夕庵にて

スマホでパチリ・・・
ときどき写真と短歌を

「青い壺」

2024年02月29日 | 
「青い壺」 有吉佐和子著 文春文庫

無名の陶芸家が生み出した美しい青磁の壺。売られ盗まれ、
十余年後に作者と再会するまでに壺が映し出した数々の人生。
定年退職後の虚無を味わう夫婦、戦前の上流社会を懐かしむ老婆、
45年ぶりにスペインに帰郷する修道女、
観察眼に自信を持つ美術評論家。
人間の有為転変を鮮やかに描いた有吉文学の傑作。
解説文より抜粋
やはりこの作家の文章にはどっしりとした貫禄がうかがえる。
安心して読み続ける気がして本を閉じた。

花屋さんでは春の花が並んでいた
ラナンキュラス

ベゴニア
 
ハーデンベルギア


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「流浪の月」

2024年01月17日 | 
「流浪の月」 凪良 ゆう著  創元文芸文庫

凪良ゆうの小説を読むことは自分の中にある優しさを疑う契機となる。
解説の最初に書かれた言葉
流浪の月において、フォーカスされた言葉は優しさだ。
人は誰もが秘密を抱えて生きている。
「普通」じゃないのは、自分だけじゃない。
そう思えば、自分の手にした「命綱」を握る力が
かすかに強まるはずだ。
その感触を他者も感じているはずだと思うとき
本当の優しさが生まれる。  (解説より)

登場人物はロリコン趣味の大学生と誘拐された少女の話。
15年経って再会した二人に訪れる誹謗と中傷の嵐
その「普通」でない関係にお互いの優しさが生まれるとき、
生きる上で確固たる命綱へと変化してゆき、
二人は同じ方向へと力強く生きていく。
二人の家庭環境から「普通」でない人格へと変貌することの事実。



人間の優しさについていろいろな方向から
考えさせられた。
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『じい散歩』

2023年08月25日 | 
今日は久しぶりに書店をのぞいてみた。そこで新聞に掲載されていた
『じい散歩』を見つけた。作者は藤野千夜 双葉文庫
夫婦あわせて180才、中年となった3人の息子は全員独身。
みんないろいろあるけれど、「家族」の日々はつづいてゆく。
そんな一家の日常をユーモラスに、暖かな眼差しで綴った物語。

最近の散歩は夕方からで、
ふと気がつくと全く蝉の鳴き声が聞こえなくなった。
昨日はつくつく法師の声がしていて、今となってはあのやかましかった
蝉の鳴き声を懐かしく、季節の巡りを感じる。
コブシの実
モヤモヤとした膜で覆われている。

ショウジョウソウ


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「卵を買いに」

2023年06月29日 | 
「卵を買いに」 小川 糸著  幻冬舎文庫
これは一年間の日記をエッセイ風にまとめたもの。
ご主人のことを(ペンギン)愛犬のことを(ゆりね)と呼んでいる。

勿論1冊の本になるのだから、読者のことも考えるのか、
クスッと笑えるユーモアがたっぷり。
就寝までの30分ほど読むのにはもってこいの一冊である。

記すべきは今、ロシアとウクライナとの戦禍まっただ中だが、
そのウクライナに近いラトビアへ取材のため、
行ったことが細かく記されていて興味深かった。

ラトビアの第2次世界大戦下、ロシア占領下での迫害 
森と湖の多い小さな国、ラトビアは如何に美しいか、
歌と踊りと民族衣装と黒パンと代々受けつながれる編み物のミトンなど。

私も長い間日記をつけているが、最近は予定と結果に終わることが多い。
文章に綴ることが面倒になってしまったが、この本はエッセイなので
何処で読むのを止めてもかまわない気軽さがよい。
しばらくはベッドの側に置いて余韻を楽しむ。

コメント (2)
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「花の下にて春死なむ」

2023年03月13日 | 
「花の下にて春死なむ」 北森 鴻著  講談社文庫
日本推理作家協会賞
連作短編集部門受賞作
書店で題名を見て買った文庫本。
初めての作者だが、短編ミステリーという解説に惹かれた。
春先のまだ寒い夜。ひとり息を引き取った、俳人片岡草魚。
俳句仲間でフリーライターの飯島七緒は、孤独な老人の
秘密を解き明かすべく、彼の故郷を訪れる。
バー「香菜里屋」のマスター工藤が、
客が持ち込む謎を解く連作短編ミステリー


庭のクリスマスローズが咲き出した













ヒメリュウキンカ
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