陶芸教室 夢工房あすか

大分市内にある陶芸教室のブログです。
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日日是好日/連載3

2019-01-05 00:02:27 | 日日是好日/連載
<序章> 陶芸という習いごと
 足立のおばさん
陶芸教室にもぼちぼち生徒さんが入ってくれるようになった。大分が郷里と言っても生まれも育ちも違っていた。知ってる人といえば叔母さんが二人いるくらいだった。家内も爺さんも婆さんも大分出身だが本人は東京の田園調布の隣町の生まれだ。田園調布中学にも通っていた。

大分市て陶芸教室を開いてから色々と宣伝を試みたが反応がなかった。自分でチラシを作って近所のポストに投函したりした。また、専門業者にポスティングもやってもらったが全く反応がない。困った挙句、地元情報誌の 「春のスクール特集号」 に陶芸体験募集の広告を出してみた。費用が6万円ほどかかったが、ようやく30代前後の若い女性がぼちぼちと入会してくれるようになった。最初の生徒さんが真紀ちゃんである。そして、数年した頃に少し小太りの小母さんが来てくれた。

 「この歳になったので、若い頃は絵が好きだったので、絵か陶芸を習いたいと思ってるんです・・・」 と。
近所の 「釣具店」 に勤めてるということだった。そして、こうも話していた。
 「釣具店に30年間、勤めてきたので、お世話になったお客さんに自分で作った器を贈りたいんです。不器用ですが出来るでしょうか・・・」
言われてみれば何となく不器用そうではあるが、明るく快活そう小母さんだった。

 「最初は体験でもいいですよ」 と私は言った。続けて、
 「陶芸の基本を伝えたいと思って開いた教室です。体験でも3回やってもらうことにしています。3回ですが費用は3,000円です」
 「全国、どこの教室でも体験は1回しかやってません。体験で作ってもらったものを先生や講師が削って釉掛けをするんです。綺麗に仕上てくれますが、それでは自分が作った作品とは言えないでしょう」
 「陶芸では、成形した後に削って、素焼きしてから釉薬という上薬を掛けるんです。陶芸にはこの三つの工程があるんです。それが陶芸なんです。私はこの三つを体験して貰いたいんです」
さらに付け加えた。
 「最初は、いびつなゆがんだ作品になるかもしれませんが、使える器ができますから」

足立のおばさんは、まごつきながらも3回の陶芸体験を終えた。私は口だけで丁寧に説明した。手はいっさい出さなかった。一貫してそういう教え方をしている。体験を終えるとすぐに入会してくれた。陶芸をやりたいという気持ちが強かったのだろう。定年を間近にひかえたご婦人でした。お店では長く店長をやっていたそうである。
 「元店長なんですが今も店長、店長と言われるんです」 と、
少し遠慮がちに話していた。お店が支店を出した時にもそこの店長を任されたそうだ。会長からの信頼も厚かったようだ。

しばらく経ってから聞いた話だが、
 「お店が30年前に美容院を開くからと言うことだったので入ったんです。美容師の資格も持ってるんです」
と言っていたが、今のお仕事が天職のように思える。

( この続きは次回に。次回からは生徒さんの作品紹介の合間合間に挿入します )



※ この中皿は、足立さんが、手びねりの基礎コースのカリキュラムで作った 「絵付け皿」 です。手びねりの玉づくりの手法で作ったお皿ですが上手に出来ています。絵付けも上手い。



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