夕庵にて

スマホでパチリ・・・
ときどき写真と短歌を

『その扉をたたく音』

2024年10月20日 | 
『その扉をたたく音』  瀬尾まいこ著  集英社文庫

この物語は、29歳の主人公宮地がギターと出会い、
音楽を愛し続けてきた人生を描いている。
就職せず、親からの仕送りで生活してきた彼は、
ある日サックス奏者(そよかぜ荘の職員)の青年と出会う。
老人ホーム「そよかぜ荘」を訪れた際、
サックスとギターの演奏を通じて、宮地は少しずつ変わっていく。



施設では宮地が「ぼんくら」と呼ばれながらも、
老女の使いやウクレレの先生を通じて自分自身と向き合い、
成長していく様子が描かれている。
小さな変化が新たな世界を広げるというテーマは、
多くの人にとって共感できる。
何かを見いだすことで人は成長していくというメッセージが心に響く。

今夜は大粒の栗ご飯

 
日の出前の空
人それぞれの今日のドラマが始まる
 
夕暮れの西空

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『母の待つ里』

2024年09月22日 | 
『母の待つ里』     浅田次郎著    新潮文庫


40年ぶりに帰るふる里で待っていたのは初めて会う母だった。
大企業の社長として孤独を抱える松永徹
定年と同時に妻から離婚を告げられた室田精一。
親を看取ったばかりのベテラン女医、古賀夏生。

人生に疲れた三人が選んだのは「里帰り」だった。
囲炉裏端に並ぶ手料理や不思議な昔話。
偽りの母と過ごす時間が三人を少しづつ変えてゆく。
疑似体験の母と故郷

昨夜、NHK BSで放送されたドラマは、偶然にも同名の作品。
出演する一流の俳優たち、
中井貴一、佐々木蔵之介、松嶋菜々子、そして宮本信子。
東北の方言を使う母親の意図を完全に理解するのは少し難しかった。
彼女の言葉はその土地の言葉で、彼女がどれほど努力したかが伝わったが。

人生のたそがれ時には人は、ふる里を恋うのだろう。
例えそれが疑似体験であろうとも。

「故郷とは、土地ではなく人々かもしれません。
私たちは土地へではなく、人々のもとへ帰るのだと感じました。」
中井の演じた偽りの母を追い求める心情からの言葉


文字であれば読み返して理解できるのに対し、
テレビでは一度発せられた言葉は取り戻せない。
感情移入の度合いにもよるが、
やはり文字の持つ力は計り知れない。

第2弾は来週に
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『冬虫夏草』

2024年08月15日 | 

『冬虫夏草』  梨木香歩著  新潮文庫
                 装画 神坂雪佳


綿貫征四郎が忠犬ゴローを探すために鈴鹿の山中を旅する冒険譚、
河童の少年や天狗、赤竜の化身、イワナの夫婦など、
さまざまな不思議な存在との出会いがあり、
人間と精霊たちが共に暮らす清らかな山で、
果たしてゴローに再会できるのか?
また、各章ごとに親しんだ植物が39種類も登場し、
どれも生薬であることに納得。
クスノキ、サナギタケ ヤマユリ クチナシ アケボノソウ
マツムシソウ サカキ アケビ ヒヨドリジョウゴ フシグロセンノウ
サギゴケ カキ セリ ビワ etc・・・・・

最終章でついにゴローの姿を見つける。
名前を呼ぶと草を掻き分け、全身で歓びを表現しながら疾走してくる姿に
「来い。来い、ゴロー。家へ帰るぞ~」
この場面は感動的で、安心感と共に思わず拍手を送った。

たわわな栗の実

 ペチュニア

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「犬のしっぽを撫でながら」

2024年07月13日 | 
「犬の尻尾をなでながら」  小川洋子著  集英社文庫

小川洋子と言えば「博士の愛した数式」で読売文学賞と本屋大賞受賞。
数式の「驚きと歓び」について例題を引いて詳しく述べられているが、
凡人の私にはチンプンカンプン、何一つ理解できない。


その後につづくエッセイは、少女時代の「アンネの日記」との出会いと
その後のアウシュビッツへの旅。
飼い犬のしっぽを撫でながら思いつくまま日々の中での小さな出来事に
目をとめたエッセイには思わず頬の緩むのを覚えたものだ。

文学部出身の彼女がこんなに数に興味を持ち小説に昇華させたのには、
やはり頭脳明晰なのだろう。
それと何処までも出かけて事実を確かめようとする行動力だろう。

いやはや小説家は身体強健でなくては出来ない業か。
以前に「ことり」という本を読んだのを思い出したが、
書棚を探してみよう。

窓辺のサンスベリアに新しい芽が出てきた!!

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「ひとは情熱がなかれば生きていけない」

2024年06月13日 | 

「ひとは情熱がなければ生きていけない」 
浅田次郎著  講談社文庫
いつかきっとと熱望しながら回り道をして小説家になった著者  
彼は如何にして 今の地位を築いたのか
生い立ちから家族のことを赤裸々にユーモアたっぷりに書く
三島由紀夫の事件に遭遇し自衛隊へ入隊
小説が世に出るまで二十年かかった
その間に経験したことが小説の題材になっている
競馬にうつつを抜かし 文才より商才に長けていた
風呂好きな江戸っ子と自負する痛快エッセイ集
解説文より抜粋
浅田次郎の小説を好むのは、その文体の簡潔さが私にとっては
読みやすく、親近感を抱くのかもしれない。

紫陽花
 

ヒペリカムアベリア
 

ウメエダシャク珍しいと思ったが昨日も庭で見かけた 

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