Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

霧の森でアカショウビンの声を聴く

2012-06-29 | 

 

雨上がりの朝、まぶしい陽光がカーテン越しに射していた。

東北への山旅を週明けに控え、近場の皿ヶ嶺へ足慣らしの森歩きへ出かけた。

 

 

平野部には、さんさんと陽光が降り注いでいるが、見上げる皿ヶ嶺は厚い雲に覆われ、山は深い霧に閉ざされている様子。

これは願ってもないロケーション。やがて、この霧は晴れる。

その後に、どんな風景と巡り会えるだろうか?

風景写真は、こんな天候の変わり目が一番面白い。

(その分、ピーカンの空模様は面白みに欠ける)

 

風穴あたりでは、ササユリがポツリポツリ咲き始めた。

霧の森の淡い木洩れ陽が、この花の清楚な風情をしっとりとした色調で包み込む。

まるで水彩絵の具を溶き出したみたいに。

 

 

霧の森歩きは神秘的だ。

距離感を失くした乳白色の森。どこか違う世界に誘われるような眩暈のような時間。

久遠という言葉の響きが、いつも耳元で囁かれているような。

 

突然、キョロキョロロ~と霧の彼方から囀りが聴こえた。

「えっ?アカショウビン」驚愕した。

この森でカワセミの仲間であるアカショウビンの声を聴くとは思わなかった。

もっともアカショウビンは魚を捕って食べるわけではない。昆虫や蛙などを主食としているわけだから不思議ではない。

川沿いに棲息するカワセミやヤマセミと違って、アカショウビンは森の鳥と呼ばれている。

それにしても、皿ヶ嶺は不思議な森だ。

決して、そんなに広大な自然林を有するわけでもないのに豊かな植生と

1500m以上の高地に棲息するコマドリや深い森の奥に棲むアカショウビンを

その懐に呼び込む包容力を持っている。

 

 

霧が流れる竜神平を周回していると突然、霧の木立からカーテン状の光芒が射してきた。

幾筋も光の帯が樹間の霧の薄紗を透かして放たれる。

なるほど今日の御褒美は、これだっのか(笑)

 

黄昏の光に包まれた麓の里山は、水を張った田圃が広がる。

森と里は豊かな水の循環で繋がっている。

ゲロゲロ雨蛙が田圃の畔で元気に跳ねる。

あの眠そうな愛嬌のある眼に美しい青緑の体色。

近頃、こいつがどうにも気になる存在(笑)

 

 


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11 コメント

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霧の不思議 (鬼城)
2012-06-29 19:28:48
写真のすばらしさも勿論ながら、天気の変わり目が面白いと言われる「ランスケ」さん。かえるさんの前2枚の写真、幻想的な雰囲気を醸し出しています。写真には光が影響すると言うことが、実感できる写真ですね。
この皿ヶ峰の自然の中で「ささゆり」の開花、アカショウビンの鳴き声、まさにランスケワールドの世界です。
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旅立ち間近。 (ランスケ)
2012-06-29 22:09:46
さぁ、いよいよ20年来の憧れの地への旅立ちです。
あいにく来週一週間の東北地方の空模様は下り坂。
雨の森歩きは歓迎ですが稜線の縦走は晴れてほしい(苦笑)
あの山上草原がガスで真っ白では辛い。
雨のち晴れ。夕映えの空に大きな虹。
かなり調子のいい絵柄を妄想しています。

東北地方の梅雨は7月中旬が最盛期なので、ぎりぎりの決断。
梅雨が明けるとヒメサユリの花期が終わってしまう。
後は山の神様の御機嫌次第。

もちろん東北地方の高い山が高濃度の放射能に汚染されていることは承知しています。
でも、この先私たちが生きている限り、この放射能が消えることはないのです。
どうせ私たちが便利さと引き換えに穢した自然。
あれから一年半が経過して雨水が染み出した山の湧水。
濃縮された渓流魚に山菜の山の幸をたっぷり頂いきます。
これはヤケクソでも何でもない。
自業自得だと思っています。

その代わり、東北の美しい日本の原風景を、しっかり眼に焼き付けてきます。
返信する
復興 (鬼城)
2012-06-30 00:01:28
友人がつい先日、福島入りをしました。
復興は全然進んで織らず、レンズを向けたが、シャッターを切ることができなかったとのこと。
また検問の間際まで行ったが、入ることはかなわなかったとも・・・
故郷を無くした人たちの気持ちに一日も早く近づかなければ成りません。
謝るだけなら子どもでもできる。

東北への旅立ち、健闘と旅の安全を祈ります。
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変わらない日本のシステム (ランスケ)
2012-06-30 08:19:14
おはようございます。
鬼城さん再度の書き込み、ありがとうございます。

福祉目的税といわれた今回の消費税。
膨らみ続ける社会保障のためなら、しょうがないと半ば諦めていました。
ところが蓋を開けてみると、税収13兆円の内、社会保障関連予算は1/5以下の2,5兆円。
その代わり、大型公共事業関連予算が目白押し。
震災復興のための公共事業なら納得しますが、事業仕訳で消えたはずの大型公共事業復活が、ずらりと並んでいます。

