新しく建て替えられた「オーベルグランディオ萩中」へは、京急空港線「糀谷駅」から商店街を歩いて約5分。商店街入り口には「祝完成」の横断幕が掲げられていて、この建て替えが近隣からも支持と祝福を受けての事業だったのだと、あらためて感じさせられる。新しく建て替えられた「オーベルグランディオ萩中」へは、京急空港線「糀谷駅」から商店街を歩いて約5分。商店街入り口には「祝完成」の横断幕が掲げられていて、この建て替えが近隣からも支持と祝福を受けての事業だったのだと、あらためて感じさせられる。
生まれ変わった高層建物の外観からは、建て替えに至るまでの関係者達の苦労や努力は微塵も感じられないが、その道程にはかなり険しいものがあったことが容易に想像される。近隣や地権者達との対話の10年がやっと実った同マンションの建て替えまでの経過を追ってみた。
萩中住宅は昭和43年に東京都住宅供給公社が分譲した団地型マンションで、35年の利用権分譲方式。20年経過した時点で公社から所有権移転を受けたのを機に、管理組合を設立し自主管理体制をスタートさせた。
建て替えについては、第2次大規模修繕工事(築後約25年)を契機として検討を始めたが、すでに地価は下落変動していた。
建て替えをデベロッパー等に丸投げするか、自分たちの参加型とするかの議論もしたが、建て替えは管理の一環と考えていたし、自主管理の延長でもあったので皆で進めることにした。
いきなり建て替え(計画)では反発する人もいるので、まず、管理組合の組織の中に「再開発検討委員会」を設置(平成5年)して検討を開始した。
建て替えのことは管理の状況が分からないと出来ないので、委員会の中に管理組合の理事が加わった。
計画の推進にあたっては、優良建築物及び21世紀都市居住の補助金助成取得に加えて、総合設計制度を利用することにして容積率緩和を認めてもらった。
このため、制度利用を承諾してもらうための近隣との折衝には時間をかけた。約半年かかったが特に反対はなかった。
平成6年に建て替え準備委員会設立。同9年に事業推進コンサル選定。10年に第一次、12年に第二次建て替え計画案を発表して建て替え推進決議採択。13年に事業協力者2社を選定。15年8月に建て替え決議(92%の賛成)。9月にマンション建て替え円滑化法に基づき建て替え組合の設立を都知事に申請。改正区分所有法による団地内建物一括建て替えの初の申請となった。
16年2月権利変換計画認可を受けて解体工事着工。18年3月再建建物竣工、入居となった。
新築にあたっては100年マンションを目指した。
権利変換計画では、地権者優先で住戸の位置決めを行った。
再入居希望が305戸、転出が63戸だった。資金調達については、銀行が貸したがっていたので苦労しなかった。
3月入居に伴い、新しく管理組合を設立し、明年3月頃に建て替え組合を解散する予定で、現在は両組織併存の形となっている。
新しくなったマンションには、コミュニティルーム(2室)、パーティールーム、集会室、カラオケができるプライベートラウンジなどの他、中庭に位置する駐車場棟の屋上には野外ステージのある大広場もある。
- コーディネーター:
- (株)シティコンサルタンツ
- 事業協力者:
- 有楽土地(株)(参加組合員)
(株)長谷工コーポレーション - 設計・監理監修:
- (株)シティコンサルタンツ
- 設計・監理:
- (株)長谷工コーポレーション エンジニアリング事業部
- 施工・管理:
- (株)長谷工コーポレーション
- 建替組合事務局:
- (株)シティコンサルタンツ
建替え概要
建替え前 | 建替え後 | |
---|---|---|
棟数 | 8棟 | 4棟(共用棟、駐車場含む) |
規模 | 地上5階 | A棟:地上18階 BCD棟:地上17階 地下1階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 一部鉄筋コンクリート造 |
建築面積 | 3,692.04m2 | 7,202.02m2 |
建ぺい率 | 23.2% | 45.14% |
延床面積 | 18,510.87m2 | 48,801.38m2 |
容積率 | 116.2% | 239.84%(基準200%) (総合設計制度により240.11%に緩和) |
住戸数 | 368戸 | 534戸 |
住戸面積 | 44.40m2,47.95m2 | 44.82m2~88.38m2 |
駐車台数 | 118台 | 271台 |
公開空地 面積 | - | 4,270.46m2(実面積) 6,222.29m2 |
その他 | - | 一団地認定、総合設計制度 |
<アメニティ新聞285号 2006年6月掲載>