goo blog サービス終了のお知らせ 

とやざき農園日誌

浅間山麓(長野県小諸市)で自然農法による農業を行っています
肥料や農薬を施さず自然の養分循環の中で野菜を育てています

黒ボク土において大豆の樹ボケが起きる理由

2018年11月22日 | 日記
大豆の脱穀がほぼ終わりました。栽培したのは、今年も、黄(こうじいらず)、青(青バタ)、黒(玉大黒)の3種です。とりあえず、米袋に莢クズごと放り込んで貯めてあるので、あとは唐箕で風選別し、豆だけ取り出します。


大豆栽培は、一昨年から高めの畝に仕立てることで、安定した収穫が見込めるようになってきました。よく乾き、土に粘りが出てきた(スメクタイト型粘土が多いと考えられる)畝では、やや小ぶりな樹に、しっかり太った実が鈴なりに付きます。根を掘り上げてみると、根粒がびっしり付いており、微生物との共生が順調であったことが窺われます。


逆に、湿り気味で、土に粘り気がない(アロフェン型粘土が多いと考えられる)畝では、樹は大きくなるのに莢の数が少なく、しかも実の太りが悪いという、いわゆる「樹ボケ」状態の株が多々見られました。このような株を掘り上げてみると、根粒がほとんど見当たりません。


樹ボケが多発する畝を観察してみると、ハコベやヒメオドリコソウなどの中性に近いphを好む野草は少なく、酸性を好むスイバ(またはギシギシ)が沢山生えています。スイバは地下水位が高い場所に生える野草で、昔は井戸掘りの手がかりにしたそうです。この場所には、昨春畝を立てましたが、まだまだ黒ボク土から脱し切れていないようです。


地下水位が高い場所(この辺りでは浅間山麓湧水帯に当たる)に形成される黒ボク土において、大豆の樹ボケが発生する理由を考えてみます。

(1)樹が大きくなる理由:窒素過剰
地下水の供給が多い土壌では、ブタクサなどの大型の野草が育ち、多量の有機物が生み出される。しかし、水が空気を遮って好気性微生物の活動を抑制するため、未分解有機物が土中に大量に蓄積される。そのような土壌に畝を立てると、通気性の向上に合わせて好気性微生物が活性化。一転して有機物分解が進み、窒素が過剰に供給される。
(2)実付きが悪い理由:リン酸不足
大型の野草は、水を吸い上げるついでに、土から多量のケイ酸を抜き取っていると考えられる(植物ケイ酸の形成)。その結果、アルミニウム比率の高いアロフェン型粘土が発生し、むき出しになったアルミニウムがリン酸を強く固定して、大豆のリン酸吸収を阻害する。

以上から、大豆栽培に適しているのは、有機物が少なくスメクタイト型粘土を多く含む土壌であり、不足する窒素を根粒菌との共生によって確保すればよい、ということになるのではないかと思われます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 練馬大根収穫 | トップ | 黒ボク土の改良 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事