とやざき農園日誌

浅間山麓(長野県小諸市)で自然農法による農業を行っています
肥料や農薬を施さず自然の養分循環の中で野菜を育てています

大根連作

2018年11月13日 | 日記
今年も、春の時無し大根の畝を使って、大根の春秋連作に挑戦しています。

<沢庵用:練馬大根>


<貯蔵用:晩生の大蔵大根>


秋大根の種を播いた8月中旬の時点では「畝間の粘土をすべて畝に混ぜ込む」という取り組みをまだ始めていなかったため、全体的に畝の地力が足りていない感じで、生育具合にかなりバラツキがある現況です。そこで、例によって畝上部と畝間からそれぞれ土を採取し、phを測定してみることにしました。

<大根畝上部のサラサラ土 ph測定>
水道水ph6.48に土を投入 → ph6.53
※水道水と大差無い弱酸性。


<大根畝間の粘土 ph測定>
水道水ph6.44に土を投入 → ph6.62
湧き水ph7.16に土を投入 → ph7.16
※湧き水と同等の弱アルカリ性。ねっとり感があり、スメクタイトが形成されている模様。


寒くなって土壌微生物や植物の有機酸放出が弱まったことも影響している測定値と思われますが、いずれにしても、畝間の肥沃な粘土を活かせなかった結果の生育不良と言わざるを得ません。

一方、早出し用の早生大根については、ジャガイモ(レッドムーン)の後作にしました。かなり痩せている場所だったため、ジャガイモの育ちは良くなかったのですが、ジャガイモ栽培で土質が上向いたようで、大根の出来はまずまずでした。大根連作にこだわらずに、大豆→ジャガイモ→大根→大豆に戻る、というような輪作を組んだ方がいいのかも知れません。

<青首の総太り宮重大根>


源助大根と見紛う程に太った一本を抜いてみました。固定種なので形や大きさが揃わないのはやむを得ないところですが、太らせ過ぎの早生大根はスが入ることがあるため、カットして中身を確認しました。


ス入りはなく、瑞々しい断面でした。


試しに、大根自体のphを測定してみます。
<大根先端部 ph測定>
水道水ph6.45に刻んだ大根を投入 → ph6.49
湧き水ph7.16に刻んだ大根を投入 → ph7.04
※微酸性でしょうか?さすがに土と違って、即座にイオン交換がなされないようで、よく分からない値です。水道水と湧き水を混ぜてph7.0に調整したものを使えばもっと正確な値が分かると思いますが、またの機会に。


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草地開拓

2018年11月11日 | 日記
昨年に引き続き、11月の課題は、畑の未使用部分、つまり草地の開拓です。

写真手前部分は、今春しっかり畝を立てて、ジャガイモ(メークイン)を育てた後、この秋作でタマネギを育てている畝です。その奥に広がる草地に新たに畝を作っていきます。


背丈以上に伸びたブタクサなどの野草を刈り倒して一旦脇に寄せ、畝が立った後、畝間へ敷き詰めます。


この界隈で、背の高い野草が茂っている場所の土壌は、ほぼ例外なく黒ボク土です。耕してみると表層10cm程は砂質で、その下に、ざらついた感じの土塊がゴロゴロしています。


ざらざらした土塊を手に取ってみます。圧縮されて、団子状になっていますが、


粘性が低いために、握るとボロボロと崩れてしまいます。


粘土はケイ酸とアルミニウムを主成分とする鉱物ですが、その粘性を左右しているのは、高い親水性を持つケイ酸です。ケイ酸比率の高い粘土がねっとりした質感を持つのに対し、ケイ酸比率の低い(すなわちアルミニウム比率の高い)粘土はボソボソとした質感になります。黒ボク土の土塊がボソボソしているのは、ケイ酸比率の低いアロフェンが主体であるためです。
野草が繁茂する場所は、土に陽が当たらないため蒸散が抑制され、夏季(梅雨期から秋雨期まで)ひたすらに水が蓄えられます。植物が吸い上げ切れなかった土壌水分は、粘土からケイ酸を溶かし出し、粘土のケイ酸比率を低下させてしまいます。黒ボク土は、自ら太陽光を遮って水分蒸散を抑制できる背の高い野草にはおあつらえ向きと言えますが、背の低い野菜にとっては水分維持が困難な過酷な土質です。
野菜を育てるための環境整備は、湿り過ぎの黒ボク土を「干す」ことから始まります。土壌から余分な水分を抜いてやれば、ケイ酸の溶脱が抑制されます。後は、枯草の分解によって放出される植物ケイ酸と、地下水に乗って運ばれる岩石由来のケイ酸とが、粘土の質を変えてくれるのを待つだけです。目指すべきは、ひび割れ粘土質土壌の主成分「スメクタイト」を多く含む、ねっとりした粘土です。


スメクタイトが増えることで、水分と養分の保持力が高まり、ホウレン草などの中性を好む野菜を育てることができるようになります。
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立冬明けの越冬野菜状況

2018年11月08日 | 日記
昨日は立冬でしたが、このところ暖かな日が続き、冬の気配はまだ先です。

月初に氷点下の霜が二度降りましたが、タマネギが無事乗り切り、青々とした内葉を出し始めました。


タマネギの隣の畝に植えたニンニクは、耐寒性が劣るのか、はたまた土質が合わないのか、葉が若干焼けてしまいました。脇播きの春採り西洋ホウレンソウはタマネギ同様に勢いがあります。


モロヘイヤ跡地を苗床にしたサニーレタス。昨冬は厳しい冷え込みにより3分の2が枯れてしまいましたが、今冬はどうなるでしょうか。
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枯草のph

2018年11月01日 | 日記
土壌のphについてはおおよそ見当がついたので、本日は別のアプローチをしてみました。
畑からブタクサの枯れ枝を採取し、植物体内の成分を水に抽出してphを測定します。ブタクサは3メートル程に育つだけあって、枝といえども太くて頑丈です。さすがに中心の茎は硬すぎて折るのが大変なのでやめました。

<サンプル:ブタクサ枯れ枝の抽出成分> ※抽出時間3分程
水道水(ph6.58)に枯れ枝を投入して抽出 → ph6.98
湧き水(ph7.26)に枯れ枝を投入して抽出 → ph7.47 ※抽出時間5分ではph7.52


草木の灰がアルカリ性(主成分:カリウム)なのは知っていましたが、わざわざ焼かなくても十分なアルカリ成分が出ることが分かりました。時間を追う毎にphが上がっていったので、蓄積量はかなりのものだと思われます。畝間に敷いてやれば、微生物による分解の進行に合わせて、安定的にアルカリ成分を利用できるでしょう。

この測定を通して、農具置き場脇通路の土がアルカリ性のひび割れ粘土になった理由がほぼ分かりました。近傍の土手下に積み上がった枯草からアルカリ成分が大量に滲み出し、踏み固められて窪地になっている通路に集積。それによってスメクタイト形成の条件(ph7.0以上)が整い、ひび割れ粘土になった。このように考えて良さそうです。

粘土形成の仕組みを更に理解するため、次は、理論的な側面から詰めてみたいと思います。
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