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田野畑・北山崎
田野畑・鵜の巣断崖
宮古・田老山王岩
宮古・姉ケ崎
宮古・ローソク岩
宮古・蛸の浜
宮古・浄土ヶ浜
鍬ヶ崎の地形 写真は北から鍬ヶ崎まで続く絶壁の景勝地である。いずれも岩盤が海に落ち込んで象徴的な北三陸の景観を作り出している。北から宮古市に入り、比較的平地の鍬ヶ崎市街地で北からのこの地形がいったん途切れるように見える。しかし、鍬ヶ崎市街地を囲むようにして、浄土ヶ浜から館が崎、龍神崎、臼木山、熊野神社、鍬小裏の地蔵鼻、館山、旧測候所の小山の坂、十分沢、道又沢、上ノ山、オーエの沢、切り通し、漁協ビルの建つ鏡岩と、急峻かつ複雑な地形がつづくのである。
鍬ヶ崎沿岸の深層地形 宮古港に沿って、とりわけ防潮堤鋼管杭の基礎基盤になる岩盤の形態とその強度が早急に確認されなければならない。詳しい事は分からないが、1)岩手県北部沿岸から続く切り立った岩盤地形、そして 、2)鍬ヶ崎の山側から海側に落ち込んでいる沿岸地形から、深層岩盤のおおよその形態は想像ができる。図2を参照していただきたい。赤く引いた線は岩手県が想定するボーリング地質調査の縦断調査線の中心線イメージ。
図 2
鋼管杭支持地盤の岩盤 北上山地が三陸沿岸に落ち込んで行く地層と再深層岩盤。急峻かつ複雑さは太古から変転を繰り返した結果であり、地質学的プロセスを辿らなければ結論の出る問題ではない。しかしながら、防潮堤の基礎としての岩盤について、喫緊の認識として、結論的なことを言えば、岩盤の勾配が陸側から海に向かって急勾配で下(くだ)っている事である。少なくともその予測は地元住民にとっては自明の事である。 岩手県の(県庁役人たちの)ように深層岩盤がフラットなどとは考えられていない。
岩手県のボーリング・追加ボーリングは「縦断」調査だけ
工事を急ぐためなのか、節約のためなのか、ごまかすためなのか、岩手県のする鍬ヶ崎防潮堤予定敷地のボーリング調査は縦断調査だけである。最初は大震災の前の古い鍬ヶ崎防潮堤計画のための調査結果をそのまま使おうとイージーな判断をしている「既往調査結果については設計に反映させる情報として有効と判断しています」(知事回答書の冒頭)と。震災後の調査地点8カ所も、敷地に沿った縦断地点。すでに反古になっている前ページ図 6の縦断図に結果している。繰り返すが、打設される鋼管杭は位置も長さも「アバウト」のめくら打ちであった。
図 8 日立浜地区追加ボーリング地点(一部)※2015.5.29 開示資料
新しく追加された12カ所ボーリングも縦断調査のためのものであった。追加調査はなるべく防潮堤敷地中心線に沿ってボーリング地点を決めているが、しかし、何度追加しても深層岩盤の陸側から海にかけての傾斜状態は分からないのである。中心線からのずれが如何に小さくても複数鋼管杭巾の岩盤の上下間隔は大きい。それが鍬ヶ崎岩盤の魔の傾斜落差だ。下図参照
図 9-1 図 9−2
図9は図2と同じものだが更に単純化したものである。図9-2だと鋼管杭は防潮堤基礎杭として効果をほとんど発揮できない。海岸線を陸から海に横断する岩盤地形としては右側の図9-2の急峻地形が一般的で図9−1の地形は例外的である。大半の杭が横バネ効果を発揮するどころかまともに打ち込めるかどうかも分からない。岩盤から外れたり岩盤を破壊したりする。極端なことを言えば陸から海方向に垂直に落ち込んでいる岩盤もめずらしくない。縦断図ではそれらの事は分からない。更に困る事は鋼管杭の埋設の長さの調整をするために余分な長さの鋼管杭を打ち込み、必要量をはるかに超える無駄な鋼管、コンクリート等を打ち込む自然破壊である。
鋼管杭足場の傾斜の程度は「横断」調査がなけば分からない
鋼管杭がしっかり岩盤に埋設されているかどうか(しっかり埋設させるためにも)防潮堤予定敷地を横切る「横断」調査が無ければならない事は分かると思う。これまでの縦断図だけの計画では基礎(足もと)のない幽霊防潮堤が出来るだけだ。
これまでの岩手県のボーリング調査、追加ボーリング調査からは図 9-1のような表面フラットな岩盤しか導きだせない。赤く引いた線は岩手県が想定するボーリング地質調査の縦断調査線の中心線イメージ。傾斜といえるものは前ページ図 6の縦断図にあったような沿岸線に沿った縦断線アップダウンだけである。しかし、縦断アップダウンの巾面は赤絨毯(じゅうたん)のように常にフラットに想定されているわけである。岩手県庁の役人は、地上が平らだから地下岩盤も平らだと錯覚しているからだとしか思えない。いや確実にそのように信じている。直らないかもしれない…
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