これが、この国の実態です。
日本が、どんなに危機的状況にあっても自分たちの既得権益確保にしか目を向けない政官財の一枚岩の利権システムは、
いつまで経っても変わらないようです(溜息)

昨夜、官邸周辺を過去最大級の「大飯原発再稼働反対」を訴える4万5千人超の自発的参加による市民デモが行われたそうです。
国民の声と霞が関の意識は、あまりにも乖離しています。
今度の衆院選挙では、政党ではなく政治家ひとりひとりの意識を判断材料とします。
本当に変えなければ、このままだと「イースター島最後の木」と同じ運命へ私たちは突き進んでいます。
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出勤前に (misa)
2012-06-30 08:44:41
主人の病院に寄ってからの出勤ですので
取りあえずひとこと(入院長引きそうなので)
ひとりひとりの意識が良い人類を創り上げていくのだと思いますね
何だか良いように騙されて丸め込まれてばかりの現実
「イースター島・・・・」の事を知る人が私の周りに殆ど居ない・・悲しい事です
返信する
全天候型の山歩き (ランスケ)
2012-06-30 13:47:25
misaさん、いよいよ出発です。
あいにく登山開始7/3火曜日の朝日連峰周辺の天気予報は、初日が曇り時々晴れ。後は曇り時々雨の予報。

まぁ、梅雨末期の豪雨じゃなさそうですから全天候型の気象条件の下、山歩きを楽しんできます。
稜線の花々もたくさん咲き始めた様子。もちろんヒメサユリもね。

イースター島の末路を知る人は、少ないと思います。
私自身も最近、本の中の記述で知ったばかり。
以前にも書いたように、この話には私たちの未来の姿が、どうしても重なってきます。

最近よく引用されるのが、太平洋戦争におけるミッドウェー海戦の敗北です。
日本軍は、この歴史的な敗北の検証をしないまま(責任問題の派生を恐れ)ずるずると敗戦に向けての坂道を転げ落ち続けて行きます。
これと同じことが、今、福島原発事故以降に起こっていると指摘されています。

また今日、福島第一原発4号機、核燃料プールの冷却水ポンプが止まりました。
未だ、あちこちで事故後の火種が燻り続けています。
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防森の国 (俯瞰)
2012-07-01 10:47:58
首相官邸前で大飯原発再稼動反対デモ空前の15万人規模に膨れ上がる。
1960年代の日米安保反対の時のデモ以来の大きな流れが起きている。
この、真実の出来事をマスコミ・新聞社はほとんどニュースとして報道していないようです。
特に「原子力の父」「科学技術庁長官」「読売新聞社社主」の肩書きを持つ正力松太郎(A級戦犯)あの関東大震災時には「朝鮮人が暴動を起こしている」という有名なデマを流したのは正力であったとされている「正力ファイル」有馬哲夫著その読売新聞は、今回の再稼動反対デモを黙殺です。
民主党は原発再稼動、消費税増税で政治家生命は終わりました。
次は経産省はじめ官僚達です。そして、中国となんら変わらない日本のマスコミも

やっと、国民が日本人として立ち上がってきました。

憧れの東北地方への旅安全を祈ります。
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on the Road again (ランスケ)
2012-07-01 13:19:43
俯瞰さん、ありがとうございます。

そうですか金曜の夜を上回る規模にまで官邸を取り巻く群衆は膨れ上がってきましたか。
もの言わぬ国民の大多数が「原発いらない」と思っています。
ついにそんな声なき無党派層が、声を上げだしました。

次回の衆院選では既成政党は軒並み総スカンでしょう。
誰も民主、自民、公明なんかに投票するわけがない。
こいつらが震災以降、やってきたことをみんな見てきました。
あの非常時においてさえ体面やメンツに終始したこいつらの了見を。

さぁ今夜、出発します。
旅立ちは、幾つになっても期待と不安を抱えて揺れています。
そして少し夢が勝った on the Road again
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空前のデモ映像 (ランスケ)
2012-07-01 14:16:25
俯瞰さんの言っていた29日の官邸を取り巻いた空前のデモのニュース映像http://news.tbs.co.jp/20120629/newseye/tbs_newseye5068616.htmlがありました。

う~ん、これは凄い。
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dear toshiaki (ホッホ)
2012-07-04 21:45:47
心の奥深く暖めていた東北への旅。
ランスケさんの大好きな山とロードストーリーの始まりですね。

独創的で、頑固で、直情的、優しくて、研究熱心、単純で、複雑、負けず嫌いで、弱虫で、正義の味方、無尽蔵の体力と喧嘩好き。そしてナルシスト。そして何時も放蕩息子・・・。

まだまだ、ありますが止めます。

そうそう、「考える人」で今森光彦さんも東北への旅の写真が巻頭カラーで特集してました。

帰ってきたら酒盛りです。
写真と土産話、楽しみにしてます
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