『星月夜』
伊集院 静 著 文春文庫
「残酷な運命だろう でも生きていかねばならぬ」・・・ 作者の悲痛な心
の叫び
「何と悲しく辛く同時になんと暖かいのだろう」・・・解説者 池上冬樹

現在と過去の忌まわしい記憶が入り乱れ、登場人物も多くて混乱したが、読後 相関関係を図にしてみたら、輪郭がはっきりした。
そこであらためて拾い読みをしたものだ。
作者にはこれが最初のミステリーだそうだが、あの東日本大震災中に中断して、その後また書き始めたとあるから、被災された人たちの嘆きや苦しみを十分思いやっての内容とみる。
残酷な孫娘の死を悼む老人とその悲しみに寄せる刑事たちを描くラストシーンは心に残る。人間の持つ愚かさと暖かさを解説者とともにしみじみと感じたものだ。
再発の新年に泣く腰痛よ炬燵にまるく手も足も出ぬ 夕庵
なんとしたこと!新年早々腰痛に襲われた!!
初参りも中止にして日長読書