『その日のまえに』 重松 清 著 文春文庫
重松清といえば男の子と父親をテーマにした作品が多いように思うが、今回の作品も少年達が登場する。主人公コピーライターは二人の息子を持つ。42歳の早すぎる妻の死を「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」の三本の柱で構成される。死にゆく妻とその日をじっと耐える家族の様子が決して大げさではなく自然に描かれているぶん、読者は身近に起こったそれぞれのあの日を思い返したり。余命を告げられた夫婦は懐かしい若い日に住んだ土地を訪ねその日を迎える。その日の後も父子で元気に生きて行こうとする日常が垣間見えほっとする。何があっても人は命ある限り生きねばならない。
コロナで冬眠中にと買った数冊が奇しくも「人の死」についてであった。コロナ禍を生きる現代人とって「死」は常にそこにあるという自覚の再認識。
今夜は久しぶりのチャプチェ
昨日も今日も寒い。