十勝の活性化を考える会

     
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アイヌ学入門

2019-10-19 05:00:00 | 投稿

瀬川拓郎著「アイヌ学入門」の本には、アイヌの祖先について分かりやすく説明していたので紹介したい。

 

『(前略)本書のタイトルは、「アイヌ学入門」ですが、ここでのアイヌ学は、アイヌへの多様な関心や好奇心に接続するための学問的サポートといったものをイメージしています。「アイヌ学」という方法論をもつ学問分野が存在しているわけではありません。

読者のなかには、アイヌ学という言葉のなかに「学問する側/される側」といった植民主義の残香を嗅ぎとる方もいらっしゃるかもしれません。しかし本書の意図は、複雑なアイヌの歴史や文化の一端を提示し、そのカオスのなかから単純な二項対立の論理をのりこえていこうとする点にあります。

いずれにしろ本書の目指すのは、今後さらに明らかになっていくであろう複雑なアイヌの実態、つまり容易には要約することの不可能なアイヌという存在の解明の「前触れ」となることであり、タイトルの「入門」はまさにこの意味なのです。

とはいえ、アイヌが「要約不可能」なままでは、本書を手にされたみなさんはもちろん納得してくださらないとおもいます。

そこで、世界中のどの民族とも異なるアイヌの特徴を一言であらわすとすれば、「日本列島の縄文人の特徴を色濃くとどめる人びと」ということになるでしょう。縄文文化は北海道から琉球列島にかけて一万年以上も続きましたが、アイヌは日本列島に暮らしたこの縄文人の特徴をよく残しているのです。

日本のマジョリティである私たち和人は、弥生時代に朝鮮半島から渡ってきた人びとと、日本列島の先住民である縄文人と交雑して成立した集団です。アイヌはサハリンの先住民や和人と混淆することもありましたが、基本的にこの交雑化を積極的には受け入れようとしなかった縄文人の末裔であり、その文化には縄文文化の伝統も認められます。かれらはその意味で、現在の日本列島における「本家」筋ともいえる人びとであり、北海道の先住民どころか日本列島の先住民ともいえるのです。私たちはアイヌのなかに縄文時代の「ご先祖様」の姿をみているということができるでしょう。』 (後略)

「十勝の活性化を考える会」会員

 


注)瀬川拓郎

瀬川 拓郎は、日本考古学者アイヌ研究者。札幌大学教授。

北海道札幌市生まれ。北海道札幌西高等学校を経て、1980年岡山大学法文学部史学科卒業。1984年旭川市に採用され、1999年より旭川市博物館学芸員2006年、「擦文文化からアイヌ文化における交易適応の研究」で総合研究大学院大学より博士(文学)を取得。アイヌが一大交易民族であり、アイヌ文化が他地域との交流の豊かなものであったことを論じた『アイヌ学入門』で第3回古代歴史文化賞を受賞した。旭川市博物館館長を経て、札幌大学教授。

出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』)

 

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