令和4年9月10日、地元のイベント会場で“認知症と共に生きる~自分らしく生き生きと生きる~”と題した講演を聞いてきた。講師は1974年生まれで、トップセールスマンで活躍していた39歳の時に、若年性アルツハイマー型認知症を罹患した人。営業職から事務職に替わって勤務を続けながら、現在は認知症の社会的理解を広める活動をしている。
認知症は、約50%がアルツハイマー型認知症と、約20%がレビー小体型認知症、約15%が脳血管性認知症で、その他が15%(脳腫瘍、交通事故、アルコール中毒など)といわれる。
アルツハイマー型認知症とは、“海馬”が壊れることで、若年性と老人性がある。正常な脳細胞を壊して脳を萎縮させる病気で、脳の萎縮が徐々に進行し短期記憶をつかさどる海馬に起こると、体験したこと自体を忘れてしまうという記憶障害が起こる。
記憶障害が起こると新しいことを覚えられなくなり、さらに進むと自分がどこにいるのかも分からなくなる。認知症の人が徘徊するのは、そのためである。なお、認知症は高齢者に多い病気であるが、65歳未満で発症した場合、“若年性認知症”とされる。
私がサラリーマン時代にも、32歳の若年性認知症の部下がいた。彼の担当医師は、脳の写真を指さして海馬が白く映っていることを説明していた。そんな私も10年前に脳出血を起こし、その時の手術で脳細胞を壊したため脳出血性認知症である。過日、“当事者が語る認知症”と題する講演を行なったが、その理由は、以下のとおりである。
- 「認知症」の理由が、老化によるものと誤解されやすいこと
- 機能回復型デイサービスでは、“脳出血性認知症”の人が多いこと
- 高齢者の5人に1人が認知症になると予測されていることなど
機能回復型デイサービスを利用する理由は様々であるが、高齢者が多いこともあり脳梗塞や脳出血した人が多い。「認知症による物忘れ」と「老化による物忘れ」との区別がつきにくいが、大まかな目安として以下のようになる。
<認知症> |
<老化> |
・体験そのものを忘れる |
・体験の一部を忘れる |
・忘れたことが分からない |
・忘れたことを自覚している |
・ヒントを与えても思い出せない |
・ヒントを与えると思い出せる |
・食べたことを忘れる |
・何を食べたか忘れる
|
・約束したこと自体を忘れる |
・約束をうっかり忘れる |
講師は特に、次の3点を強調して話されていた。
・脳細胞を刺激しながら認知症の進行を抑えること
・認知症であることを周りに知らしめること
・認知症の関係者同士が支えあうこと(助け合うこと)
以上であるが、これに加えて自分の経験から思うのであるが、認知症になると怒りやすくなるなど神経が過敏になりやすいと思っている。病気であるから仕方ないが、注意したいものである。
また、認知症と一口にいっても、その進行具合など症状はひと様々である。私の場合は、記憶をつかさどる脳細胞を痛めた理由からか、2桁の足し算や引き算をできなくなってこと、直近に聞いたことを忘れることなどがある。なお、認知症者が多くなってきたこともあり認知症であることを隠さなくなったり、認知症の理解も高まってきているようだ。
柴山雅俊著“解離性障害”を読むと、交通事故などの高次脳障害が、認知症の引き金になるとも書かれていた。私は脳出血の時に頭蓋骨に穴をあけて出血した血を抜いているので、高次脳機能障害を伴う脳出血性認知症である。
ところで、80―50問題や2040年問題などがあり、引きこもりの若者も多く存在している。これが長期化すれば親も高齢となり、収入や介護に関しての問題が発生することになる。80―50問題とは、80代の親と50代の子の親子関係での問題であるが、私の20世帯の町内会にも引きこもりの人がいるらしい。
2040年問題とは団塊ジュニア世代が高齢化することで起きる問題である。2040年になると1971年~1974年の第二次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア世代」が、65歳〜70歳となる。65歳以上の高齢者の人口がピークになることで起こる問題を総称して、「2040年問題」といわれている。
「十勝の活性化を考える会」会員