昨日は、ナスおよびトマトの枯れ枝の抽出液をPH測定し、どちらも高いアルカリ性であることを確認しました。それとの比較で、本日は冬野菜のミネラル集積を調べてみたいと思います。
対象は枯れたカブです。亀裂があったため貯蔵用から除外して畝に放っておいたのですが、繰り返し凍結したためにほぼ枯れ死しています。中心の葉に若干青味がありますが、外葉および根の部分は完全に枯れているので、もしアルカリなどのミネラルを集積していれば、抽出されてPHに現れてくると思います。
<サンプルA:枯れたカブ(全体)の抽出液>
畑湧水PH7.50に枯れたカブを細かく刻んだものを投入して抽出
(10分後)PH7.40(20分後)PH7.33
※下がり幅から推定して、弱酸性
弱酸性という結果は、11月13日に測定した大根の抽出液と同じです。非常に興味深い共通性と言えます。追って、白菜やネギなどその他冬野菜についても調べてみたいと思います。
さて、ある肥料会社の園芸指南によれば、3大栄養素(窒素、リン酸、カリウム)の内、カリウムは「根肥え」に分類されます。カリウムは根の発育を促進し、根菜類では特にカリウムを十分に施すことで生育が良くなる傾向が確認されているそうです。その一方で、別の園芸指南では、リン酸は、開花や結実を促進し、また根菜類の肥大にも有効である、と言った旨の記述があります。
根を育てるのはカリウムなのか?はたまた、リン酸なのか?
あれこれ頭を巡らしていましたが、枯れカブおよび大根の抽出液PHが弱酸性である、という結果を得て、答えがだいぶ見えてきました。
先ず、弱酸性の意味するところは、カブや大根が夏野菜のようにアルカリを吸い上げていないということです。つまり、カリウムなどのアルカリが吸収されずに土壌に残存していることになります。これは非常に重要なポイントです。土壌がアルカリ性に近づくと、地下水によって運ばれてくるケイ酸が定着し、土壌が砂質から粘土質に変化します。
粘土鉱物学に基づくと、土壌中の粘土鉱物は、土壌PHに応じて次のように変化すると考えられます。
PH5以下:粘土鉱物が存在せず、ギブサイト(酸化アルミニウム)や石英(高次ケイ酸塩鉱物)などの砂質成分のみが存在
PH5~6:アロフェン型粘土鉱物(ケイ酸よりもアルミニウムの含有比率が高い。0.5:1程度の比率)が存在。弱い粘土性。
PH6~7:カオリナイト型粘土鉱物(1:1型粘土鉱物。ケイ酸の含有率がアルミニウムと同等)が存在。中程度の粘土性。
PH7以上:スメクタイト型粘土鉱物(2:1型粘土鉱物。ケイ酸の含有比率がアルミニウムの倍)が存在。強い粘土性。
土壌PHが高まる、つまり、土壌中でカリウムなどのアルカリ成分が多くなるほど、ケイ酸定着率が高まり、高い粘性の粘土鉱物が形成されるという仕組みです。
野菜の「リン酸吸収」という観点でとらえた時、土壌中のケイ酸の働きは極めて重要です。ケイ酸は化学結合によってアルミニウムを包み込んで隠蔽し、むき出しのアルミニウムがリン酸を捕獲してしまう問題、いわゆる「リン酸吸収阻害」を防ぎます。
以上のように、粘土鉱物の特性を踏まえると、カブや大根などの根菜類を育てる場合は、
(1)カリウムを施して土壌PHを高め、ケイ酸定着による粘土化を促進。
(2)アルミニウムによる「リン酸吸収阻害」を抑制した上で、リン酸を施し根菜類を肥大させる。
このような2段構えで考えるのが、理論的にも無理がないと思われます。
自然農法で言えば、(1)で必要なカリウムとケイ酸は夏野菜などの茎や枝に多量に含まれています。また(2)で必要なリン酸は、種子や発芽したばかりの幼苗に多く存在するはずです。基本的には、雑草を刈り取って全量を畑に敷いていくことで賄うことができます。
