Q
新型コロナウイルスの感染が拡大しています。私たちのマンションでは住民同士の集会室を利用したサークル活動が盛んです。もし、集会室を利用した居住者の間でクラスターが発生したら、管理組合が責任を負うことになりますか。責任が問われるのであれば、集会室の利用を禁止したいと思いますが、可能ですか。また、理事会も集会室を利用していますが、理事の中には感染が怖いと言うことで参加を渋る方もいて、定足数を満たすことが難しくなっています。これでは理事会での決議ができませんが、何か良い方法がないでしょうか。
A
集会室は共用部分ですから、管理組合としては一定の感染対策を講じる必要があります。即ち、人数制限、時間制限、利用者のマスク着用、ソーシャルディスタンスの確保、アクリル板等の設置による飛沫対策、換気の実施、利用時の検温、手や指の消毒等通常求められる感染対策は行う必要があります。
そして、このような感染対策を行っている限り(あるいは、行うことを誓約させて利用を認めたが、利用者がこれを守らなかった場合)、仮にクラスターが発生しても管理組合が責任を負うことはないと考えます。
変異株の影響から一般的な感染対策を行ってもクラスターが発生する可能性は否定できません。このリスクを回避するために、集会室の利用を禁止することは可能でしょうか。筆者としては、緊急事態宣言が出ている期間については集会室の利用を全面的に禁止することも許されると考えます(本来組合員は集会室を利用する権利を有していること、集会室を利用した住民間の交流は大切なことなので、全面的な禁止は感染状況が深刻である場合に限定すべきであると考えています)。
緊急事態宣言期間中は全面的に禁止する場合ですが、総会決議まではする必要がありません。集会所の使用細則等で利用の可否について、理事長が判断するといった規定があれば、この規定に基づいて理事長が禁止することはできると考えられますが、全面的な禁止は組合員に対する相応の制限となりますから理事会で審議して決議しておくことが望ましいと思います。
標準管理規約では「理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。」と規定しています。
また、総会とは異なり、代理人や書面による議決権行使を認める規定はないことが通常です。そうすると、例えば、理事が10名であれば5名が出席しないと理事会を開くことができません。もっとも、理事会は参加者が同じ場所に一同に集まることまでは要求されていません。WEBシステムを利用してリモートで理事会を開催することは可能ですし、コロナ禍では積極的に活用して良いと思います。筆者が顧問をしている管理組合でも集会室には理事長、副理事長と議事録作成を補助する者の数名程度が集まり、他の理事はリモート参加で理事会を開催している実例はあります。集会室等を利用しない完全なリモートでの実施も可能です。なお、リモートで参加する場合は、外部から内容を聞かれないように自室や個室のコアワークスペース等から参加するなどの配慮は必要です。
回答者:NPO日住協法律相談会 専門相談員
弁護士・石川 貴康
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年9月号掲載)
集合住宅管理新聞「アメニティ」は、1982年創刊、39年間の歴史を持つマンション管理とメンテナンスの専門情報紙です。1都3県などの分譲マンションを中心に10万部発行。見本紙ご希望の方は、ホームページからお申し込み出来ます。
https://www.mansion.co.jp/mihonshi
新型コロナウイルスの感染が拡大しています。私たちのマンションでは住民同士の集会室を利用したサークル活動が盛んです。もし、集会室を利用した居住者の間でクラスターが発生したら、管理組合が責任を負うことになりますか。責任が問われるのであれば、集会室の利用を禁止したいと思いますが、可能ですか。また、理事会も集会室を利用していますが、理事の中には感染が怖いと言うことで参加を渋る方もいて、定足数を満たすことが難しくなっています。これでは理事会での決議ができませんが、何か良い方法がないでしょうか。
A
集会室は共用部分ですから、管理組合としては一定の感染対策を講じる必要があります。即ち、人数制限、時間制限、利用者のマスク着用、ソーシャルディスタンスの確保、アクリル板等の設置による飛沫対策、換気の実施、利用時の検温、手や指の消毒等通常求められる感染対策は行う必要があります。
そして、このような感染対策を行っている限り(あるいは、行うことを誓約させて利用を認めたが、利用者がこれを守らなかった場合)、仮にクラスターが発生しても管理組合が責任を負うことはないと考えます。
変異株の影響から一般的な感染対策を行ってもクラスターが発生する可能性は否定できません。このリスクを回避するために、集会室の利用を禁止することは可能でしょうか。筆者としては、緊急事態宣言が出ている期間については集会室の利用を全面的に禁止することも許されると考えます(本来組合員は集会室を利用する権利を有していること、集会室を利用した住民間の交流は大切なことなので、全面的な禁止は感染状況が深刻である場合に限定すべきであると考えています)。
緊急事態宣言期間中は全面的に禁止する場合ですが、総会決議まではする必要がありません。集会所の使用細則等で利用の可否について、理事長が判断するといった規定があれば、この規定に基づいて理事長が禁止することはできると考えられますが、全面的な禁止は組合員に対する相応の制限となりますから理事会で審議して決議しておくことが望ましいと思います。
標準管理規約では「理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。」と規定しています。
また、総会とは異なり、代理人や書面による議決権行使を認める規定はないことが通常です。そうすると、例えば、理事が10名であれば5名が出席しないと理事会を開くことができません。もっとも、理事会は参加者が同じ場所に一同に集まることまでは要求されていません。WEBシステムを利用してリモートで理事会を開催することは可能ですし、コロナ禍では積極的に活用して良いと思います。筆者が顧問をしている管理組合でも集会室には理事長、副理事長と議事録作成を補助する者の数名程度が集まり、他の理事はリモート参加で理事会を開催している実例はあります。集会室等を利用しない完全なリモートでの実施も可能です。なお、リモートで参加する場合は、外部から内容を聞かれないように自室や個室のコアワークスペース等から参加するなどの配慮は必要です。
回答者:NPO日住協法律相談会 専門相談員
弁護士・石川 貴康
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年9月号掲載)
集合住宅管理新聞「アメニティ」は、1982年創刊、39年間の歴史を持つマンション管理とメンテナンスの専門情報紙です。1都3県などの分譲マンションを中心に10万部発行。見本紙ご希望の方は、ホームページからお申し込み出来ます。
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