハナナ　普通はこの時期ぽつぽつ咲いている程度で、4月から群生を作るのに、今年はもうそうなっています。

（１）ホトケノザとヒメオドリコソウ
　

＜ホトケノザ＞

＜ちょっと着ぶくれ　ー　ヒメオドリコソウ＞



春なのに
私の服は
なぜ脱げぬ
着替えた友は
夏へと進む

ヒメオドリコソウの花はホトケノザそっくり。 でも着ぶくれています。

（２）ムラサキハナナ

＜気持ち鎮めよ　ー　ムラサキハナナ＞



梅、桜
浮き立つように
菜の花と・・
気持ち鎮めよ
紫の花

ムラサキハナナ、木蔭に咲き始めました。 しっくりと落ち着きます。この花は桜の後だったような・・・ 春は急ぎ過ぎてはいけません。


４．春が加速中
　マツバウンランやツツジ、春というよりも初夏をお膳立てする花では？


（１）マツバウンラン

＜紫色の噴水　ー　マツバウンラン＞



大地の中
春のエネルギー
溜まりきり
紫色の
噴水上がる

（２）ツツジ

＜もう出番　ー　ツツジ　　＞



おかしいな
もう飛び出して
いいのかな
ソメイヨシノが
散っていないのに

今年はツツジが速い。 ぎっしり花を咲かせています。 この暖かさで、春が速度を速めたようです。

＜優雅な貴族　ー　ヒカルゲンジ（ツツジ）＞

　　　　　

この日差し
幻惑されて
浮かれ出た
いい口実に
早春味わう

光源氏という優雅な名前のつつじ。 この暖かさで咲いてしまいました。 せっかくだから、桜の舞い散る踊りを愛でましょう。