土壌微生物の中で最も数が多いと言われる「糸状菌」は、養分獲得方式をもとに以下のように大別できる。
(1)独立型(糖質、タンパク質、脂質の分解):カビ類など
(2)独立型(セルロース、リグニンなど繊維質の分解):木材腐朽菌(キノコ類の大部分)など
(3)寄生型:サビキン、ウドンコカビなど
(4)共生型:菌根菌など
(3)の寄生型は「絶対寄生菌」とも呼ばれ、植物体の生きた組織・細胞からの養分の供給が増殖に必須で、人工培養が不可能な菌類。作物栽培上は「病原性糸状菌」として忌避される存在であるが、宿主植物が過不足なく養分・水分を得て健全に育っている限りは、被害が拡大することは通常無い。
<ネギにつく赤錆菌。低温で降雨が続くと発生しやすい>
(4)の共生型は、植物が養分・水分を確保する上で重要な役割を果たしていることが近年の研究で明らかになっている。「菌根菌」(Mycorrhizal Fungi:ミコリザル ファンギ)とは、「菌根」(Mycorrhiza:ミコリザ)を作って植物と共生する菌類(Fungi:Fungusの複数形)のこと。菌根菌は土壌中に生息し、植物の根の表面もしくは内部に菌糸を着生させて共生関係を作る。着生した菌糸を菌根と呼ぶ。菌根菌は、宿主植物から光合成による炭素化合物を受け取ってエネルギー源とし、その見返りとして、土壌中に張り巡らせた菌糸から吸収した養分(リン酸、窒素など)や水分を宿主植物に供給する。
ただし、このような共生関係はすべての植物に共通するものではなく、共生が強いものもあれば、共生がまったく見られないものもある。作物のリン酸吸収に与える菌根菌の影響について研究した、1983年のPlenchetteらの報告によれば、菌根菌との共生とリン酸吸収の関係には以下のようなパターンがあると考えられる。
(a)共生率:高、リン酸吸収における菌根菌依存度:高 → セリ科(ニンジン)、マメ科(エンドウ、ソラマメ)、イネ科夏作(スイートコーン)
(b)共生率:中、リン酸吸収における菌根菌依存度:中 → ナス科(トウガラシ、トマト、ジャガイモ)
(c)共生率:中、リン酸吸収における菌根菌依存度:無 → イネ科冬作(エンバク、コムギ) ※リン酸以外で依存すると考えられる
(d)共生率:無 → アブラナ科(キャベツ)、ヒユ科(テンサイ)
植物根と菌根菌の共生は、下図のようなモデルで考えることができる。
菌根菌の菌糸は5μm(0.005mm)程度であり、植物の根毛よりかなり細い。それゆえ、菌根菌は菌糸を土壌団粒に貫入させ、団粒内の粘土や腐植に保持される養分や水分を吸収することができる。共生は、養分・水分が乏しい環境で有益であることが確認されている。化学肥料を施したり十分な潅水を行った場合には、植物根付近に吸収可能な養分・水分が発生するため、共生の必要度が低下すると考えられる。
一方、非共生型の(d)については、下図のように考えられる。
アブラナ科やヒユ科は粘土が多い土質を好む。根毛を発達させて土壌団粒との接触面積を増やし、粘土や腐植が保持する養分・水分を独力で確保する。菌根菌との共生が存在しない理由としては、寒冷地の冬期に微生物活動が低下する点や、多数の粘土が保持する水分により土壌がやや嫌気的になり菌根菌が生息しにくい環境になる点などが考えられる。
(1)独立型(糖質、タンパク質、脂質の分解):カビ類など
(2)独立型(セルロース、リグニンなど繊維質の分解):木材腐朽菌(キノコ類の大部分)など
(3)寄生型:サビキン、ウドンコカビなど
(4)共生型:菌根菌など
(3)の寄生型は「絶対寄生菌」とも呼ばれ、植物体の生きた組織・細胞からの養分の供給が増殖に必須で、人工培養が不可能な菌類。作物栽培上は「病原性糸状菌」として忌避される存在であるが、宿主植物が過不足なく養分・水分を得て健全に育っている限りは、被害が拡大することは通常無い。
<ネギにつく赤錆菌。低温で降雨が続くと発生しやすい>
(4)の共生型は、植物が養分・水分を確保する上で重要な役割を果たしていることが近年の研究で明らかになっている。「菌根菌」(Mycorrhizal Fungi:ミコリザル ファンギ)とは、「菌根」(Mycorrhiza:ミコリザ)を作って植物と共生する菌類(Fungi:Fungusの複数形)のこと。菌根菌は土壌中に生息し、植物の根の表面もしくは内部に菌糸を着生させて共生関係を作る。着生した菌糸を菌根と呼ぶ。菌根菌は、宿主植物から光合成による炭素化合物を受け取ってエネルギー源とし、その見返りとして、土壌中に張り巡らせた菌糸から吸収した養分(リン酸、窒素など)や水分を宿主植物に供給する。
ただし、このような共生関係はすべての植物に共通するものではなく、共生が強いものもあれば、共生がまったく見られないものもある。作物のリン酸吸収に与える菌根菌の影響について研究した、1983年のPlenchetteらの報告によれば、菌根菌との共生とリン酸吸収の関係には以下のようなパターンがあると考えられる。
(a)共生率:高、リン酸吸収における菌根菌依存度:高 → セリ科(ニンジン)、マメ科(エンドウ、ソラマメ)、イネ科夏作(スイートコーン)
(b)共生率:中、リン酸吸収における菌根菌依存度:中 → ナス科(トウガラシ、トマト、ジャガイモ)
(c)共生率:中、リン酸吸収における菌根菌依存度:無 → イネ科冬作(エンバク、コムギ) ※リン酸以外で依存すると考えられる
(d)共生率:無 → アブラナ科(キャベツ)、ヒユ科(テンサイ)
植物根と菌根菌の共生は、下図のようなモデルで考えることができる。
菌根菌の菌糸は5μm(0.005mm)程度であり、植物の根毛よりかなり細い。それゆえ、菌根菌は菌糸を土壌団粒に貫入させ、団粒内の粘土や腐植に保持される養分や水分を吸収することができる。共生は、養分・水分が乏しい環境で有益であることが確認されている。化学肥料を施したり十分な潅水を行った場合には、植物根付近に吸収可能な養分・水分が発生するため、共生の必要度が低下すると考えられる。
一方、非共生型の(d)については、下図のように考えられる。
アブラナ科やヒユ科は粘土が多い土質を好む。根毛を発達させて土壌団粒との接触面積を増やし、粘土や腐植が保持する養分・水分を独力で確保する。菌根菌との共生が存在しない理由としては、寒冷地の冬期に微生物活動が低下する点や、多数の粘土が保持する水分により土壌がやや嫌気的になり菌根菌が生息しにくい環境になる点などが考えられる。
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