まだ行方不明の方が2,561人もいる。
あの大震災によって犠牲となられたすべての方々に対して、
あらためて哀悼の意を表します。
「5」とか「10」とかいう数は、区切りにされたり、
歳月であれば「節目」といわれたりするけれど、
2,561という数の中に、ご家族や友人知人がいる方たちにとっては、
区切りのつけようもなく、5年という月日も、
とらえどころのない時間にすぎないのではないでしょうか。
5年目の3.11の朝、私のまぶたが腫れていたのは、前の晩
NHKスペシャル「風の電話~残された人々の声」を見たからだった。
不思議なもので、人はみな、逝ってしまった人に対して
「元気ですか?」「元気にしてる?」って呼びかける。
黒いダイヤル式の電話が置かれている電話ボックスに
そうっと入って、ためらいがちに受話器を上げる。
そして、言うのです。亡くなった夫に
「もしもし、お父さん、元気ですか?」って。
津波にのまれた娘に対して
「○○ちゃん、どうしてますか?」って。
私が犬たちに話しかけるときも、そうだ。
「トチ、ブナ、クリ、元気でやってる?」って。
もう亡くなっているのに、
「元気ですか」なんておかしいけれど、
あちらの世界で、元気で幸せにしていることを願っているのだ。
あちらで“生きている”ことになっている。
ただ、それも、どんな形であれ相手を弔えたからで、
消えて不在のままの家族や友人知人に対しては、
やはり開口一番、
「どこにいるの? 早く帰ってきてください」なのです。
2,561人が1日も早く、家族のもとに帰れますように。
1日も早く、彼岸で元気にしている姿を
家族が思い浮かべることができるようになりますように。