カナカナカナ・・・・こんな夕暮れは幾日ぶりなのだろうか。 日暮の声が聞こえてきた。 どこか子供のころを思い出す。 少し悲しく、いや悲しいのではなくて、もの悲しい声なのだ。 そんな子供のころを思い出させる。 あと何分聞こえるだろうかと、目を摘むって聞いていたら、少しづつ掠れた音に変わってきた。 午後7時11分日暮の声が消えた。 これからは夜の世界なのだろうかと思えども、雀は子育ての真っ最中、元気な声を上げている。 その声を聞いた日暮が再び泣き始めた。 しかしその声は随分遠いところで聞こえている。 まだ明るい所の生き物の声が聞こえてくる。 夏の生命力を感じさせる声また声である。 なんだか元気が湧いてきそうだ。 明日は晴れて呉れるだろうか。