対象は枯れたカブです。亀裂があったため貯蔵用から除外して畝に放っておいたのですが、繰り返し凍結したためにほぼ枯れ死しています。中心の葉に若干青味がありますが、外葉および根の部分は完全に枯れているので、もしアルカリなどのミネラルを集積していれば、抽出されてPHに現れてくると思います。
<サンプルA:枯れたカブ(全体)の抽出液>
畑湧水PH7.50に枯れたカブを細かく刻んだものを投入して抽出
(10分後)PH7.40(20分後)PH7.33
※下がり幅から推定して、弱酸性
弱酸性という結果は、11月13日に測定した大根の抽出液と同じです。非常に興味深い共通性と言えます。追って、白菜やネギなどその他冬野菜についても調べてみたいと思います。
さて、ある肥料会社の園芸指南によれば、3大栄養素(窒素、リン酸、カリウム)の内、カリウムは「根肥え」に分類されます。カリウムは根の発育を促進し、根菜類では特にカリウムを十分に施すことで生育が良くなる傾向が確認されているそうです。その一方で、別の園芸指南では、リン酸は、開花や結実を促進し、また根菜類の肥大にも有効である、と言った旨の記述があります。
根を育てるのはカリウムなのか?はたまた、リン酸なのか?
あれこれ頭を巡らしていましたが、枯れカブおよび大根の抽出液PHが弱酸性である、という結果を得て、答えがだいぶ見えてきました。
先ず、弱酸性の意味するところは、カブや大根が夏野菜のようにアルカリを吸い上げていないということです。つまり、カリウムなどのアルカリが吸収されずに土壌に残存していることになります。これは非常に重要なポイントです。土壌がアルカリ性に近づくと、地下水によって運ばれてくるケイ酸が定着し、土壌が砂質から粘土質に変化します。
粘土鉱物学に基づくと、土壌中の粘土鉱物は、土壌PHに応じて次のように変化すると考えられます。
PH5以下:粘土鉱物が存在せず、ギブサイト(酸化アルミニウム)や石英(高次ケイ酸塩鉱物)などの砂質成分のみが存在
PH5~6:アロフェン型粘土鉱物(ケイ酸よりもアルミニウムの含有比率が高い。0.5:1程度の比率)が存在。弱い粘土性。
PH6~7:カオリナイト型粘土鉱物(1:1型粘土鉱物。ケイ酸の含有率がアルミニウムと同等)が存在。中程度の粘土性。
PH7以上:スメクタイト型粘土鉱物(2:1型粘土鉱物。ケイ酸の含有比率がアルミニウムの倍)が存在。強い粘土性。
土壌PHが高まる、つまり、土壌中でカリウムなどのアルカリ成分が多くなるほど、ケイ酸定着率が高まり、高い粘性の粘土鉱物が形成されるという仕組みです。
野菜の「リン酸吸収」という観点でとらえた時、土壌中のケイ酸の働きは極めて重要です。ケイ酸は化学結合によってアルミニウムを包み込んで隠蔽し、むき出しのアルミニウムがリン酸を捕獲してしまう問題、いわゆる「リン酸吸収阻害」を防ぎます。
以上のように、粘土鉱物の特性を踏まえると、カブや大根などの根菜類を育てる場合は、
(1)カリウムを施して土壌PHを高め、ケイ酸定着による粘土化を促進。
(2)アルミニウムによる「リン酸吸収阻害」を抑制した上で、リン酸を施し根菜類を肥大させる。
このような2段構えで考えるのが、理論的にも無理がないと思われます。
自然農法で言えば、(1)で必要なカリウムとケイ酸は夏野菜などの茎や枝に多量に含まれています。また(2)で必要なリン酸は、種子や発芽したばかりの幼苗に多く存在するはずです。基本的には、雑草を刈り取って全量を畑に敷いていくことで賄うことができます。
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