廃棄されてしまう規格外の鮎から、魚醤を作っているということで取材に行ったのである。淡水魚から作られた魚醤油は世界でも類がなく、独特の臭いがない原次郎左衛門の「鮎魚醤」は、イタリアンやフレンチの有名シェフたちから、料理の旨みを引き出す隠し味として高い評価を得ているらしい。
現地で舐めさせてもらったけど、本当にナンプラーやニョクマムのように臭くなくて、さっぱりしていながら旨みを感じる醤油でした。
味噌・醤油の多彩なラインナップもさることながら、驚いたのが七色の「虹色ラムネ」。これは人気商品で東京新宿の伊勢丹などでも売られているとのこと。
聞けば創業当時からラムネを作ってきたという。味噌や醤油は作るのに時間がかかり、回転が遅い。とくに夏場の売上は期待できない。
ということで、夏場の収益を見込んでラムネ製造を思い付いたのだとか。十三代目当主であり、四代目社長の正幸氏はラムネを日本に初めて持ち込んだのは、あのペリーだと言っていた。その後、明治25年に日本でラムネブームが起こったのだそうだ。
「それでうちでも創業当時からラムネ製造をしてきたのです」と言って、社長は世界各国から集めたラムネ瓶や、今やもう国内では作られていない古いガラスのラムネ瓶が並べられたラムネ製造室を見せてくれたのだった。
本当は鮎魚醤のお話を聞きに行ったのだけど、どちらかというとラムネ製造や瓶の変遷、エピソードの面白さが強く印象に残った取材でした。