私の口の中で、歯が反乱を起こした。 今を去る事50数年前、当時建設現場の最高責任者だった私は、型枠大工の工事の遅れを手助けするために、プラスティックの目地棒を打ち付ける仕事を、手助けしていた。 針釘で打ち付けるのだが、口に釘を咥えて作業をしていたら、歯茎に針釘が刺さってしまった。 大した傷ではなかったが、偶然にもその現場は、PC杭の杭打ち工事が有り、長さ35mのPC杭を30本打ち込んでいたため、地下深くの古い地層の土が、大量に堀り出されていた。その中に悪質な菌が存在して居て、歯茎に侵入。 下顎全体が腫れ上がり、その菌は、歯の神経の中に入り込んで、その結果下の歯を13本抜く治療を、せざるを得なかった。 抗生物質が効かなかったのだ。 その為、下の歯は、四本を残して入れ歯になった。 その入れ歯が時として、災いとなる。 当然に上の歯の一部の、虫歯になりかかっていた歯も、細菌の侵入を受けて抜き取られた。 その上の歯の跡が今回反乱を起こした。 二本並びで、抜き取られた歯の所は、両端の歯に被せ物をして、義歯二本を繋ぎ合わせていた。その二本の被せ物と義歯二本が、すき焼きの中に入れた餅を食したら、餅に取りつかれて、取れてしまった。 土曜日の夕食の事である。 歯医者は、翌日は お休み。 月曜日の朝一番医歯医者に駆け込んだが、の元々の治療をしてくれたのは、広島大学の歯科だったので、町医者には資料がないうえに、予約患者で一杯。 何とか火曜日の朝一番で見てもらえる事となった。 一昨々日の事だ。 歯科に到着したら、其処には我姉が・・・。 平生近所に住まいしていても、行き来が無い。 何せ、義理の兄は96歳。一応免許は返納せずに持っているが、余程の事がない限り乗らない。広島県内で最高齢の免許保持者なのだが。 そんなこんなで、やっと歯を取り付けていただいたが、他の歯が今やガタガタ。 今後の治療計画と、入れ歯の作り替え。(治療の為上の歯を二本抜歯、二本の歯は、既にそこに居座る力を失っていた。) 正月明けから、我口の中は、大工事の始まりなのである。 八十歳を迎えるまでにすべての工事が終えていれば良いが・・・。 その前に寿命が尽きる可能性も「無きにしも有らず」である。 年明けからの治療が始まると、酒は?・・・。 正月に十二分に味わっておく事にしよう。
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